自殺
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自殺と社会

自殺そのものの是非をめぐって様々な議論がなされている。下記にいくつかの主張・思想と現代社会における取扱いを挙げておく。


自殺にいたる背景

#自殺の原因も参照

経済政治的にその混乱と困窮の度合いがあまりにも高い国では、自殺はあまり見られない。生きること自体にまず最大の関心が向けられているからである。また、経済的に拡大途上にあり、様々なチャンスの多い国でも少ない。自殺が多いのは、元は経済的に豊かであったのが、不況になり失業や就職難が深刻になった、あるいは他人の幸福を目の当たりにしながら、自分だけがそれに手を伸ばすことができないといった絶望的な状況にあるなどの国々である。前者はバブル崩壊後の日本、後者はハンガリーなど元東側諸国の国々などが例として挙げられる。要すれば、絶対的幸福よりも相対的幸福を感じられない人々が自殺しやすい状況にあるといえる。

こうした国の経済社会文化宗教などでの違いは見られているものの、自殺の大きな要因として近年あげられるのは、うつ病などの精神疾患との因果関係である。現に、自殺既遂者の95%は何らかの精神疾患を患っていて、その大半が治療可能だったという研究結果もある[4]。これらは慢性に経過するものから、強いストレスによって急激に発生するものまであり、自殺者や自殺志願者に対応する際、心得なければならない疾患の一つとしてしばしば注目される。

このような精神的危機の背景には、激しい競争社会や、低い自己評価に起因するさまざまな否定的感情、家庭、職場での生活が困難など複数の要因がある。しかし、以上のような環境にあっても周囲の対応で精神の健康を維持することは可能である。

初めて社会的な要因からの自殺の研究を発表したのは、エミール・デュルケームの『自殺論』である。近代からの視点では、自殺は必ずしも悪いことではないとされる。しかし、飛び降りなどの他人に少なからず影響を与える死に方に対しては、「他人に迷惑をかけるな」という声もある。

デュルケームに続き別の面から重要な考察を行ったのはフロイトである。彼は長らく人間の心理を「生の欲動(リビドーまたはエロス」で説明しようとしたが、晩年近くになり説明できない破壊衝動を見出し、後にそれを「死の欲動(デストルドー、またはタナトス)」と名付けた。彼は生を「生の欲動」と「死の欲動」との闘争、さらには愛憎混じった感情の転移であるなどの思索をしたが、若干誤りを含んでいるという指摘が強い。しかしながら今では自殺者の心理剖検に対し一定の貢献があったと臨床の現場では受け止められている[5]

ドラッグ麻薬の広まっている地域では酩酊している状態で正常な判断能力を失っているうちに、ビルの上から飛び降りたり、自動車や列車に飛び込んで自殺をしてしまうこともある(この場合、自殺ではなく、事件事故と取る場合もある)。例えば「夜回り先生」こと水谷修が麻薬・薬物を撲滅しようとするきっかけとなったのは、横浜市で定時制高校の教員を勤めていた頃、当時の生徒がシンナーで酩酊状態にあった時にダンプカーに飛び込み、死亡したことであると自身の著書「夜回り先生」の中で振り返っている。


群発自殺

複数人の自殺が、近接した時間・場所において実行される現象。連鎖自殺と集団自殺がある。

よく知られている有名人が自殺したり、一般人であっても奇異な自殺や凄惨な自殺を遂げ、それが他の人にも知れ渡った場合、それを模倣する自殺者が現れることがあり、この現象を連鎖自殺、ウェルテル効果と呼ぶ。特徴は、その手段もさることながら、経済的・社会的な背景がなく、さらに言えば自殺に至る背景が自殺者自身に存在しなくても、模倣としての自殺をする人が出ることである。有名な例としては藤村操南条あや岡田有希子、さらに自殺の手段を模倣した例としては2000年代初頭に日本で起きた練炭自殺や富士樹海での自殺、2007年末から2008年にかけて頻発している硫化水素を発生させ自殺を図る硫化水素自殺がそれにあたる。

命を自ら絶つ行動は今の社会においては非常に問題視され、手段や結果によっては社会に大きな損害を与えかねない。また過剰な報道はより自殺連鎖を広めるだけだとして、過剰な自殺の報道に報道規制をかけようとする動きも少なくない。

ただし、情報を規制することは表現の自由と衝突する。また、闇雲に自殺に関する情報を知らせないだけではと言う観念が持てず、一時的な(流行的な)自殺増加は阻止できても、長期的な自殺減少や「命」を教えることはできないと言う考えがある。

とはいえ何らかの対策もせずに、これらのような群発自殺を放置することは絶対に許されない。前述した過去の事例のような、ウェルテル効果による社会への悪影響を懸念してか、2008年5月25日に自殺した川田亜子に関しては、同年5月初め頃から公式ブログに悩みを書き続けていたこともあり、放送局・一部を除く新聞の報道と生前の出演番組の放送が、同年6月以降一切行われなくなった。また、この他の自殺に関する報道についても、かなり少なくなった。

フィンランドでは、自殺の報道方法変更を含む諸対策により、自殺率の減少を達成している[6][7]


自殺方法の地域差

自殺の統計は、国によって分類や調査などに差があるため、単純な比較はできない。

の所持が広く認められている国では、年齢を問わず銃による自殺が多い。例えばアメリカ合衆国における調査結果[8]では、10代の小火器(拳銃など)による自殺が全体の49%と、ほぼ半数を占めている。 銃による自殺が多い理由にはその致死率の高さと手軽さが挙げられる。詳しくは#銃による自殺を参照。

中国では農薬が簡単に手に入ることから、農薬服毒による自殺が多い。[要出典]


倫理観と志願者の意見

自殺は、精神ケアの難しさを顕著に示す例である。「自殺志願者を救いたい人々は自己満足のためだけに活動しているに過ぎない」という志願者側の見解に決定的な反証はできず、カウンセリング成功への道のりは険しい。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki