ATS-Ps形(変周地上子組合せパターン型)ATS-Ps表示機
上から順に、パターン未生成時(走行中)、パターン生成時(走行中)、パターン生成時(停車中)ATS-Ps地上子 機能によっては複数個を1組として設置する。
SN形・Sx形(ST・SW・SF形等)にパターン発生機能を追加し、P形に近い機能を持たせたものでSx型の上位互換であり相互乗り入れ可能である。構造・機能で分類すれば車上演算照査機能(パターン照査)が加わったSx型である。
列車がパターン速度を超過すると、非常制動をかけて信号機の手前で列車を停止させる。カーブなどの速度制限でも速度照査を行うことが可能であるが、P形では所定の速度まで落ちるとブレーキが自動緩解するのに対し、Ps形は非常制動がかかり、停車した後に手動でブレーキを開放させるようになっている。また、Sx形の速度照査機能もそのまま使用できる。第1パターンにより最高速度での進入から防御していることが特徴で、Y現示速度以下しか対応しないATS-ST/-Sx系過走防止装置とは際だった違いになっている。
Ps形はSN形・Sx形と同じく変周式のため、Ps形のパターン生成は、地上子の共振周波数・設置間隔の組み合わせにより行う。 Ps形はSN形・Sx形と上位互換性が確保されているため、SN形・Sx形を搭載した車両はPs設置区間へ入線可能であり、Ps形を搭載した車両はSN・Sx設置区間に入線可能となっている。
運転席に設置の動作モニタはP形のものとは異なり、現在の速度とパターン速度が表示できるよう改良されている(これらの速度は、2色のカラーバーLEDにより表示。P型でもモニタが信号を得てATS-Pコマンドを表示するものがある)
地上子を規定通り設置すると、SN形・Sx形を搭載した車両は即時停止地上子に反応し、停止信号時に通過すると非常制動がかかる。更にSx形を搭載した車両は、信号機390m(平坦地)手前の第2パターン発生地上子(=時素式速度照査地上子)にも反応し、Y現示速度超過時には非常制動がかかる。
現在は仙台・新潟地区のみに導入されており、以下の区間で運用されている。
仙山線(仙台〜愛子:2001年12月1日使用開始)※このほか、楯山〜陸前白沢間では曲線に対する速度制限のみが設置されている。
東北本線(白石〜小牛田)
仙石線(あおば通〜東塩釜)
信越本線(宮内〜新潟)
越後線(内野〜新潟)
白新線(全線)
常磐線(一部)
仙台空港鉄道仙台空港線(全線)
蒸気機関車C57形のATS-Ps表示機 2007年4月28日
なお、仙台・新潟地区において、設置当初は絶対信号(場内・出発信号)に対してのみPs形地上子が設置されており、閉そく信号に対しては設置されていない。曲線に対する速度照査は、仙山線において先行して速度照査が行われていたが、他の路線においても速度照査が行われている。
今後の予定として、東北・信越地区の主要駅(23駅)への導入が発表されているが、一定距離の区間へ連続的に設置するのではなく、中心駅の出入口へのピンポイント的な設置にとどまる。
当該地区における車両はもちろんのこと、この他にも関東の一部の車両(ジョイフルトレインなど)にもPs形が設置されている。また、2006年12月より、JR東日本高崎車両センターに在籍し、P形を装備している蒸気機関車D51形498号機にも追加装備がなされた。さらに2007年4月に大宮総合車両センターを全検出場した蒸気機関車C57形180号機も、新潟県内在籍のため追加装備がされた。同機は早速、「SLばんえつ物語号」営業運転開始の同月28日から新潟〜新津間でPs型の使用を開始している。
大手私鉄各社で採用されているATSには、1967年1月に運輸省(現・国土交通省)通達により「速度照査機能」の付加と「常時自動投入」が義務づけられていて、多くの種類が存在する。
設置が義務付けられた速度照査機能は、最終的な冒進速度照査を20km/hとしているから、最高速度で冒進可能な国鉄・JRのATS-B、ATS-S、後の改良型ATS-Sxと比較して、衝突防止に大変有効な優れたものである。破壊力を示す冒進時の速度エネルギー比≒冒進距離比でみれば国鉄JR:私鉄:ATS-P≒120^2:20^2:0=36:1:0の大差があり、これが私鉄ATS仕様装置設置区間で小事故で収まる基本的理由である。
だが、通達はJRへの適用を避けるためJR発足の前日である1987年3月31日付けで廃止された。しかし、廃止以降JR各社を中心に衝突事故が繰り返されたことにより、2005年5月16日の衆議院予算委員会で通達廃止について政府小泉首相から反省が表明されたが、その後の北側国交相答弁で逆転され「国鉄方式も私鉄方式も停止信号で止めるから安全性に違いはない」と強弁され、それに拠り国交相自身の述べていたATS-P化義務化路線選定方針も自ら必要性を否定したことになったが、質問者が切り返せず吹き飛んでしまった。翌'06/3の技術基準改定で、設置の判断を各鉄道事業者に課したことで現実に事故が発生すれば事業者は糾弾され、監督庁は免罪される方式となり、その直後にJR東海が全線ATS-PTへの換装を発表し、前後してS42年ATS通達は満たしている私鉄大手各社も何社かATS改良を発表している。
地方私鉄においては、JRや大手私鉄と同一・類似方式のATSが採用されている事が多い。また、静岡鉄道のように独自のパターン照査を導入した例もある。しかしながら、通達の基準に該当しない事業者で、経営が苦しいためにATSの整備が大幅に遅れ、京福電鉄衝突事故後に補助金が支給されて多くの未対策私鉄に誤出発防止ATSが設置された。