おもな判例
アパートの家主が賃料不払いを理由に玄関の鍵を交換したことが自力救済となって損害賠償を認められた例
東京地裁平成16年6月2日判決。アパートの家主は店子とその部下[5]が家賃を払わないことを理由に賃貸借契約を解除した。この解除は有効と認めた。しかし店子がそのアパートで行っていた事業に支障が生じ、損害を受けたとして賠償を請求し、それを認めた。いわく、部下は身柄を拘束されており、賃料不払いや契約の解除を知らず、そこで鍵を交換され、店子はアパート室内の書類などを持ち出す猶予も与えられなかった。これは占有権の侵害および自力救済にあたるとして、裁判所は家主に損害賠償を命じた。
自力救済の例外を認めた例
横浜地裁昭和63年2月4日判決。マンションの目の前に自動車が3ヶ月間停めっぱなしの状態にあり、ある住人が再三にわたり督促したものの名義人は意図的に車を移動させなかった。故意に置きっぱなしにしてあると判断し、しびれを切らした住人が車を処分したところ、その所有者が損害賠償請求の訴えをおこした。裁判所は「やむを得ない特別の事情」があるとして損害賠償請求を認めなかった。
詳細は滞納処分を参照
国税の徴収には大量性・反復性があり、徴収のために煩雑な手続を要するとすれば、効率的な行政の執行を妨げるおそれがある。そのため、その徴収にあたっては国税徴収法により、私債権の実現には許されない自力執行権の手段として、滞納処分の手続きが認められている。
税務署長ほか国税徴収の事務に従事する公務員(徴収職員)、または国税の滞納処分の例による処分を許されている公租公課の徴収に従事する公務員(地方税法における徴税吏員など)は、滞納税について滞納者の財産を強制的に差し押さえ、換価することにより、税にかかる債権を履行させる権限を有している。
脚注^ イギリス・アメリカなどの判例法重視の法体系。
^ むしろ、日本の戦国時代には戦乱による政府の権威低下と法そのものの不備により法的救済に対する信頼が失墜して、村落レベルから大名などの領主レベルまで実力行使による自力救済が法的救済に代わって行われていたとすら考えられている。
^ ドイツ民法229条および859条。
^ 後掲判例最判昭和40年12月7日。
^ 実際は部下がアパートを使用して業務にあたっており、店子は部下が身柄を拘束された等の事情を知らなかった。
参考文献
『世界大百科事典 第2版』CD-ROM版、日外アソシエーツ、2004年。
加藤雅信「新民法大系1 民法総則 第2版」有斐閣、2005年。 ISBN 4-641-13395-6
判例:最判昭和40年12月7日昭和38(オ)1236号事件 ⇒判決PDF
カテゴリ: 民法 | 民事訴訟法
更新日時:2008年3月16日(日)11:42
取得日時:2008/10/11 21:30