自傷行為
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関連性


家族構造との関連性

自傷行為をする者の家庭には様々な問題があることが分かっている。以下に代表的なものを並べる。ただし、必ずしも家族構造だけが原因となるわけではなく、実際には様々な原因がある。
親の経済的ストレス
親に経済的な問題がある場合、兄弟間において差別的な扱いがされ、兄弟間において罪悪感と緊張感が働くとされる。差別された子供が怒りに敏感な場合、その感情を内面化し、実際には親が差別しているにもかかわらず、自分自身に対して怒りを感じ自傷行為に至るとされる。また、優位に立たされた子供もその意識から自傷行為に走ることもあるとされる。
親の仕事上のストレス
親が仕事上の問題を抱えている場合、親が精神的に非常に弱い立場に位置してしまい、親が自分自身を卑下してしまうことがある。そのため、親が子供に対して怒りを感じたり、依存する結果になり、子供は子供として親に甘える事ができなくなる。その結果として、自分自身の精神を安定させるため、自分自身に与える痛みを儀式化し自傷行為を行うとされる。
親の慢性病
親が虚弱体質の場合、威厳をもつことができないので、親が自分自身の状態に対してストレスを感じやすく、その怒りを子供に向けて虐待してしまうことが多いとされる。この場合、自傷行為は、親に対する罪悪感から起こす場合と、痛みによって家族的なものを連想させるために起こす場合があるとされる。
親の感情障害
親が統合失調症などの感情障害を患っている場合、親の怠慢が起こってしまうことがある。この場合、親には健全な家族に見られるような親としての活気が見られない。それで、子供は親としての役割を果たしてくれない親に対して強い憤りを感じるとされる。このとき、周囲にそれを共感してくれる人がいないと、その極度に鬱積した不満から自傷行為を行ってしまうとされる。
親のアルコール依存症
親がアルコール依存症の場合、身体的・性的な虐待が起こる率が高いとされる。子供にとっては虐待が当たり前だと思っていることも多く、自分で自分を傷つけることも当たり前だと思っていることも多い。しかし、比較的冷静な面も持ち合わせていて、自分自身の自傷行為や親からの虐待を恥じていることが比較的多いとされる。
親の薬物乱用
親が薬物中毒の場合、親の情緒は不安定になり、親子の役割の逆転が起こり、アルコール依存の親をもつ子供と同様に、子供がその責任を背負い込み過度のストレスを負うことが多く、その結果として自傷行為が起こるとされる。虐待を受けているケースも少なくなく、自分自身を傷つけることが正常だと思っていることも少なくない。
両親の不和
両親の不和が激しい場合、子供は本来配偶者に向けられる暴力を受け、虐待の犠牲者になることがある。この場合、子供は自分に対する虐待が家族を健全なものにするために必要な行為であると認識し、それを内面化し、その結果として自傷行為に走るとされる。
両親の離婚
両親が離婚している場合、片方の親がかつての配偶者に対する怒りを子供にぶつけることがあり、子供が虐待の犠牲者になることも多い。しかし、片方しかいない親を信じないことは親を完全に失うのに等しいので、虐待を正常だと思い込むことによって自分が孤独になるのを防ごうとするとされる。しかし、その結果として自分を痛めつけることを自己の内部で正当化してしまい、結果的に自傷行為に至るとされる。
片方の親の死
片方の親を亡くした場合、関係に問題があったとしてもたった一人の親から捨てられることを恐れ、たとえ虐待などがあっても親を弁護してしまうこともある。また、親との関係が破壊されることを恐れ、大胆な行動や怒りを表現する能力に欠けていることが多い。しかし、それによって問題に対する怒りが解決できるわけでもなく、怒りの解決策として自傷行為をしてしまうとされる。


虐待全般との関連性

自傷行為をする者の多くは、幼少期に何らかの虐待を受けていることが多い。しかし、虐待された者が必ずしも自傷行為をするわけではなく、トラウマを抱えながらも必死に乗り越えようとしている人も多い。各種統計などから虐待との関連性はほぼ確認されていると言ってよいが、虐待されている人の実数や虐待の状況がよく分かっていないので、自傷行為との関連性がどのくらいであるかはよく分かっていない。

鹿児島大学が2006年1月に発表した、九州の5大学に通う1〜2年生1626人を対象にした調査がある。回答者1592人(男性831人、女性761人)のうち、自傷行為の経験者は120人(7.5%)であり、「家族からの放任や罵倒などを経験した」と答えた人が自傷行為をする危険性は、そうでない人の8.7倍、「第三者からの性的暴力を受けた」が5.8倍、「教師や友人からの無視を経験した」が5.5倍、「両親からかわいがられた経験がない」が4.2倍であった。しかし、大学まで進学できない自傷行為者も多いと推測されるので、この調査に対しては疑問も多く投げかけられている。また、虐待を受けた人間の多くはそれに関して何も語らないということについても疑問の余地がある。

自傷行為者について話題になりがちなのは親からの身体的虐待性的虐待なので、自傷行為者は必ず身体的・性的な虐待を受けていると思われる節もある。しかし、反対に親の怠慢・愛情不足すなわちネグレクト心理的虐待が引き金になることも多い。また、友情関係など周囲の環境にひびが入ったために起こることも多い。


近親姦・性的虐待との関連性

重度のリストカッターの場合、近親姦が過去にあったことが多い。この場合、自分がやっていることと自分のされていることとの区別がつかなくなり、自分を痛めつけることをそのまま愛情として認識してしまうほかなくなってしまうことが多いとされる。この場合、実はもう片方の親に憎しみを抱くことが多いとされる。近親姦の定義については一般認識と心理学では大きな隔たりがあり、一概には言えないが、心理学上は肉体のいかなる部位においても「近親者が子供の性的な興奮を目的として触れる行為」を近親姦と定義している。また、さらに言うならば、近親者が自分の性器を露出して見せたり、自分で触れてみたり、子供の性的な写真を撮るなどといった行為も「近親姦的行為」とされる。また、子供に対するセクハラ行為でも心理的に似たような苦痛を受ける。そして、本人にとって重要な点はそれが「秘密にしておかなくてはならない行為である」ということである。

近親姦はめったにないと思われているところがあるが、実際には米国保健福祉省などを含む、あらゆる信頼のおけるデータによると近親者から18歳までに受けた性的加害行為は少なく見積もっても1割にも上り、実際には相当数に上ると思われている。これほどまでに性的行為が多いことは1980年代半ばまでは認知されておらず、それまでは少なくとも10万件に1件程度だと思われていた。

近親姦をされた子供は被虐待者の特徴として罪悪感を内面化するが、そこに羞恥心が加わることによって、「自分は悪い事をした」という意識は他のどの虐待の場合よりも強くなる。しかも、父親と娘の場合に多いが「自分は母から父親を奪っている」という意識が強くなり、自分自身を卑下してしまい、その罪悪感が自傷行為に影響を及ぼすとされる。しかも、その孤立感から家庭にしか居場所がなく、家庭を改善させようとしてしまうため、現実には不可能な「幸せな家庭」という夢を追い求め、悪循環に走ってしまうことが多いとされる。近親姦(特に親子)はほぼ間違いなく破滅的な結果をもたらすが、それは自傷行為だけでなく、薬物依存、セックスに関する諸問題など様々な形で現れる。

また、より広義の性的虐待に関しても近親姦同様に関連が疑われている。ダイアナ・ラッセル(Russell, D)のサンフランシスコの女性に対する調査によると、直接的身体接触だけで38%に上っている。非身体的なものまで含めると54%にもなる。日本においても1998年の「子どもと家族の心と健康」調査によると小学卒業までに女性の15.6%、男性の5.7%が性的虐待の被害に遭ったという回答が得られており、今まで社会が否定し続けてきた実態が明らかになりつつある。

なお、性的虐待にあった人は自傷をする代わりに過食嘔吐をしたり、他の自己破壊行動をとることも多いとされる。いずれにせよ、自己破壊行動として類似した点が多い。女性が重視されがちであるが、男性にも同様の傾向が認められている。


学力との関連性

自分を切りつけることは学力に対して優位に働くこともある。勉強それ自体は問題ではないが、自傷行為を行う人の場合低い自尊心の裏返しからか完璧主義、強迫衝動が強いのが特徴的である。勉強はこういった人の場合には、自分自身に対して痛みを加えることと同一であると錯覚される可能性がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen