自傷行為をする者に最も疑われるのは境界性人格障害であり、鬱病、演技性人格障害、自己愛性人格障害、摂食障害、抜毛症、強迫性障害なども疑われる。また、統合失調症と判断されることもある。精神医学上は自傷行為はそれらの人格障害、精神病の二次的な症状であるとされ、それ単独で起こるとはされない。しかしながら実際には、必ずしも症状の深刻さと自傷行為のひどさは一致しないことが分かっている。これは本人に「自傷行為者(リストカッター)としてのアイデンティティ」が確立するか否かによるようである。これはかつて多くの精神病者と病院との間の関係で社会学者達から指摘されたものであり、病院での交友関係が定常化して「自分は健常者」という意識がもてなくなることによるとされる。
なお、境界性人格障害は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害、不安障害、アルコール依存症、薬物依存症の他、性同一性障害、注意欠陥障害(ADD)などに似た症状も持っている事が一般的である。また、先に挙げた精神疾患も重なり合う症状は多いとされる。
一概にはいえないが、自傷行為をする人は我慢強く、自己に批判的である傾向があるとされる。また、自傷者は非常に自尊感情が低い。コミュニケーション能力が欠如し、いつもぼんやりとしていて、虚ろで平板な人が最も多いが、多弁なだけで意味を成さないことばかりを言い、偽りの自己を作り出し、他人をからかおうとする精神構造の者もいる。また、無関係な話をすることで話をはぐらかそうとする者もいる。自分自身の心の痛みに対しては過敏であるが、他者を全く信用できないことが多く、自分自身の肉体的な痛みしか信用できなくなっていることが多い。
自傷行為をする人の多くは、学力が部門別に極端に能力差があることがほとんどである。アタッチメントを形成する能力に欠陥がある一方で、他者から一方的にアタッチメントを受ける能力には長けていることが多い。しかし、自傷者は、過去の体験から他者を信用できないことがほとんどである。
身体の自己認識にもその病理の問題点が大きく存在している。日本では身体の所有がその本人であるという精神の認識が特に希薄であり、家父長制度の影響とその名残から、幼少のうちから身体の所有権は当の本人になく、無意識に漠然と自分以外の誰か(保護者または他人)の所有であるという意識をもつ年少者が多い。性的であれ何であれ、誰にも精神を含めた身体の所有権を決して渡してはならないという身体意識の恢復を図ることが、自傷者の精神の統合や安定につながるといえる。
自傷行為をする者の家庭には様々な問題があることが分かっている。以下に代表的なものを並べる。ただし、必ずしも家族構造だけが原因となるわけではなく、実際には様々な原因がある。
親の経済的ストレス
親に経済的な問題がある場合、兄弟間において差別的な扱いがされ、兄弟間において罪悪感と緊張感が働くとされる。差別された子供が怒りに敏感な場合、その感情を内面化し、実際には親が差別しているにもかかわらず、自分自身に対して怒りを感じ自傷行為に至るとされる。また、優位に立たされた子供もその罪意識から自傷行為に走ることもあるとされる。
親の仕事上のストレス
親が仕事上の問題を抱えている場合、親が精神的に非常に弱い立場に位置してしまい、親が自分自身を卑下してしまうことがある。そのため、親が子供に対して怒りを感じたり、依存する結果になり、子供は子供として親に甘える事ができなくなる。その結果として、自分自身の精神を安定させるため、自分自身に与える痛みを儀式化し自傷行為を行うとされる。
親の慢性病
親が虚弱体質の場合、威厳をもつことができないので、親が自分自身の状態に対してストレスを感じやすく、その怒りを子供に向けて虐待してしまうことが多いとされる。この場合、自傷行為は、親に対する罪悪感から起こす場合と、痛みによって家族的なものを連想させるために起こす場合があるとされる。
親の感情障害
親が統合失調症などの感情障害を患っている場合、親の怠慢が起こってしまうことがある。この場合、親には健全な家族に見られるような親としての活気が見られない。それで、子供は親としての役割を果たしてくれない親に対して強い憤りを感じるとされる。このとき、周囲にそれを共感してくれる人がいないと、その極度に鬱積した不満から自傷行為を行ってしまうとされる。
親のアルコール依存症
親がアルコール依存症の場合、身体的・性的な虐待が起こる率が高いとされる。子供にとっては虐待が当たり前だと思っていることも多く、自分で自分を傷つけることも当たり前だと思っていることも多い。しかし、比較的冷静な面も持ち合わせていて、自分自身の自傷行為や親からの虐待を恥じていることが比較的多いとされる。
親の薬物乱用
親が薬物中毒の場合、親の情緒は不安定になり、親子の役割の逆転が起こり、アルコール依存の親をもつ子供と同様に、子供がその責任を背負い込み過度のストレスを負うことが多く、その結果として自傷行為が起こるとされる。虐待を受けているケースも少なくなく、自分自身を傷つけることが正常だと思っていることも少なくない。
両親の不和
両親の不和が激しい場合、子供は本来配偶者に向けられる暴力を受け、虐待の犠牲者になることがある。この場合、子供は自分に対する虐待が家族を健全なものにするために必要な行為であると認識し、それを内面化し、その結果として自傷行為に走るとされる。
両親の離婚
両親が離婚している場合、片方の親がかつての配偶者に対する怒りを子供にぶつけることがあり、子供が虐待の犠牲者になることも多い。しかし、片方しかいない親を信じないことは親を完全に失うのに等しいので、虐待を正常だと思い込むことによって自分が孤独になるのを防ごうとするとされる。しかし、その結果として自分を痛めつけることを自己の内部で正当化してしまい、結果的に自傷行為に至るとされる。
片方の親の死
片方の親を亡くした場合、関係に問題があったとしてもたった一人の親から捨てられることを恐れ、たとえ虐待などがあっても親を弁護してしまうこともある。また、親との関係が破壊されることを恐れ、大胆な行動や怒りを表現する能力に欠けていることが多い。しかし、それによって問題に対する怒りが解決できるわけでもなく、怒りの解決策として自傷行為をしてしまうとされる。
自傷行為をする者の多くは、幼少期に何らかの虐待を受けていることが多い。しかし、虐待された者が必ずしも自傷行為をするわけではなく、トラウマを抱えながらも必死に乗り越えようとしている人も多い。各種統計などから虐待との関連性はほぼ確認されていると言ってよいが、虐待されている人の実数や虐待の状況がよく分かっていないので、自傷行為との関連性がどのくらいであるかはよく分かっていない。
鹿児島大学が2006年1月に発表した、九州の5大学に通う1?2年生1626人を対象にした調査がある。回答者1592人(男性831人、女性761人)のうち、自傷行為の経験者は120人(7.5%)であり、「家族からの放任や罵倒などを経験した」と答えた人が自傷行為をする危険性は、そうでない人の8.7倍、「第三者からの性的暴力を受けた」が5.8倍、「教師や友人からの無視を経験した」が5.5倍、「両親からかわいがられた経験がない」が4.2倍であった。