自傷行為
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自傷者から見た他人意識

自分の感じている世界とは違った世界観を持っているように見える。 相手がしている行為や、行動が自傷者からすると妙にちっぽけなものだと感じてしまう。 他人の気遣いの態度が逆に自分には偽善の態度にしか見えなくてイライラしてしまったりすることも少なくはない。 また、自傷していることに気がついた周りの者が興味本位に「傷を見せろ」と言ってくることがあり、言ってきた人に少なからず不快の念を覚えているのは確かである。


自傷行為の原因


自傷行為の要因

悲しみや怒り、孤独感や劣等感などの感情により衝動を抑えきれない状態に陥った時、または呼吸困難頭痛、吐き気など精神的ストレスによる症状が同時に襲ってきた時、それを抑えるために自らを傷つけてしまうと一般的にはいわれている。しかし、本人にとっては具体的に何が引き金となり自傷行為を行うかはたいてい不明である。自傷を行う者は「ただ強い衝動があった」などといったはっきりとしない妙な説明をしてしまうことが多く、中には自傷をしている時点で記憶意識がない場合もある。これはいわゆる解離性障害であるとみられる。

目的は死に到るための自殺ではなく、孤独感や空虚感を紛らわすための「自己の再確認」や「ストレス解消」といった、生きる願望が屈折した形になって現れる行為である。しかし、自傷行為は生きたいための行動であるにもかかわらず、本人に自殺願望があることも多い。自傷行為は自殺を抑えるための役には立つが、自殺願望がある場合には、最終的に自殺をしてしまうこともあるとされる。しかし、自傷行為による事故死と自殺は判別がつきにくく、実際の様相ははっきりとは分かっていない。自傷行為は社会的には理解されにくく不可思議なものとみなされてしまうことが多い。しかし、本人の状態に対する危険信号としての理解が必要である。

また、医師は初め脳器質疾患を疑うこともあるが、それは念のための診断である。肉体を切るとエンドルフィンというホルモンが分泌され、精神的な苦痛が緩和されるのでそれを無意識的に期待して切る者もあるとも考えられている。だが、大抵本人はこの事は分かっていない。


遺伝的・生化学的因子

自傷行為の原因として、脳内のセロトニン不活性も考えられている。しかし、その生化学的因子は幼少期にトラウマを負ったことによっても形成されるとされているので、現時点ではそれが遺伝的因子と同一であるかについての結論は出ていない。

アルコール依存症などの遺伝的因子は、自傷行為をよりひどくする因子であると考えられている。


自傷行為を誘発する精神疾患・人格障害

自傷行為をする者に最も疑われるのは境界性人格障害であり、鬱病演技性人格障害自己愛性人格障害摂食障害抜毛症強迫性障害なども疑われる。また、統合失調症と判断されることもある。精神医学上は自傷行為はそれらの人格障害精神病の二次的な症状であるとされ、それ単独で起こるとはされない。しかしながら実際には、必ずしも症状の深刻さと自傷行為のひどさは一致しないことが分かっている。これは本人に「自傷行為者(リストカッター)としてのアイデンティティ」が確立するか否かによるようである。これはかつて多くの精神病者と病院との間の関係で社会学者達から指摘されたものであり、病院での交友関係が定常化して「自分は健常者」という意識がもてなくなることによるとされる。

なお、境界性人格障害は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害不安障害アルコール依存症薬物依存症の他、性同一性障害注意欠陥障害(ADD)などに似た症状も持っている事が一般的である。また、先に挙げた精神疾患も重なり合う症状は多いとされる。


自傷行為をする人の性格

一概にはいえないが、自傷行為をする人は我慢強く、自己に批判的である傾向があるとされる。また、自傷者は非常に自尊感情が低い。コミュニケーション能力が欠如し、いつもぼんやりとしていて、虚ろで平板な人が最も多いが、多弁なだけで意味を成さないことばかりを言い、偽りの自己を作り出し、他人をからかおうとする精神構造の者もいる。また、無関係な話をすることで話をはぐらかそうとする者もいる。自分自身の心の痛みに対しては過敏であるが、他者を全く信用できないことが多く、自分自身の肉体的な痛みしか信用できなくなっていることが多い。

自傷行為をする人の多くは、学力が部門別に極端に能力差があることがほとんどである。アタッチメントを形成する能力に欠陥がある一方で、他者から一方的にアタッチメントを受ける能力には長けていることが多い。しかし、自傷者は、過去の体験から他者を信用できないことがほとんどである。


身体の所有意識の欠如

身体の自己認識にもその病理の問題点が大きく存在している。日本では身体の所有がその本人であるという精神の認識が特に希薄であり、家父長制度の影響とその名残から、幼少のうちから身体の所有権は当の本人になく、無意識に漠然と自分以外の誰か(保護者または他人)の所有であるという意識をもつ年少者が多い。性的であれ何であれ、誰にも精神を含めた身体の所有権を決して渡してはならないという身体意識の恢復を図ることが、自傷者の精神の統合や安定につながるといえる。


関連性


家族構造との関連性

自傷行為をする者の家庭には様々な問題があることが分かっている。以下に代表的なものを並べる。ただし、必ずしも家族構造だけが原因となるわけではなく、実際には様々な原因がある。
親の経済的ストレス
親に経済的な問題がある場合、兄弟間において差別的な扱いがされ、兄弟間において罪悪感と緊張感が働くとされる。差別された子供が怒りに敏感な場合、その感情を内面化し、実際には親が差別しているにもかかわらず、自分自身に対して怒りを感じ自傷行為に至るとされる。また、優位に立たされた子供もその意識から自傷行為に走ることもあるとされる。
親の仕事上のストレス
親が仕事上の問題を抱えている場合、親が精神的に非常に弱い立場に位置してしまい、親が自分自身を卑下してしまうことがある。そのため、親が子供に対して怒りを感じたり、依存する結果になり、子供は子供として親に甘える事ができなくなる。その結果として、自分自身の精神を安定させるため、自分自身に与える痛みを儀式化し自傷行為を行うとされる。
親の慢性病
親が虚弱体質の場合、威厳をもつことができないので、親が自分自身の状態に対してストレスを感じやすく、その怒りを子供に向けて虐待してしまうことが多いとされる。この場合、自傷行為は、親に対する罪悪感から起こす場合と、痛みによって家族的なものを連想させるために起こす場合があるとされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki