推測ではあるが、リストカッターの少なくとも半数が性的虐待の被害者であるともいわれる。リストカットは1960年代に主としてアメリカの女性に見られ、社会問題となった。自傷行為経験者は若い未婚の女性に多く、男性にも一定数存在する。常習性が高く、周囲の理解も得られにくいために長期間苦しむことも多い。カナダ放送協会(CBC)が500人のスクールカウンセラーに過去1年間に診た自傷者数を尋ねてみたところ、各校に2?3人いるという回答結果が得られ、非公式な調査結果ではあったが、その発症率は女子250人に1人とされた。
また、近年は更なる発生率が示されており、英国のオックスフォード地区、ノーザンプトン地区、バーミンガムの学校41校の6000人の15歳と16歳の生徒を対象に2000年と2001年に行われた大規模な研究によれば調査が行われた年の前年に自傷行為をしたと報告したのは少女が11%、少年は3%であったという。スラッシュ(切り付け行為)(65%)が自己虐待の方法としてもっとも多く、過剰行為(31%)がそれに次いだ[1]。
欧米の研究者によると大体6割程度に親からの虐待の事実が認められるとされるが、残り4割には認められない。
日本において自傷行為に関する研究は極めて遅れている。本項目でも日本における調査を参考までに多く取り上げているが、これらの調査に対して自傷症患者を取材してきた記者からは「そもそも自傷行為の定義がはっきりしていない」とか「本当に注目しなければならないのは中毒症状になってしまった場合であるのにその辺りが曖昧である」といった疑問が投げかけられており、調査は大まかな指針にはなっても実際には実態を表していない可能性が強いとされている。
日本での自傷行為は、欧米からの症例が紹介された1970年代頃から把握されだした。日本では、精神分析や精神関連の用語の普及と共に実際の症例が増す傾向がある。奈良教育大学の調査によると1999年頃から統計上は急激に増加したとされる。ただし、把握されていななかっただけの可能性もあり議論は慎重を要する。
自傷行為には伝染性があるとされ、インターネット上での自傷関連サイトとの影響も指摘された。2月6日の毎日新聞夕刊によると、2005年の首都圏のある公立中学校では、3年生の数人がリストカットをし始めたが、その後急激に増加し、200人足らずの3学年の中で学校が把握しているだけでも20人を超えたという。医師なども人間関係が苦手な場合、仲間意識を感じようと自傷行為をしてしまう事もあるようだという話をすることがある。
全国高等学校PTA連合会が、(独)福祉医療機構(子育て支援基金)の助成で、2003年度から3か年計画で実施している「高校生の心身の健康を育む家庭教育の充実事業」の第3年次の調査によると、高校2年生5755人からの回答を、木原雅子京都大学大学院助教授が集計・分析を担当した結果、自傷行為の経験があるのは男子5.3%、女子10%だった。また、同調査では「出会い系サイト」は男子3.9%、女子5.8%、「援助交際」は男子1.1%、女子1.5%が経験していると回答している[2]。
養殖されていたり飼われていたりする動物がストレスで気が狂い、自傷行為に走る事がある。毛皮にされる檻の中で飼われた動物が自身の体に噛み付く、水族館の魚が自ら壁にぶつかる、などの行動が見られる。
リストカットを含む自傷行為が始まるのは精神的に最も不安定であった時期より数年遅れることが多く、若ければ10歳前後から始まる。酒や薬などを用いて始めることもあるが、多くの場合は自然に発症する。当初の感覚は強い憤り、不安、パニックなどである。前兆として、その感情を抑えようと物を投げたり壊したりすることもある。
当初は周囲に対する恥辱感から傷口を隠すことが多い。通常は腕時計やリストバンド、長袖などで傷口を隠す。小学生など、年齢が若い場合は自傷行為についての知識がさほどないためか、刃物以外で自傷行為をすることが多い。
自傷行為をすることによって、一時的に当初の精神的な苦痛は緩和される。しかし、それは自分を傷つけた直後だけなので、止めたいと思っていたとしても、また新たな精神的苦痛を負うことによって何度も繰り返してしまい、常習化するケースがほとんどである。何度も切っているとその部分の感覚が麻痺してくるうえ、血を見ることに慣れてくるので、常習化はさらに進む。また、夏服になると手首は目立つので、リストカットよりもアームカットをすることが多い。
一般には剃刀やカッターナイフなど鋭利な刃物を使うことが多い。自傷行為は切るだけではなく、自分で自分を殴ることもある。他には、バーニングをするためにドライヤーなどを使うこともある。また、激しい痛みを求める場合には鋏や包丁など刃先がギザギザした刃物を用いる事もある。切る時はただ切りたいという衝動に駆られるだけで切ることが多いが、後で傷跡やケロイドを見て醜く思い、自分自身を卑下してしまうこともある。
人間関係が不安定になることが多い。引きこもりのような状況になることもあるが、基本的には人との接触を望んでいるので、一時的なものであることが多い。しかし、対人関係はその後も不安定であることが多い。この状態が続いた場合、現実検討能力が全体的に弱体化していく。
自傷行為が原因で死亡まで至るケースは極めてまれであるが、静脈切断でもかなりの量の出血をすることがあり、極度の貧血のために心臓が弱ってしまうなど健康に差し支えることもある。また、精神的に乖離している場合、予定外に動脈を損傷することもあり、この場合本人の意思にかかわらず結果的に死亡してしまうこともある。
自傷者は、ある程度の時間がたつと精神的ストレスを言葉で表現することが多くなってくる。もともと自分自身の抑圧されたストレスが表現できなかった者に多いため、周囲の環境によっては回復することも少なからずある。実際に、精神的に落ち着けば自傷行為が治まる場合も多く、年齢と共に自傷行為をする人口は減る。これは、年齢に応じた経験によって自己を確立する術を手に入れたからと考えられる。また、結婚などによって治まることもある。しかし、愛情にうまく対応できず離婚してしまい、再び自傷行為をしてしまう者も多い。
だが、近親者からのひどい性的暴行を加えられた場合などでは、生涯にわたって影響が見られる場合が少なくない。成人の場合はその人はアダルトチルドレン (AC) であるとも考えられ、自傷者の中にもそう言っている者がいるが、より深刻な心的外傷後ストレス障害や解離性同一性障害の人もいる可能性もあるため、安易にこの用語は用いるべきではない。精神障害の診断と統計の手引き(DSM-IV)では自傷行為は多重人格を示唆する所見の一つとして数えられているくらいである。
自分の感じている世界とは違った世界観を持っているように見える。 相手がしている行為や、行動が自傷者からすると妙にちっぽけなものだと感じてしまう。 他人の気遣いの態度が逆に自分には偽善の態度にしか見えなくてイライラしてしまったりすることも少なくはない。 また、自傷していることに気がついた周りの者が興味本位に「傷を見せろ」と言ってくることがあり、言ってきた人に少なからず不快の念を覚えているのは確かである。