地震発生直後の観測データを解析して速報を出すためP波とS波がほぼ同時に到達する震源に近い地域では緊急地震速報の仕組み上、速報発表が間に合わない。2007年10月1日未明に神奈川県西部で発生し最大震度5強を観測したM4.9の地震では、仮にシステムが運用されていても箱根町や小田原市でP波検知とほぼ同時にS波が到達しており、速報発表が初期微動検知から32秒後であったのでこのケースに該当する。
初めにP波を検知してから、震源の位置や震度を予測する際に、情報の処理に伴うタイムラグが生じる。
また、震源や震度などの情報が末端まで配信されるまでの間にも、タイムラグが生じる。一部行政機関向けのものを除き、配信が気象業務支援センター経由となっており、気象警報などのような通信・放送機関への直接送信とはなっていないことから末端ユーザーへの配信が遅延する可能性がある。殊に「気象庁→気象業務支援センター→民間気象事業者→通信事業者(携帯電話など)→ユーザー」の経路をとる場合、致命的な遅れ(S波到達後)が生じうるとの指摘もある。地上デジタル放送・BSデジタル放送は約2?3秒、ワンセグでは約4?5秒地上アナログより遅れて放送される為、タイムラグが伸びる可能性がある[39]。
情報処理や配信時のタイムラグは技術的な対応によって短縮が可能であり、それぞれ担当する機関や企業が短縮を目指した努力を行っている。
緊急地震速報の情報源となる、地震計の密度が低い地域が日本には存在する。本土から離れた離島である伊豆諸島、小笠原諸島、南西諸島などがそうである。また、これ以外の地域でも、離れた海域で地震が発生した場合は同じような状況下におかれることもある。こういった地域では、地震計の密度が低いことが原因となってさまざまな問題が起きる。地震計の近くで地震が発生することが(地震計の密度が高い地域に比べて)相対的に少なくなるため、初めのS波を検知するまでに時間がかかることが多く、速報発表から揺れ始めるまでの時間も短くなる。また、得られる地震のデータも少ないため、震源・地震の規模・震度などの誤差が拡大しやすくなる。こういった問題は、2008年4月28日未明に起きた沖縄県宮古島近海を震源とする地震を契機に、問題視されることとなった。
海底には、地震計がほとんど設置されておらず(東海地域や伊豆諸島近海に集中しており、全く無い海底もある)、海域で地震波を捕らえることが難しい。そのため、海域が震源となる地震の場合、海底で地震波が観測できず、陸地に到達して初めて観測される。そのため、速報発表が遅れてしまうことがある。また、「一般向け」緊急地震速報は、最低でも2箇所以上の地震計が揺れを観測してから速報を発表しているため、震源地に最も近い1箇所目の地震計が揺れを観測しただけでは速報が発表されない(「高度利用者向け」速報の場合は、速報が発表されるが、大きく誤差が生じることもある)。2箇所目の地震計が、さらに離れている場合、その間にある建造物では速報発表よりも前に揺れが来てしまう。これが大規模な地震であった場合、大災害は避けられない。また当然、2箇所目の地震計が揺れを観測しても、今度は時間計算をするため、さらに時間を要してしまう。
初回速報発表の沖縄県宮古島近海を震源とする地震では、震源が海底だった。そしてその間に地震計が一切無く、地震発生が当初わからなかった。宮古島に地震波が到達して、初めて地震計が観測し、速報が発表されたのは午前2時32分25秒だった。しかし、宮古島市で揺れが来たのは午前2時32分20秒と、およそ5秒の差が起きた。これが海底に地震計が設置されていた場合、地震波が宮古島市に到達するまでに速報が発表された可能性もある(だが、この地震は深夜に発生していたため、速報が発表されていても目撃した人が少ないという問題もある)。
さらにこの地震では、速報と実際の震源地の誤差も大きくなってしまった。実際の震源地は北緯25.1度 東経125度であったが、速報発表時には、南に30km離れた海上が震源地と特定・発表されてしまった。
2008年8月5日には、宮古島近海で震度1の地震があったが、予報第3報では「最大震度3」と発表された。また、深さが実際と10キロ前後、マグニチュードも1程度の誤差が生じた。第1報ではさらに誤差が大きく、予測震度は2、規模は同じ4.9であったが深さが10キロと、かなりの誤差が生じた。この点からも、海域が震源の地震に関しては予測することが困難とみられる。
沿岸部を震源とする地震の場合、いずれも同じことが発生している。まず、第1報の情報源となる地震波を検知すると、震源の深さまでは特定が困難であるため、P・S波の時間差から、震源・規模を算出する(この場合、多くは深さが10kmと発表される)。次に、第2報の基となる地震波検知で、P・S波から震源・規模を算出する。第1報と照らし合わせ、時間差が極端であれば震源の深さを算出する。上述の地震を例にすれば、この算出方法は成り立つ。逆に内陸部での地震の場合、地震計がある程度密集している地点では深さなどが容易に算出することが可能となるため、誤差は起きにくい。
こういった問題の最大の解決策は、海底に地震計を設置することである。海底で強い地震が発生した場合は、津波が発生する危険性もあり、津波対策としても有効である。海底に地震計を設置することが今後の地震速報の重要な課題とも言えるが、海底という特有の環境下では地震計の設置や保守点検は容易ではなく、費用や技術的な問題も抱えている。
気象庁では、東海地震へ備えるため、東海地方の海底に地震計を設置することを発表した。実際に設置され、大地震が発生した場合には、最大で10秒程度速報が早く発表できるという。
また速報がS波到達以前に発表されても、主要動までの時間は数秒?数十秒しかない。このため、発表時の対応が周知徹底されていないと、群衆が非常口に殺到する、速報を受けた自動車が急ブレーキをかけて玉突き衝突を誘発するといったパニックを引き起こし二次災害が発生する可能性があるとして、公衆への速報の早期提供開始に対する慎重論もあった。これにより2007年春に予定されていた本運用開始は延期され、改めて10月からの運用が決まった。
気象庁は、具体的な予測震度の値は±1程度の誤差を伴う、としており、「一般向け」速報では震度の具体値を示さず、「強い揺れ」と表現している[2]。あえて言えば、「一般向け」速報は出なかったが実際には意外と大きく揺れた、ということもありうる。また、「最大予測震度が5弱以上」を発表基準とする「一般向け」速報で、予測震度が4以上の地域まで広げて発表する理由として気象庁は、1.震度推定時の誤差、2.予測震度4でも、震源域の断層運動の進行により、しばらく後に5弱となる可能性、を挙げている[2]。
予測震度の誤差の一般的な原因としては、初期微動の特性がマグニチュード5程度付近で、波形の動きが変化するほか、地質によって地震波の伝わりやすさ(走向、伝搬速度、周波数特性、減衰程度)が異なり、震源から同じ距離でも震度が異なる(特に震源と震度が大きく異なる地域を異常震域という)地点が出ることが考えられる[要出典]。これは、各地の地質性質を組み込んだプログラムを導入することで改善できるが、地質特性の調査が十分でない地域(特に洋上)もあり、現状では修正が困難な部分がある[要出典]。なお、群発地震や直後に発生する余震により、複数の地震が重なると、初期微動が正確に観測できない。正式導入前であるが、2006年4月21日に伊豆半島東方沖で発生した震度4の地震(防災科技研の地震計では震度5弱・東大地震研の地震計では震度6弱を観測したが、気象庁が対象とする震度観測点では最大震度4だった)では予測震度7となり、誤差が拡大する事例が発生した[要出典]。