緊急地震速報
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予想の誤差

現状では予想震度に±1程度の誤差が避けられず、実際の揺れが大きくても速報が出ない等の限界がある。誤差の大きい事例を挙げると、2006年11月30日に福島県会津地方で発生した震度3の地震では予測震度5弱、2007年3月25日に石川県能登半島沖で発生した震度6強の地震(能登半島地震)では予測震度5弱、同じ日に石川県能登地方で発生した震度5弱の地震では予測震度3、2007年4月15日に三重県中部で発生した震度5強の地震(三重県中部地震)では予測震度4などとなっている[37]。また群発地震や直後に発生する余震により、複数の地震が重なって初期微動が正確に観測できないため、2006年4月21日に伊豆半島東方沖で発生した震度4の地震(伊豆半島東方沖地震。防災科技研の地震計では震度5弱・東大地震研の地震計では震度6弱を観測したが、気象庁が対象とする震度観測点では最大震度4だった)では予測震度7となり、誤差が拡大する事例が発生した。

こういった予想震度の誤差の原因としては、初期微動の特性がマグニチュード5程度付近で、波形の動きが変化するほか、地質によって地震波の伝わりやすさ(走向、伝搬速度、周波数特性、減衰程度)が異なり、震源から同じ距離でも震度が異なる(特に震源と震度が大きく異なる地域を異常震域という)地点が出ることが挙げられる。これは、各地の地質性質を組み込んだプログラムを導入することで改善できるが、地質特性の調査が十分でない地域(特に洋上)もあり、現状では修正が困難な部分がある。そのため、震度が過大評価されることに備えて、最大震度5弱以上が予想された際には、震度4以上が予想された地域に対してのみ発表するといった対応がとられている。


誤情報

地震動を観測する地震計の技術的問題やその特性により、緊急地震速報自体に誤報が発生することはありうる。地震計の故障雷サージ(雷による異常な電流)による誤作動、プログラムや設定のミスなどが原因として考えられる。

また、気象庁の速報を配信する事業者(情報サービス会社、放送局ほか)の手違いによる誤配信、受信端末における誤った処理による誤情報出力といった事例が、実際に確認されている。

市民の安全にかかわる情報であるだけに、特に、該当する地震が実際には発生していない誤情報が、人為的なミスで出されうることは、解決されるべき問題だと言える。

2007年9月1日防災の日)には東京都墨田区による緊急地震速報のメール配信システムに登録していた約5000人に、委託会社のミスにより「震度5強の地震が発生」とのメールが誤送信された。

2008年1月13日2時13分に、NHKの地上波・衛星の各テレビ放送(元から緊急地震速報のテロップ表示を行わないNHKワールドは除く)に、緊急地震速報(チャイム音・アナウンス・画面の一番下の日付時刻テロップ)が実際に流れたが、揺れが予測される地域が表示されなかった(気象庁から速報自体が発表されていないため、該当地域が出せない)。この時間、教育テレビとデジタル衛星ハイビジョンは放送休止中だったが、当然ながら誤配信が発生している。夜が明けて5:00の総合テレビ「NHKニュース」で、この日担当の近藤敏之アナ(現・東京アナウンス室 当時はNHK情報ネットワークに出向していた。)から、これが通常の地震のニュース速報(同日2時11分に北海道で発生した最大震度4の地震)を誤って緊急地震速報として流してしまった旨のお詫びが放送された。地域が放送されなかったことにより、全国の視聴者の不安をいたずらに煽ることとなってしまった。なお、AM/FMラジオ全波と元から緊急地震速報のテロップ表示を行わないNHKワールドのテレビ・短波ラジオの放送には誤報は発生していない。誤報の原因は担当職員によるニュース速報テロップ装置の操作のミスとみられる。

2008年7月14日19時41分に千葉県沖で発生した地震[38] については、一観測点の地震計における加速度基準の設定ミスにより「高度利用者向け」の誤った第一報が発表され[39]、 さらに一部受信端末でこの速報の処理を誤ったことから誤情報が出力されてしまい[40]、 混乱を招いた。「一般向け」速報は発表基準が異なり(加速度基準なし、複数観測点データで判断)、この時には発表されなかった。気象庁は、同日中に誤報だったことを報道発表[39]、翌15日の記者会見で、当該地震計が設置(2003年12月)後1度も点検されていなかったことを認めて誤報を陳謝した[41][42][43]。 また、当該受信端末が気象庁の審査をすり抜けていたことから、受信端末を製造する全事業者への立ち入り調査を予定しているという(7月18日現在)[40]。このトラブルではまず、千葉県にある気象庁観測点「銚子天王台」の地震計において、「高度利用者向け」速報を発表する加速度基準を100 gal以上とすべきところ、誤って「10 gal 以上」と設定されていたことにより、「千葉県銚子市付近、最大震度5 弱以上」とする誤った第一報が気象庁から発表された(10.6秒後の続報で訂正)[39]。なお実際には、観測加速度は12 gal [39]、全体では最大震度が2で、マグニチュードはM3.6と推定された[38]。JR東日本では自前の観測網を持つことから誤報と判断できたものの、都営地下鉄全4路線を含む首都圏の一部鉄道で列車停止などの影響が出た[44]。さらに、同一メーカー提供による複数の受信端末において、この速報を正しく処理できず、ありえないマグニチュード推定値(「M 12.7」)、かなり強い予測震度(「震度7」ほか)など、いずれも根拠の無い誤情報が出力された[40]。愛知県岡崎市の小中学校では「M 12.7、最大震度6弱」が出力され、生徒らが避難行動をとった[40][45]。この受信端末には震源情報が表示されず、実際には震源から遠いことがわからない中[45]、怖さで涙ぐむ生徒もいたという[40]。また、気象庁庁舎1階にあり、速報の総配信元でもある(財)気象業務支援センターでも、警報音が鳴るともに、「震度7」が表示された[46]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen