経済学は、その誕生・分析対象が社会政治経済問題と不可分であったことから政策への提言として社会へ関わる機会が非常に多い。19世紀以降は、社会的な判断において経済学が不可欠となった。社会問題を対象としている性質からか、社会的不幸を予測する理論も多々生まれ「陰鬱な学問」とも呼ばれた。先駆的政策(事実上の実験)の過程と結果から新たな学問的問題を提起したソビエト連邦による社会主義建設は失敗し「壮大な社会実験」として総括されているが、この社会主義的政策が、第二次世界大戦後日本で採られた傾斜生産方式のように社会に有益な影響を与えたのも事実である。ちなみに近代経済学では傾斜生産方式の有用性について疑問符を投げかけている。マルクス主義経済学と対照をなす古典派経済学はイギリス帝国や20世紀初頭のアメリカの繁栄などで実証されたかにみえたが、世界恐慌や植民地帝国の解体によって軌道修正をよぎなくされる場面もあった。理論と結果への当てはめという試行錯誤が長く繰り返される中で経済学は発展し近代経済学の成立とあいなった、現代では一般的に経済学=近代経済学とされる。だが近代経済学もまだまだ問題が山積しているのは明白である。
1980年代からゲーム理論が積極的に取り入られるようになり、特にメカニズム・デザインと呼ばれる分野における成果はめざましい。具体的には、周波数オークションの設計、電力市場の制度設計、教育バウチャー制度の設計、臓器移植の配分問題の解決といったものが挙げられる。これらはいずれも経済学なくして解決できなかった問題であり、さらに経済学が現実の制度設計において非常に重要な役割を果たしていることの好例である。
有限な事物の分配・生産が対象であり人間が知覚できる有限性がなければ対象とはならない。例えば宇宙空間は未だに対象ではないが、東京に供給されるビル空間の量は対象である。その他にも人間行動の心理的要素や制度的側面も重要な研究対象である。また事実解明的分析と規範的分析に分けられる。前者は理論的に説明・判断できる分析であり、後者は価値判断や政策決定に使われる分析である。例えば「財政支出を増やすと失業が減少する」は真偽が判明する分析であるが、「財政支出を増やして失業が減少したほうが良い」は価値判断が絡む分析である。
経済学は法学、数学、哲学などと比べて比較的新しい学問である。近世欧州列強の著しい経済発展と共に誕生し、その後資本主義経済がもたらしたさまざまな経済現象や経済システムについての研究を積み重ね、現代に至る。
経済についての研究の始まりはトーマス・マン(1571?1641)によって書かれた『外国貿易によるイングランドの財宝』や、ウィリアム・ペティ(1623?1687)の『租税貢納論』、バーナード・マンデヴィル(1670?1733)の『蜂の寓話』、ダニエル・デフォー(1660?1731)の『イギリス経済の構図』、デイヴィッド・ヒューム(1711?1776)の『政治論集』などに見られるような重商主義の学説である。この時代には欧州列強が海外植民地を獲得し、貿易を進めて急速に経済システムを発展させていた。
1758年にフランスの重農主義の学派フランソワ・ケネー(1694?1774)が『経済表』を書き、国民経済の再生産システムを解明して、経済学の体系化の発端となった。
1776年にアダム・スミスにより資本主義工場生産について論じた『国富論』 (The Wealth of Nations)が書かれ、これが現在の理論化された経済学の直系で最古の理論に当たる。そのためスミスは経済学の父と呼ばれている。経済学では一般的に『国富論』を持って始まりとされる。またデイヴィッド・リカード(1772?1823)の『経済学および課税の原理』、マルサス(1766?1834)の『人口論』や『経済学原理』、ジョン・スチュアート・ミル(1806?1873)の『政治経済学原理』などがスミスに続いて英国古典派経済学の基礎を築いていった。
しかし発展過程で大きく経済学は二系統に分かれていく。すなわち「資本主義経済の現象を数値化して分析する」という潮流を受け継いだ、当時イギリスやオーストリアなどで登場した「限界効用」学派を中心とした近代経済学、そして「資本主義の本質を労働価値説に基づいて分析する」という潮流を受け継いだマルクス経済学(政治経済学)である。この二派の系統は、思想的立場、分析手法、理論形態の違いにより対立的な関係のまま発展を続けることとなる。
近代経済学はその後、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(1798?1855)の『経済学の数学的一般理論の考察』や『経済学の理論』、レオン・ワルラス(1834?1910)の『純粋経済学要論』や『応用経済学研究』、カール・メンガー(1840?1910)の『国民経済原理』や『社会科学特に経済学の方法に関する研究』、アルフレッド・マーシャル(1843?1924)の『外国貿易と国内価値との純粋理論』や『経済学原理』、ジョン・メイナード・ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』、ヨーゼフ・シュンペーターの『理論経済学の本質と主要内容』や『経済発展の理論』、などの研究を通じて発展していくこととなる。