租税回避は、あくまで形式的には合法な行為に属する。しかしながら、想定の範囲を超えた異常な法形式を用いていることから、租税法上その法形式を容認するか無視するかという問題が生ずる。
租税回避に対し、実際に行なわれた法形式を租税法上は無視し、通常行なわれるべき法形式に対応する課税要件が満たされたものとすることを「租税回避行為の否認」という。ドイツ租税通則法第42条は「租税回避行為の否認」を認めた代表的な規定である。日本にはドイツ法のような総則的規定はないが、所得税法第157条のように個別の否認規定が設けられている。
租税法上、個別に租税回避を否認する規定があれば、同規定に基づいて租税回避を否認することに問題はないが、租税回避を否認する規定がない場合の取り扱いについては議論が分かれている。否認を認めないとすると、租税回避行為者と通常の法形式によった者との間に不公平が生ずる。反面、租税回避を否認し課税を行なうとすると、租税法律主義に反する結果の招来という問題が生ずる。通説では、法律の根拠(総則ないし個別の否認規定)がない限り、租税回避行為の否認は認められないと考えられている。この通説の立場からは、租税回避に対応するためには、新たな租税回避の類型が現れるたび、個別の否認行為を迅速に立法する必要があるとの主張がなされている。
関連項目
租税法
脱税
節税
租税裁定
タックス・シェルター
タックス・ヘイヴン
参考文献
金子宏、『租税法 第十一版』、2006年、弘文堂、ISBN 4335302339
カテゴリ: 租税
更新日時:2008年8月30日(土)06:15
取得日時:2008/09/06 13:01