冷静沈着な風貌だが、官邸の官房長官執務室で大仁田厚に対し「大仁田君、政治は男のロマンだ。ファイヤー」[133]と説くなど、ときに熱血漢ぶりを発揮することもある。政敵の菅直人は、官房長官時代の福田について「斜に構えているが泥をかぶってもやり遂げるというところがあった。小泉首相・福田官房長官というのは中曽根首相と後藤田官房長官を思わせる」[134]と評している。脚本家の三谷幸喜は、当時の菅と福田を対比し、福田の物言いについて「明らかに面白いことを言おうという意思がうかがえ、しかも確実に面白いことを言っている」[135]と評した。小泉政権で福田とともに閣僚を務めた竹中平蔵は、首相就任後の福田について、クールアース推進構想での数値目標導入、公務員制度改革での内閣人事庁の新設、道路特定財源の一般財源化表明などを例示し「一カ月に一回くらい結構大きな決断をしている」[136]と指摘し「福田総理は改革に後ろ向きであるわけではない」[136]としている。同時に、竹中は福田政権の問題点として、福田によるプロアクティブな改革への取り組みを国民はリアクティブな改革として受け取めていると指摘し、「『政策マーケティング』に問題あり」[136]と評している。
エピソード2008年2月27日、アメリカ合衆国国務長官コンドリーザ・ライス(手前左)と
在日米軍による犯罪
2008年2月10日に沖縄県で発生した在日米軍海兵隊二等軍曹による女子中学生強姦事件について、「わが国の法と証拠に基づいて適切に対処していく」と述べたうえで、「過去に何度か起こっているにもかかわらず、また起きてしまったことは本当に重大なことだと受け止めている。許されることではない」と強く非難し、アメリカ側に抗議し、改善を求める考えを明らかにした[137]。2008年2月27日、総理大臣官邸を訪問したアメリカ合衆国国務長官コンドリーザ・ライスは「極めて遺憾で申し訳なく深刻に受け止めている。再発防止に向け最大限努力したい」[138]と述べ、福田に対して謝罪の意を表した。
『朝日新聞』誤報問題
2003年10月9日、参議院「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会」の審議中、日本道路公団総裁藤井治芳の更迭問題が取り上げられた。参議院議員齋藤勁が『朝日新聞』の報道を基に、10月5日に民主党と自由党との合併大会が開催されるから、あえて大会当日を選んで藤井の総裁更迭を実施したのではないか、と問題提起した。齋藤は内閣総理大臣の小泉純一郎や内閣官房長官の福田を追及したが、小泉や福田らに否定された。齋藤は『朝日新聞』の記事に基づき「天下の報道、報道って、新聞ですよ」[139]と主張したが、福田は「そう書いてあるから信じようというのは、それはお金払って新聞買っているわけですから、それはお気持ちはよく分かりますけれども、やっぱりよくそこの辺は吟味する必要もある」[139]と指摘したうえで、「福田官房長官がこう言っただとか、そういうことでうそが随分たくさんある」[139]と『朝日新聞』の報道姿勢を批判した。
年金記録問題
2007年に年金記録問題が政治問題化すると、社会保険庁は宙に浮いた年金記録の解消を図るため、該当者不明の年金記録5000万件の照合作業を開始した。照合作業は安倍政権の下で始まったが、続く福田政権でも作業は引き継がれた。2007年12月、社会保険庁の照合作業の中間報告がなされ、2008年3月末までに持ち主が判明するのは1000万人程度に留まり、名寄せ困難な記録が1975万件に達するとの推計値が公表された[140]。しかし、年金記録5000万件の照合作業について、前任首相の安倍晋三は2007年5月の国会答弁で「三千万人の方々とこの二千八百八十万件を一年間のうちに突合いたします」[141]と主張し、「一年間で私たちはすべて突合を行うということをお約束をする」[141]と明言していた。さらに、第21回参議院議員通常選挙での演説で安倍は「最後の一人まですべての記録をチェックし、まじめに保険料を払ってきた人の受給を保障する」[142]と述べており、選挙公約に掲げていた。中間報告の推計に基づけば安倍の公約の達成はほぼ不可能と見られることから、政府・自民党に対し公約違反との批判が高まり、福田が首相として謝罪する騒ぎとなった[143]。内閣官房長官町村信孝は「亡くなった方もいる。『最後の一人まで』ということはありえない。もとより無理」[143]と述べ、安倍の公約自体に実現可能性がなかった問題点を指摘した。