社会保険庁の主な業務は、国民年金、厚生年金保険及び政府管掌健康保険にかかる適用・徴収・給付であり、その事務については、国が保険者として最終的な責任を負い、不断の経営努力を行うことが不可欠であることから、地方分権推進委員会第3次勧告(1997年9月2日)において、国の直接執行事務として社会保険庁が一元的に実施することとして整理された。
これを受けて、国民年金保険料の徴収については、機関委任事務として市町村の窓口において行われてきたが、原則として国が直接行うものとして整理され、地方分権一括法の施行に伴い、2002年4月より国に移管された。また、地方事務官制度も廃止されることとなり、2000年4月の地方分権一括法の施行に伴い、都道府県において当該事務に従事していた職員の身分が厚生事務官となった。
これに伴い、上記の沿革にある通り、都道府県の年金主管部局を廃止してそれを母体として社会保険庁の地方支分部局たる「地方社会保険事務局」が新設され、また、都道府県の社会保険事務所は社会保険庁の機関に移行した。
年金制度に関する企画・立案や積立金の管理は厚生労働省の年金局が行っている。
地方分権推進委員会第3次勧告
健康保険、厚生年金、国民年金等、地方事務官が従事する社会保険の事務は、国が保険者として経営責任を負い、不断の経営努力を行うことが不可欠であること、また、全国規模の事業体として効率的な事業運営を確保するためには一体的な事務処理による運営が要請されていること等から、国の直接執行事務と整理した。
地方事務官
地方事務官とは、地方自治法制定(1947年)の際、都道府県に所属しながら官吏(国家公務員)として従事していた職員が、当分の間、官吏のままとされていたもので、主務大臣が人事権を有し、都道府県知事が業務の指揮監督を行うこととされていた。1985年(昭和60年)4月1日に各都道府県の陸運事務所が運輸省の運輸局陸運支局として移管され、当該事務に従事してきた地方事務官は運輸事務官に変更された。2000年(平成12年)4月には、社会保険事務に従事する地方事務官は厚生事務官に、職業安定事務、労働保険事務に従事する地方事務官は労働事務官に変更され、地方事務官は全廃された。
組織・人事
社会保険庁長官
首席統括管理官
統括管理官(改革特命担当)
管理官
総務部―総務課・職員課・経理課・サービス推進課
運営部―企画課・医療保険課・年金保険課
社会保険業務センター―総務部・情報管理部・業務部・記録管理部・中央年金相談室
社会保険大学校―庶務課・教務課
地方社会保険事務局(2006年10月1日現在・全国47箇所)―社会保険事務所(2006年10月1日現在・全国265箇所)
社会保険庁の所掌事務である政府管掌健康保険事業の運営については、2006年「健康保険法等の一部を改正する法律」が国会で可決成立し、2008年8月に自主自立の事業運営にするために、非公務員型の法人「全国健康保険協会」を設立することとなった。また、船員保険については、労働保険と全国健康保険協会に移管することとなった。
年金事業の運営については、納付率の低下により国民年金制度の仕組みが破綻してきているとの声がある中で、年金保険料の無駄づかいや個人情報を業務外の目的で閲覧し外部に情報を流す行為、年金保険料の不正免除等の不祥事などが、国民の社会保険庁や職員への不信を招き、信頼回復に向けて組織改革、業務改革、職員の意識改革が求められている。
同庁の人事システムは、要職を厚生労働省キャリア組がおさえ、中間管理職を同庁採用のノンキャリア職員が占め、現場は、かつて地方事務官と呼ばれ各都道府県知事の監督下にあった職員からの移行者が運営するという、独特な三層構造となっている。
以下に述べる数々の不祥事、特に横領事件については舛添要一厚生労働大臣も、「関係者は、全員刑事告発されるべきであり、牢屋に入ってもらいます。」と述べている。但し、多くの横領事件は刑事事件における横領事件は7年という公訴時効の壁があり告発を断念した。これについて時効は分かっていたはずだとして野党より非難された。
2004年3月、国民年金保険料未納情報に関する個人情報の漏洩が疑われる事例(政治家の年金未納問題)が報道されたのをきっかけに、社会保険庁のずさんな業務運営が次々と発覚した。同年7月、約300名の職員が未納情報等の業務目的外閲覧を行っていたことが判明し、行為者及び管理監督者の合計513名の職員が処分された。同年9月には、社会保険庁の幹部職員が収賄罪で逮捕され、国民の信頼を著しく損ねる結果となった。
通常国会における年金改正法案の審議やマスコミの報道等においては、「利用者の立場や目線に立っていない」「個人情報保護の重要性について十分に認識していない」「国民が納めた保険料や税金を保険給付以外に安易に使っている」等が指摘され、社会保険庁の組織の体質や、職員の倫理意識が問われた。ただし、事務費に保険料を充てていたことに関しては、各年度の予算及びその根拠となる特例法で定められた仕組みであり、いわゆる「保険料の流用問題」といわれる「流用」が社会保険庁の不祥事であるかのような報道は完全な誤りである。「保険料の流用問題」と社会保険庁の使途内容が適切か不適切かといった議論は、次元の異なる性質のものである点に留意する必要がある。
2006年5月、全国各地の社会保険事務所が、国民年金保険料の不正免除(法令等に違反する事務処理)を行っていたのが発覚した。調査の度にその数は増え続け、最終的に不正免除は222,587件に達し、行政組織としての遵法意識やガバナンスが欠如していることを露呈させた。