磁気浮上式高速鉄道
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磁気浮上鉄道の歴史


浮上鉄道のアイデア

浮上式の交通機関のアイデアは古くから存在する。大部分は航空機へとつながるアイデアであるが、19世紀頃には、気球を車体に取り付け、空中に設置された軌道を走行する鉄道や、水流に乗って走る鉄道の想像図が描かれ、特許も多数申請された。実際、1870年頃のフランスパリで行われた博覧会では、水を軌道から吹き上げ、車両を浮上させてその上を走る列車が運転された。

第二次世界大戦後、航空機や自動車の技術が発達すると鉄道に関しても高速化に関する研究が各国で始まる。鉄道の高速化に際し、鉄レールと鉄輪の組み合わせがボトルネックになると考えられていた。そこで、車両そのものを浮上させて高速化を図ろうというアイデアが提案されるようになる。具体的には、磁気浮上とエア浮上の2種類が考えられた。


磁気浮上鉄道の基礎研究・開発

磁気浮上による車両浮上のアイデアは古くからあり、1914年に、イギリスのエミール・バチェレット(Emile Bachelet)が世界初の電磁誘導反発式の磁気浮上リニアモータのモデル実験を行っている。また、ドイツではトランスラピッドの源流ともなる電磁吸引式浮上がヘルマン・ケンペル(Hermann Kemper)により1922年に開発がはじまり、1934年にケンペルは磁気浮上鉄道の基本特許をドイツで取得した。

磁気浮上鉄道の研究が本格化したのは1960年代に入ってからで、各国で研究が始まった。特に旧西ドイツは国家的支援を受けて、メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(MBB)社が1966年から本格的に研究を始め、1971年、Prinzipfahrzeug(車上一次リニア誘導モータ)が90km/hの記録をつくる。また、1975年にKomet(Komponentenmestrager)が14mmの電磁吸引浮上で水蒸気ロケット推進ながら401.3km/hの記録をマーク。また、日本のHSSTの一部技術の基になった技術の導入元でもあったクラウス=マッファイ社が中心となったトランスラッピッド・プロジェクトのTR-02号機が1971年に164km/hをマーク。またシーメンス社が中心となり、超電導による電磁誘導式浮上のEET-01が1974年に280mの円形軌道で230km/hの走行実験を行った。

日本では、1963年から鉄道総合技術研究所を中心に研究が始まり、1972年に国鉄が日本の鉄道100周年を記念してML100による試験走行を公開。また日本航空がクラウス=マッファイ社の技術を導入してHSSTの開発プロジェクトを立ち上げ、1975年から開発を開始。また当時の運輸省は独自に通勤用の磁気浮上式鉄道イーエムエルプロジェクト(EMLプロジェクト)立ち上げ、1976年に実験を行っている。

アメリカでは、1970年代に磁気浮上の研究が行われていたがその後低調となり、ローマグ社(Romag)から開発を引き継いだボーイング社で1980年代中までは行われていたようである。


磁気浮上鉄道の歴史の概略

1980年- 日本 - マグレブが宮崎実験線をU字型軌道に改良。有人走行車両MLU001を導入。

1983年- 西独 - TR-06がエムスランド実験線(20.3km)で走行試験を始める。

1984年- 英国 - バーミンガムピープルムーバがバーミンガム空港とバーミンガム駅間の世界初の実用化路線として完成(1995年運行停止)。英国ではホバートレイン計画の中止後、イギリス国鉄や大学で磁気浮上鉄道の研究が行われていた。イギリス国鉄は市場調査の結果、低速の市内交通に磁気浮上鉄道の可能性があるとし、小型低速タイプの研究を行っていたが、その成果である。

1985年 - 日本 - つくば国際科学技術博覧会でHSST03が運転した。

1986年 - カナダ - バンクーバー国際交通博覧会でHSST03が運転した。日本の磁気浮上鉄道が海外で運転されたのは初めて。

1987年 - 日本 - 愛知県の葵博覧会でHSST03が運転した。

1988年 - 日本 - 埼玉県のさいたま博覧会でHSSTが運転した。

1989年- 西独 - M-Bahnが旧西ベルリンのグライスドライエック駅?ケンパープラッツ駅間約1.6kmで、実用線としては世界で2番目に運行開始。1973年に開発が始まり1987年に実用線が完成したが、1992年に廃止された。しかし、実用化に向けた開発・売り込みは続いており、ブラウンシュバイク工科大学のキャンパス内に全周1.3kmの実験線が建設され、日本の神戸製鋼所AEG社は技術提携を行い、日本国内等で売り込みが行われている模様である。

西独では、それまでバラバラに行われていた磁気浮上式鉄道のプロジェクトの一本化をはかり、トランスラピッドを中心とした技術開発に集約された。


1989年 - 日本 - 横浜博覧会でHSSTが営業運転した。期間限定・博覧会場内限定ながら第一種鉄道事業免許を得ており(YES'89線)、展示走行ではなく、磁気浮上式鉄道として運輸当局の認可を得た最初の営業運転である。

1990年- 日本 - JR式マグレブの実用化実験のための山梨実験線の工事が始まる。

1990年代- 日本 - 熊本工業大学で吸引式磁気浮上鉄道の研究が進められた。 ⇒[1]

1993年 - 韓国 - 大田国際科学技術博覧会で吸引式磁気浮上鉄道が運転された。

1997年- 日本 - JR式マグレブが山梨の実験線で実用化を目指した開発へと移行。

2000年6月- 中国 - ドイツ製のトランスラピッドが上海浦東国際空港のアクセス鉄道として採用が決定。

2003年12月29日- 中国 - 上海トランスラピッド(ドイツ製)が上海浦東国際空港のアクセス用に、常設実用線としては世界で3番目、万博などでの期間限定の実用線を含めれば世界で8番目に開業。営業最高速度430km/h。ただし、2003年はまだ、敷設工事が完成した段階で試行運転のみ。一般の乗客を乗せたのが2004年で、本格的商用運転は2006年から。

2005年- 日本 - HSSTが愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)として、愛知県で開催された愛知万博に合わせ日本初の常設実用線として開業。最高速度100km/h。

2005年5月 - 中国 - 中華06号…大連で設計速度400km/hの車両が試運転された。中国が独自開発したとされる小型懸垂式リニアで、永久磁石を使用し浮上するのに電力を必要としない設計。建設コストは、2007年時点で日独方式の半分程度ともいわれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki