硫酸の原料は二酸化硫黄 (SO2) である。日本国内では原料の二酸化硫黄を非鉄金属の精錬不純物、もしくは回収硫黄から得ている。
硫酸は二酸化硫黄を酸化することで製造されている。
酸化の方法は大きく接触法と硝酸法に分かれる。歴史的には窒素酸化物を触媒とする硝酸式で製造されてきたが、製造できる硫酸の濃度が低く、不純物も多くなってしまう。2004年現在、日本国内ではすべて接触法で硫酸を製造している。
[接触法]では、二酸化硫黄を酸化するために固体である五酸化二バナジウムを用いる。固体触媒を使うため、不純物も少ない。硫酸の濃度を高めることも可能であり、発煙硫酸も製造できる。
反応生成物である三酸化硫黄を濃硫酸に過剰に吸収させて発煙硫酸 (H2SO4・nSO3) とし、希硫酸で希釈して濃硫酸を得る。
補足1: 三酸化硫黄は水とは発熱を伴って激しく反応し、硫酸を生じる。その化学反応式を以下に示す。
補足2: 硝酸法による硫酸製造の反応式
補足3: 過酸化水素による方法
硫酸はさまざまな肥料、繊維、薬品の製造に不可欠である。そのため、硫酸の生産能力は、一国の化学産業の指標となっている。2000年現在の年間生産量では、全世界の9600万トンのうち、中国が2400万トンを占める。ついで、アメリカ合衆国の960万トン、ロシアの830万トン、日本の710万トン、インドの550万トンである。中国とインドは5年間で生産量を約 30% 伸ばしており、ロシアも成長しているが、日本は微増にとどまり、アメリカ合衆国は減少している。
国内最初の硫酸製造工場は、1872年(明治5年)、大阪市北区天満にある大阪造幣局に設置された。大阪造幣局創設の翌年である。貨幣に利用する金や銀の洗浄に用いるためである。当時の製造設備は硝酸法の一種である鉛室式であり、製造能力は1日当たり、180キログラムであった。
硝酸法のもう一つの製造方法である接触法の製造設備は日露戦争中である1905年に登場した。設置場所は、神奈川県平塚市にあった平塚海軍火薬廠である。製造能力は1日当たり、3,000キログラムであった。
硫酸イオン(りゅうさんいおん、sulfate, SO42−)は主に硫酸およびその化合物の電離、分解などによって生成する2価の陰イオン、硫黄化合物である。硫酸は強い酸化剤となるため、硫酸イオンは金属と多くの化合物を作る。硫酸イオンから酸素原子が1つ取れたイオン (SO32−) は亜硫酸イオンと呼ばれる。
硫酸は安価に製造できる不揮発性の強酸のため、種々の硫酸塩が工業製品として製造されている。(記事 硫酸塩も参照のこと)
硫酸アルミニウム (Al2(SO4)3)
硫酸アルミニウムカリウム (AlK(SO4)2・12H2O) ? 最も一般的なミョウバン
硫酸アンモニウム(硫安、(NH4)2SO4) ? 肥料
硫酸カリウム (K2SO4) ? 肥料
硫酸カルシウム (CaSO4) ? 石膏の主成分
硫酸クロムカリウム (CrK(SO4)2・12H2O) ? クロムミョウバン
硫酸水素ナトリウム (NaHSO4)
硫酸水素ニトロシル (NOHSO4) ? ニトロソ化試薬
硫酸タリウム (Tl2(SO4)3) ? かつては殺鼠剤の原料として用いられたが、現在は使用されていない
硫酸鉄(緑礬、FeSO4)
硫酸銅(胆礬、CuSO4)
硫酸ナトリウム (Na2SO4)
硫酸ニコチン (C10H14N2・1/2 H2SO4) ? 殺虫剤
硫酸バリウム (BaSO4) ? 造影剤
硫酸マグネシウム (MgSO4)
鉱物学において、硫酸塩からなる鉱物を硫酸塩鉱物(りゅうさんえんこうぶつ、sulfate mineral)という。明ばん石(KAl3(SO4)2(OH)6)、石膏(CaSO4・2H2O)、天青石(SrSO4)、重晶石(BaSO4)などがある。
硫酸とアルコールとが脱水縮合した構造を持つ誘導体を示す。
硫酸ジメチル ((CH3O)2SO2) ? メチル化試薬
硫酸に因む地名硫酸町バス停
硫酸町(りゅうさんまち 山口県山陽小野田市小野田)
硫酸町バス停(サンデン交通・船鉄バス)
日産化学工業小野田工場に由来。かつては硫酸町商店街もあった。現在「硫酸町」は通称地名の扱いだが、引き続き独自の郵便番号が割り振られている(〒756-0807)。 ⇒国土用語の基礎知識 日本地理編も参照。
関連項目ウィキメディア・コモンズには、 ⇒硫酸 に関連するカテゴリがあります。