1250年にアルベルトゥス・マグヌスにより発見されたとされる。
ヒ素は無味無臭かつ、無色な毒であるため、しばしば暗殺の道具として用いられた。ルネサンス時代にはローマ教皇アレクサンデル6世(1431年 ? 1503年)と息子チェーザレ・ボルジア(1475年 ? 1507年)はヒ素入りのワインによって、次々と政敵を暗殺したとされる。
入手が容易である一方、体内に残留し容易に検出できることから狡猾な毒殺には用いられない。そのためヨーロッパでは「愚者の毒」という異名があった。
中国でも天然の三酸化二ヒ素が「砒霜」の名でしばしば暗殺の場に登場する。例えば、『水滸伝』で潘金蓮が武大郎を殺害するのに使用したのも「砒霜」である。
無機ヒ素は容易に水素化物として気化する。このため、無機及び全ヒ素の分析法では専ら強酸分解試料に水素化試薬を加え、生成気化した水素化ヒ素を原子吸光法、誘導結合プラズマ発光(ICP)法、ICP質量分析(ICP-MS)法で測定するか、吸収液で捕集し吸光度法で測定する。感度はICP-MS法>ICP法>原子吸光法>吸光度法の順に高感度である。原子吸光法では装置のバーナヘッド部を加熱セルに交換するか、バックグラウンド吸収が低いアルゴン-水素炎を用いる。感度・精度ともアルゴン-水素炎よりも加熱セルを採用した方が優れている。有機ヒ素化合物の分析では、未分解の試料を溶媒で抽出後、HPLCで分離しICP-MSで検出する方法が採用される。
全ヒ素の分析手順は概ね次のようなものである。詳細は成書を参照されたい。
試料を強酸分解する。硝酸-過塩素酸、硝酸-硫酸、硝酸-過塩素酸-硫酸のような混酸が用いられる。
分解液を水素化物発生装置の試料容器に採る。
これに塩酸、ヨウ化カリウム、塩化スズ(II) を加え、しばらく放置する。この操作でヒ素(V)をヒ素(III)に還元する。
さらに水素化試薬(水素化ホウ素ナトリウム、亜鉛粉末等)を加え、試料容器を密閉する。
水素化ヒ素が気相に追い出されてくる。
気相を原子吸光分析装置に導入する。
波長 193.7 nm の吸光度を測定する。
(アルゴン-水素炎で測定する場合は、通常のスロットバーナで可能。バーナヘッド部を加熱セルに変更した場合は、セル温度を 950°Cに設定する。)
一昔前は水素化ヒ素発生装置の操作が面倒であったが、最近はオートサンプラ付きの自動水素化物発生装置が市販されている。試薬の濃度や組合せを変更すれば鉛、セレン、アンチモン等の分析にも対応できるなど、とても簡便になっている。
ヒ素鉱石を構成する鉱石鉱物には、次のようなものがある。
自然砒 - As(三方晶系)
輝砒鉱 - As(斜方晶系)
パラ輝砒鉱 - As(斜方晶系)
紅砒ニッケル鉱 - NiAs
砒鉄鉱(砒毒砂、レーリンジャイト) - FeAs2
鶏冠石 - As4S4
雄黄(石黄) - As2S3
輝コバルト鉱 - CoAsS
硫砒鉄鉱 - FeAsS
硫砒銅鉱 - Cu3AsS4
方砒素華 As2O3
スコロド石 - Fe3+AsO4・2H2O
コバルト華 - Co3(AsO4)2・8H2O
ミメット鉱 - Pb5(AsO4)3Cl
オリーブ銅鉱 - Cu2AsO4(OH)
アダム石 - Zn2AsO4(OH)
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^ T. R. Kulp, et al., "Arsenic(III) Fuels Anoxygenic Photosynthesis in Hot Spring Biofilms from Mono Lake, California", Science 321, 967 (2008). DOI: ⇒10.1126/science.1160799
^ ⇒生体と金属(愛知県衛生研究所)
^ ⇒身の回りのヒ素とアンチモンの化合物と環境影響(鹿児島大学工学部生体工学科 前田滋)
^ ⇒ヒジキ中のヒ素に関するQ&A(厚生労働省)
関連項目ウィキメディア・コモンズには、 ⇒ヒ素 に関連するカテゴリがあります。
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