地下から湧く燃える水の存在は、古代から各地で知られていた。産地で燃料や照明に用いた例も多い。17世紀にルーマニア産の石油が灯油用に用いられており、品質の点で他の油より良いとされていた。しかし、大量生産はずっと後のことであった。
機械掘りの油井の出現が、石油生産の一大画期をなした。エドウィン・ドレークが1859年8月にペンシルベニア州タイタスビルの近くのオイル・クリークで採掘を始めたのが世界最初と言われる。しかし、別のところでもっと早くあったとする説もある。19世紀後半には、アメリカ合衆国、ルーマニア、ロシアのコーカサス地方が石油の産地であった。
1863年、ジョン・D・ロックフェラーがオハイオ州クリーブランドで石油精製業に乗り出し、1870年、スタンダード石油を設立した。
しかし、1879年に、エジソンが白熱電球を発明し、アルコールランプの需要は激減し、倒産の危機にあう。 そこへ、1876年にドイツのニコラウス・オットーがガソリンで動作する内燃機関(ガソリンエンジン)の発明を、ゴットリープ・ダイムラーが改良し、1885年にダイムラーによる特許が出される。 1885年、ドイツのカール・ベンツは、ダイムラーとは別にエンジンを改良。 運良く、次世代の石油需要(ガソリン)に転換できたのだった。
同社は、事業統合を重ね、1884年には、アメリカ合衆国全体の石油精製能力の77%、石油販売シェアは80-85%に達した。あまりに巨大化したスタンダード石油に対し、世論の反発が起き、1890年に成立したシャーマン反トラスト法により、同社は解体された。ただし、消滅したわけではなく、分割されただけである。スタンダード石油が前身となって、現在あるエクソンモービル、シェブロンなどの旧7大メジャーができた。
19世紀から20世紀半ばにかけて、生産だけでなく、消費側にも石油普及をうながす技術革新が続いた。内燃機関での利用である。19世紀末の自動車の商業実用化、20世紀初めの飛行機の発明は、ガソリンエンジンと切り離しては考えられない。船舶も重油を汽缶(ボイラー)の燃料にするようになった。
石油自体は珍しくないが、大量生産できる油田は少なく、発見が困難であったため、石油産地は地理的に偏った。戦車、軍用機、軍艦などの燃料でもあったことから、20世紀半ばから後半にかけて、石油は死活的な戦略資源となった。
20世紀前半には、ベネズエラやインドネシアが石油の輸出地に加わった。
第二次大戦後、石油の新たな用途として、既に戦前に登場した化学繊維やプラスチックが、あらゆる工業製品の素材として利用されるようになった。また、発電所の燃料としても石油が利用された。
戦後しばらくして、中東に大規模な油田が発見された。中東は優れた油田が多いだけでなく、人口が少なく現地消費量が限られているため、今日まで世界最大の石油輸出地域となっている。
石油の探査には莫大な経費と高い技術が必要となるが、成功時の見返りもまた莫大である。必然的に石油産業では企業の巨大化が進んだ。独自に採掘する技術と資本を持たない国では、巨大資本を持った欧米の少数の石油会社に独占採掘権を売り渡した。これによって石油開発の集中化はさらに進み、石油メジャーと言われる巨大な多国籍企業が誕生した。石油の大量産出によって安価な石油はエネルギー源の主力となり、エネルギー革命と呼ばれるエネルギー源の変化が生まれた。
しかし1970年代に資源ナショナリズムが強まると、石油を国有化する国が相次いだ。1973年から1974年には、第四次中東戦争でアラブ石油輸出国機構がイスラエル支持国への石油輸出を削減し、オイルショックと世界的な不況をもたらした。
他にも北海やメキシコ湾など世界各地で石油が採掘されるようになると、石油の戦略性は低下していった。石油の重要性は低下していないが、供給はかつてほど脆弱ではない。価格変動が景気にどの程度の影響を与えるかという程度になっている。
国内主要油田の年間生産量(2004年)順位油田名道県名生産量(バレル)
1勇払(ゆうふつ)北海道1,490,000
2岩船沖(いわふねおき)新潟県1,010,000
3南長岡(みなみながおか)新潟県690,000
4東新潟(ひがしにいがた)新潟県580,000
5由利原(ゆりはら)秋田県470,000
日本書紀には、越後国より天智天皇に「燃ゆる水(燃水)」が献上されたという記述がある。今日の新潟県胎内市より産したものであるとされる。自然にわき出た原油は「臭水、草水(くそうず)」などと呼ばれた。なお、現在も新潟市秋葉区や新潟県阿賀野市を始め各地に地名として残っている。
現在では、新潟県・秋田県の日本海沿岸、および北海道(勇払平野)などで原油が採掘されている。生産量は年間で86万キロリットル程度(2004年度)で、国内消費量全体に占める比率は、0.3%に過ぎない。
一方で原油の輸入量は国内消費量全体の99.7%、2億5,460万キロリットルである。