石油
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生物由来説(有機成因論)

現在の学説の主流である。百万年以上の長期間にわたって厚い土砂の堆積層の下に埋没した生物遺骸は、高温と高圧によって油母 (kerogen) として知られているワックス状の物質に変わり、次いで液体やガスの炭化水素へと変化する。これらは岩盤内の隙間を移動し、貯留層と呼ばれる多孔質岩石に捕捉されて、油田を形成する。この由来から、石炭とともに化石燃料とも呼ばれる。

有機成因論の根拠として石油中に含まれるバイオマーカーの存在がある。 葉緑素に由来すると考えられるポルフィリンや、コレステロールに由来すると考えられるステラン、あるいは、酵素の関与しない化学反応では生成が困難な光学活性をもつ有機化合物などが石油に含まれるバイオマーカーとして知られている。

これら石油の大部分は油母(kerogen、ケロジェン)の熱分解によって生成していると考えられている。 これは、石油中に含まれる炭化水素の炭素同位体比を調べた結果、炭素数の少ない炭化水素ほど、質量の軽い炭素同位体を含む割合が多くなるという傾向が、熱分解による炭化水素の生成の傾向と同じであることが知られているためである。

この結果は、メタンのような炭素数の少ない炭化水素の重合によって石油が生成したとする無機成因説とは矛盾するため、多くの学者は有機成因説を支持している。


無機成因論

惑星(地球)内部には膨大な量の炭素が存在するのが自然であり、一部分は炭化水素の形で存在している。炭化水素は岩石よりも軽いので、地表へと染み出してくる。この無機成因論に基づけば、一度涸れた油井もしばらく放置すると再び原油産出が可能となる現象を説明することができる。

無機成因論の根拠としては「石油の分布が生物の分布と明らかに異なる(深い地層に埋蔵されている)」「石油の組成が多くの地域で概ね同一である」などがあげられる。 また、生物起源論が根拠としている、石油中に含まれる炭化水素の炭素同位体比を調べた結果、炭素数の少ない炭化水素ほど、質量の軽い炭素同位体を含む割合が多くなるという傾向は、地下から炭化水素が上昇する過程で、分子の熱運動により重い同位体が分離されたと説明することも可能だという。


また、トーマス・ゴールドの新しい説が2003年の Scientific American誌で発表され、それによると炭化水素は地球の内核で放射線の作用により発生するとされている。


成分

石油を構成する化学物質は、分留によって分けられる。原油はそれを精製した製品として、灯油、ベンゼン、ガソリン、パラフィンワックス、アスファルトなどを含む。厳密に言うと、石油は水素と炭素だけから構成される脂式炭化水素を要素とする。

まず示すのは、分子量が最小の4種の炭化水素で、すべてガスである。

CH4 (メタン、 methane) ? 沸点 -107℃

C2H6 (エタン、 ethane) ? 沸点 -67℃

C3H8 (プロパン、 propane) ? 沸点 -43℃

C4H10 (ブタン、 butane) ? 沸点 -18℃

  炭素数5 - 7の範囲の鎖状炭化水素は、完全に軽質で、蒸発しやすい透明な性質のナフサになる。ナフサの留分は溶媒、ドライクリーニングの溶剤あるいはその他の速乾性の製品に用いる。

C6H14からC12H26までの鎖状炭化水素は配合調整されガソリンに用いられる。炭素数10 - 15の範囲の炭化水素からケロシンが作られジェット燃料に用いられる。炭素数10?20の範囲からディーゼル燃料(軽油)と灯油が、そして船舶のエンジンに用いられる重油と続く。これらの石油製品は常温で液体である。

潤滑油と半固体の油脂(ワセリンを含む)は、炭素数16から炭素数20の範囲である。

炭素数20以上の鎖状炭化水素は固体であり、パラフィンワックスを皮切りに、タールアスファルトの順である。

常圧蒸留留分の名称と沸点(℃)を示す:石油エーテル (petrol ether) :40 - 70℃ (溶媒用)軽ガソリン (light petrol) :60 - 100℃ (自動車燃料)重ガソリン (heavy petrol) :100 - 150℃ (自動車燃料)軽ケロシン (light kerosene) :120 - 150℃ (家庭用溶媒・燃料)ケロシン (kerosene):150 - 300℃ (ジェット燃料)ガス油 (gas oil):250 - 350℃ (ディーゼル燃料/軽油/灯油)潤滑油:> 300℃ (エンジン・オイル)残留分:タールアスファルト、残余燃料


石油の歴史


19世紀まで

地下から湧く燃える水の存在は、古代から各地で知られていた。産地で燃料や照明に用いた例も多い。17世紀ルーマニア産の石油が灯油用に用いられており、品質の点で他の油より良いとされていた。しかし、大量生産はずっと後のことであった。

機械掘りの油井の出現が、石油生産の一大画期をなした。エドウィン・ドレークが1859年8月にペンシルベニア州タイタスビルの近くのオイル・クリークで採掘を始めたのが世界最初と言われる。しかし、別のところでもっと早くあったとする説もある。19世紀後半には、アメリカ合衆国ルーマニアロシアコーカサス地方が石油の産地であった。

1863年ジョン・D・ロックフェラーオハイオ州クリーブランドで石油精製業に乗り出し、1870年スタンダード石油を設立した。

しかし、1879年に、エジソンが白熱電球を発明し、アルコールランプの需要は激減し、倒産の危機にあう。 そこへ、1876年にドイツのニコラウス・オットーがガソリンで動作する内燃機関(ガソリンエンジン)の発明を、ゴットリープ・ダイムラーが改良し、1885年にダイムラーによる特許が出される。 1885年、ドイツのカール・ベンツは、ダイムラーとは別にエンジンを改良。 運良く、次世代の石油需要(ガソリン)に転換できたのだった。

同社は、事業統合を重ね、1884年には、アメリカ合衆国全体の石油精製能力の77%、石油販売シェアは80-85%に達した。あまりに巨大化したスタンダード石油に対し、世論の反発が起き、1890年に成立したシャーマン反トラスト法により、同社は解体された。ただし、消滅したわけではなく、分割されただけである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki