集団(政府・行政)による地震対策を見てみると、日本には地震に関する組織が比較的多い。ただし、業務が重複している部分も見受けられており、研究者の間でもこれらの組織の役割の違いを明確に説明することは難しいとされている。アメリカ合衆国のアメリカ地質調査所(USGS)は下に掲げているような役割をほぼ一元的に担っている。
地震予知総合研究振興会
地震予知と防災に関する研究を目的として、1981年1月22日に設立された財団法人。下部組織に地震防災評価機構、地震調査研究センター、東濃地震科学研究所がある。 この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
地震調査研究推進本部
1995年の阪神・淡路大震災から、1995年7月に制定された地震防災対策特別措置法に基づいて設置された組織である(略称「推本」)。地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することなどを目的としている(同法第7条第2項)。発足当時は、総理府に設置されていたが、中央省庁再編によって文部科学省へ移管された。本部長は文部科学大臣である。本部の下に政策委員会と地震調査委員会(2007年現在の委員長は阿部勝征地震調査研究センター所長)が設置されている。政策委員会は関係各省庁の局長級幹部、地方自治体の長、学識経験者によって構成されており、各省庁の地震に関する研究及び調査観測計画の調整、予算配分の方針、調査の成果を社会に広報するための方針など審議している。定められた観測計画に基づき、強震計、高感度地震計、GPS連続観測点が全国に各1000点ずつ整備された。この観測体制は世界随一である。また、地方自治体に交付金を配分し、活断層や地下構造の調査をさせている。地震調査委員会では国立大学法人や独立行政法人などの研究者が毎月集まり、国内の地震活動の状況について検討し、評価文を毎回公表している。大地震が発生した場合には一両日中に臨時会が招集され、検討が行われる。また、地震調査委員会の下に設置される長期評価部会では、全国の98の主要活断層や主な海溝型地震についてその危険性を検討し、発生確率や規模などを公表している。同じく強震動評価部会では、長期評価部会での評価に基づき、それらの地震が実際に発生した場合の揺れの大きさをコンピュータシミュレーションによって試算した地震動予測地図を作成する作業を進めている。2005年3月末には全国を概観した地震動予測地図の第一版が完成し、各地域で将来見舞われる地震動の大きさが把握できるようになった。これは「 ⇒地震ハザードステーション」でも公開されている。
中央防災会議
災害対策基本法に基づいて設置された内閣総理大臣を長とする機関であり、事務局は内閣府である。会議は内閣総理大臣、全ての閣僚、指定公共機関の長4名(2007年現在は日本銀行総裁、日本赤十字社社長、NHK会長、NTT社長)及び学識経験者4名(2007年現在は阿部勝征地震調査研究センター所長、重川希志依富士常葉大学教授、石川嘉延静岡県知事、秋本敏文日本消防協会理事長)によって構成されている。国の防災基本計画の策定や重要施策の決定、大規模地震対策特別措置法に基づく東海地震の地震防災対策強化地域の指定(2002年4月見直し)、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく地震防災対策推進地域の指定(2003年12月)などを行っている。地震のほかにも火山災害や風水害などの政策も担っている。
気象庁
気象業務法に基づいて地震観測を行って、マグニチュードや震度などの地震情報を発表している。また、東海地震予知のための地震防災対策強化地域判定会(通称判定会)を設置しており、気象庁が行っている前兆現象の観測結果から東海地震の発生が予知された場合には内閣に報告し、内閣総理大臣が警戒宣言を発令する。判定会の会長は2008年4月現在阿部勝征東京大学名誉教授である。1996年?2008年3月までは溝上恵東京大学名誉教授が就いていた。
地震予知連絡会
国土交通省国土地理院に設置されている。地震予知に関する観測データや研究成果などの情報交換のために設置されている。法律で設置されているわけではなく、研究者間の情報交換が主な目的であり、何か政策を決定するという類の会議ではない。通常は3ヶ月に1回開催される。国立大学法人北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、独立行政法人防災科学技術研究所、独立行政法人海洋研究開発機構、独立行政法人産業技術総合研究所、海上保安庁、気象庁、国土地理院から選出された30人の委員及び若干名の臨時委員と名誉委員から構成される。委員の交代はあるが、構成機関は当該機関の組織改編などを除けば変わることはほとんどないといってよい。2007年現在の会長は、大竹政和東北大学名誉教授(在任2001年4月?)である。歴代会長は萩原尊禮(在任1969年4月?1981年3月)、浅田敏(在任1981年4月?1991年3月)、茂木清夫(在任1991年4月?2001年3月)と、その時代の地震予知研究の代表的な地震学者が会長に就任している。
地震予知研究協議会
東京大学地震研究所に1978年に設置された機関である。東京大学の機関であるが、「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」という建議に基づき、各国立大学で行われている地震予知研究の方針、観測計画や予算に関する調整を大学間で行っている。大地震発生時の緊急対応のほか、政府と大学の間の窓口としての役割も担っている。2007年現在、国内の各地域を分担するように、北海道大学・弘前大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・高知大学・九州大学・鹿児島大学によって運営されている。