被害者女性は甲府市にある信用金庫の支店に勤務する新人OLであった。この日も窓口業務が終了する時間になった時、本店を経由して地元マスメディアを名乗るものから被害者女性を指名して取材依頼がくる。被害者女性および上司は応諾、勤務時間終了後被害者女性は待ち合わせ場所の小瀬スポーツ公園に向かったきり行方不明となる。翌日、被害者女性の父親が帰宅していないことを支店に問い合わせた時、身代金を要求する一本の電話が入ったことから誘拐が発覚。支店側はすぐさま山梨県警に通報、山梨県警は犯人を刺激しないよう非公開としつつその後もかかってくる犯人からの電話に逆探知装置を使用し犯人の居場所を特定しようとする。しかし山梨県警は身代金受取場所に遅れるなどのミスを犯し、その後犯人からの連絡は途絶える。
そして誘拐されてから1週間後の8月17日、被害者女性は静岡県富士宮市の富士川で遺体として発見された。
遺体発見後、山梨県警はそれまでの情報非公開を解除、一斉公開に踏み切る。同時に遺体を発見した静岡県警と共に合同捜査本部を設置し、逆探知装置に残っていた声をもとに音声・音響分野の研究を行なっている鈴木松美に声紋鑑定を依頼する。 鈴木の声紋鑑定により犯人の特徴を特定し、それがマスメディアによって報道されてからしばらくした8月24日の早朝、加害者男性が山梨県警所轄の警察署に出頭し、逮捕された。
加害者は30代男性で自動車販売業に勤務し、被害者女性の勤務する信用金庫に多額の借金をしており、その返済が滞ったことから犯行に及んだとされる。また被害者女性を指名した理由は支店を訪れた際、名札をつけていたのが被害者女性だけだったため名前を覚えており、その女性を誘拐の対象にし、犯行に及んだ。先輩職員が名札をつけていない中、新入社員の被害者女性だけまじめに名札をつけていたことからこれが仇になってしまったのである。尚、被害者女性は誘拐されたその日に殺害され、富士川上流の笛吹川から流された。
甲府地裁で一審が開かれ、加害者男性は犯行を全面に認めたことから争点は自首の有効性について争われた。弁護側は自首は有効であること主張する一方、甲府地検はすでに犯人が加害者男性と特定されており、自首は無効という理由で死刑を求刑した。そして審議の結果、甲府地裁は弁護側の主張を認め、無期懲役の判決を下した。 これに不服として甲府地検は東京高裁に控訴したものの東京高裁は甲府地裁の判決を支持し、控訴を棄却した。その後地検側、弁護側ともに期日までに上告しなかったため加害者男性の無期懲役が確定した。
1993年8月26日に放送される予定であったタモリのドラマ番組「If もしも」の「誘拐するなら男の子か女の子か」が放送中止になる。その後現在も再放送されていない。(世にも奇妙な物語と同様の権利関係の問題とも考えられる)
加害者逮捕後の10月に「被害者の父親が加害者と顔見知りであり、共謀して被害者を殺害した」という噂が流れた。無論根も葉もない嘘であったことがわかったが、当初の複数犯人説を信じ続ける者がいたり、父親の記者会見の印象をよく思わなかった者が流したものと思われる。
関連書籍
『戦慄の夏―’93甲府信用金庫OL誘拐殺人事件』 読売新聞社甲府支局、1993年12月10日。ISBN 4795207364
『衝撃犯罪解決の真相』 竹書房、1998年3月。ISBN 4812403723
『「鑑識の神様」9人の事件ファイル』 二見書房、1998年1月。ISBN 4576971751
『戦後ニッポン犯罪史』 批評社、1995年6月。ISBN 4826501900
関連項目
グリコ・森永事件?加害者男性が電話をかける際参考にしたとされる事件
⇒無限回廊 カテゴリ: 日本の誘拐事件 | 平成時代の殺人事件 | 甲府市 | 1993年
更新日時:2008年7月15日(火)06:34
取得日時:2008/10/01 09:15