五界説は、1959年、ホイタッカー(Robert H. Whittaker)が提唱した分類法で、現在の主流となっている。 細胞核を持たない原核生物をモネラ界として、カビ、キノコなどを菌界として新たに分離し、モネラ界、原生生物界、植物界、菌界、動物界の五界とした。
1980年代に入ると分岐分類学が優勢となり、動物界・植物界・菌界はそれぞれより狭義的な分類がふさわしいと考えられるようになる。1982年、マーグリスによって、それまで植物と考えられたすべての藻類、および菌類と考えられた粘菌類、卵菌類を原生生物界へと移す提案がなされた。これにより現在に至る五界説の骨格がほぼ決定した。
五界説のモネラ界をさらに細胞の特性で細菌界、古細菌界に分けたもの。1977年にカール・ウーズが提唱した。
五界説における原生生物というくくりは、植物、菌、動物ではない「その他」的なくくりであって、分類群としては非常に雑多であるという面がある。
これに手をつけたのが、キャバリエ=スミスである。彼は、原生生物界をクロミスタ界、アーケゾア界、原生動物界に3分し、八界説を提唱した。それぞれ、クロミスタ界はワカメ等の褐藻植物を含む黄色植物やハプト藻類、クリプト藻類などの生物、アーケゾア界はミトコンドリアを持たない生物、原生動物界は動物的単細胞由来のもののうち胚分割しない生物、という分類になる。これによれば、生物は古細菌界、真正細菌界、アーケゾア界、原生動物界、クロミスタ界、植物界、菌界、動物界に分類される。
しかし、しばらくすると、ミトコンドリアを持たない生物はもともと持っていなかったものに加え、退化的にミトコンドリアを喪失したものもあることが指摘され、アーケゾア界というくくりに意義がなくなってきた。
それまでの分類学では、界をもって最上位の分類群としてきたのだったが、動物界、植物界以外の生物の多様性への認識が深まるにつれ、界の数もしだいに増え、最上位の分類としては捉えることができなくなっていく。 1990年、ウーズは、界より上位の階層として、ドメイン(超界・域)を設ける提案をする。これによれば、生物界全体は、真核生物、真正細菌、古細菌として分けられる。
リンネ
(1735年)
2界説ヘッケル
(1894年)
3界説ホイタッカー
(1959年)
5界説ウーズ
(1977年)
6界説ウーズ
(1990年)
3ドメイン説[1]
原生生物界モネラ界真正細菌界真正細菌域
古細菌界古細菌域
原生生物界原生生物界真核生物域
植物界植物界菌界菌界
植物界植物界
動物界動物界動物界動物界
2000年代初頭までは、最新分類としてキャバリエ=スミスの八界説がよく使われていた。 この八界説はどちらかといえば、それまでの界の枠組みを残しつつ、それまでに得られた系統情報を盛り込んだものである。その一方で、しだいに遺伝子解析の手法も熟練度を増し、系統そのもので分類することが出来るレベルにまでなってくる。
2005年、国際原生動物学会から真核生物の新しい分類体系(Adl.et.al)が提出された。 この分類は、それまでの界の枠組みを廃し、真核生物を6つのスーパーグループに分類するものである。ウィキペディアの各記事でも、これらを界相当の分類として採用している場合が多い。
真正細菌ドメイン真正細菌
古細菌ドメイン古細菌
真核生物ドメインオピストコンタ
アメーボゾア
エクスカバータ
リザリア
アーケプラスチダ
クロムアルベオラータ
2008年現在では、Adl.et.al(2005)を踏襲しながら階層分類を盛り込むようなものも出てきている。例えば、上述のスーパーグループのうちの4つをまとめて、バイコンタとして単系統性を示すことができるようになった。下表は、近年に見られる分類の一例である。
真正細菌ドメイン真正細菌界
古細菌ドメインユリアーキオータ界
クレンアーキオータ界
真核生物ドメインオピストコンタ上界動物界
菌界
アメーボゾア上界アメーボゾア界
バイコンタ上界エクスカバータ界
リザリア界