どのような分類体系が合理的かは、アリストテレス以来さまざまな工夫がされ、案が出されてきた。 彼の『動物の発生』では動物分類は次のようになる。
有血動物
胎生
人類
胎生四足類
鯨類
卵胎生
軟骨魚類
卵生
鳥類
卵生四足類
無足類
不完全卵生
魚類
無血動物
不完全卵生
軟体類
軟殻類
蛆生あるいは自然発生
有節類
無性生殖または自然発生
殻は類
その他
アリストテレスの権威が絶対とされた中世は、この動物分類が支配的であった。
近代的な分類法の刷新はリンネから始まった。
リンネは種の学名に二名法(属名と種小名の2語の表す)を採用し、分類を体系づけた。 また、属・種の上位分類として、綱・目を設けて、階層的な分類体系とした。
現在の生物分類でもこのルールは変わっていないが。リンネの時代に比べると階層構造はより多段階となっている(後述)。
しかしリンネの分類自体が現在もそのまま生きているわけではない。例えば、リンネはクジラを魚類に分類していたがこれは誤りであった。 また植物をおしべの本数を元に分類したことは有名だが、現在の植物分類ではこの分類手法は捨てられている。
また、リンネの時代には「進化」の概念がなかったため、リンネの分類はあくまでも形態の類似異同の差異による操作に限られる限界があった。
以下では現時点で生物分類でほぼ一般的に使われている分類体系フレームを記述する。※ 分類体系はこれまでに述べたように、あくまでも人が扱いやすくするための人為的なものである側面があることに注意すること。※ 近年では、さまざまな分野で伝統的な分類体系を系統学の知見を反映させた体系に組替える動きが盛んである。
和名英名例:ヒト例:ローズマリー例:エノキタケ
界:Kingdom:動物界植物界菌界
門:Phylum/Division:脊索動物門
(脊椎動物亜門)被子植物門担子菌門
綱:Class:哺乳綱双子葉植物綱菌蕈綱
目:Order:サル目シソ目ハラタケ目
科:Family:ヒト科シソ科キシメジ科
属:Genus:ヒト属
Homoローズマリー属
Rosemarinusエノキタケ属
Flammulina
種:Species:sapiensofficinalisvelutipes
門は、動物界はPhylum、植物界、菌界はDivisionと使い分ける。
中間的分類が必要なときの階級名は、その分類単位よりも上位の分類には、大(Megn-)・上(super-)を、下位の分類には、亜(sub-)・下(infra-)・小(Parv-)などの接頭語を各階級の頭につけて生成させる。
Subfamily(亜科)とGenus(属)の間をさらに細分する必要があるときは、Tribe(族)を使う。
Subgenus(亜属)とSpecies(種)の間をさらに細分する必要があるときは、Section(節)を使う。
属より上位の分類名には、植物・藻類・菌類については国際植物命名規約、動物では国際動物命名規約で定められた規則的な接尾辞が付けられている。
分類単位
⇒Taxon植物
⇒Plants藻
⇒Algae菌
⇒Fungi動物
⇒Animals
門Division/Phylum-phyta-phyta-mycota
亜門Subdivision/Subphylum-phytina-phytina-mycotina
綱Class-opsida-phyceae-mycetes
亜綱Subclass-idae-phycidae-mycetidae
目Order-ales-ales-ales
亜目Suborder-ineae-ineae-ineae
上科Superfamily-acea-acea-acea-oidea
科Family-aceae-aceae-aceae-idae
亜科Subfamily-oideae-oideae-oideae-inae
族(連)Tribe-eae-eae-eae-ini
亜族(亜連)Subtribe-inae-inae-inae-ina
生物分類の階層構造の最上位は、伝統的に界(Kingdom)であった。 この界は古代から二界(植物界、動物界)に分けられてきたが、近代に微生物の知見が高まってくると、三界、五界、八界に分ける説などが登場してきた。
リンネが定めた分類法で生物を動物界(動いて餌を採るもの)、と植物界(動物ではないもの)の2界に分類したものである。
19世紀には、ヘッケル(Ernst Heackel)が、動物とも植物ともとれる原始的な生物を3番目の生物界、原生生物界として分離し、動物界、植物界、原生生物界の三界とした。
(また、病原性極小微生物として、ウイルスの存在が認識され始めたのも同時期である。ウイルスは20世紀にはいると、スタンリーによって結晶化され当時の人々を驚かせた。(タバコモザイクウイルス、1935年)ウイルスは自己増殖性を示すものの命を持たない非生物と定義される)
五界説は、1959年、ホイタッカー(Robert H. Whittaker)が提唱した分類法で、現在の主流となっている。 細胞核を持たない原核生物をモネラ界として、カビ、キノコなどを菌界として新たに分離し、モネラ界、原生生物界、植物界、菌界、動物界の五界とした。