第三に責任の判断が行われる。たとえ、構成要件に該当し違法な行為であっても、それが自由(行為者の自発的)な意思による場合に初めて非難が可能となるのであり、したがって他の行為を採ることを規範的に期待しえない場合には非難が出来ず、これを治療や教育の対象とすることは別段、処罰の対象とすることは相当でないからとされる(道義的責任論)。この部分は前2段の判定により、犯罪のパターンに該当し違法な行為であると認められた場合に、その責任を当該犯人に問うことが妥当かどうか、という点を問題とするものである。
例えば、違法性阻却事由該当事実を誤想した場合には故意責任は問えないとされる(厳格責任説を除く)。また、行為者が刑事未成年者であったり重度の精神障害を患ったりしている場合には、その者の行為は処罰の対象とならない。明文のない責任要素ないし責任阻却事由も認められる。
客観的処罰条件や一身的処罰阻却事由といった処罰条件という概念があるが、これらは犯罪の成立を前提に処罰が可能かどうかという問題に過ぎないとされる。もっとも、これらを構成要件要素に組み込む見解も有力である。
なお、親告罪における告訴などは訴訟条件であって、刑事実体法の問題としては扱われていない。
日本の刑法及び特別刑法諸法に定められた犯罪には次のようなものがある。
個人的法益に対する罪
生命に対する罪
殺人罪(199条)・予備罪(201条)・自殺関与・同意殺人罪(202条)・未遂罪(203条)
堕胎罪(212条〜216条)
遺棄罪(217条〜219条)
過失致死罪(210条)・業務上過失致死傷罪(211条)
危険運転致死傷罪(208条の2)
身体に対する罪
傷害罪(204条〜207条)
暴行罪(208条)・ 凶器準備集合罪(208条の3)
過失傷害罪(209条)
自由に対する罪
脅迫罪(222条)・強要罪(223条)
暴力行為等処罰に関する法律
逮捕・監禁罪(220条〜221条)
略取・誘拐罪(224条〜229条)
性的自由に対する罪
強姦罪・強制わいせつ罪(176条〜181条)
住居侵入罪・不退去罪(130条)
秘密・名誉に対する罪
秘密に対する罪 信書開封罪(133条)・秘密漏示罪(134条)
名誉に対する罪 名誉毀損罪(230条)・ 侮辱罪(231条)
信用及び業務に対する罪
信用毀損罪(233条)
業務妨害罪(234条)
電子計算機損壊等業務妨害罪(234条の2)
財産に対する罪(財産犯)
窃盗罪(235条)
不動産侵奪罪(235条の2)
特許法・著作権法等 知的財産権侵害罪
強盗罪(236条〜241条)
航空機の強取等の処罰に関する法律(ハイジャック防止法)
詐欺罪(246条)
恐喝罪(249条)
横領罪(252条)・業務上横領罪(253条)
背任罪(247条)
商法等 特別背任罪
盗品等関与罪(贓物罪 256条)
文書毀棄罪(258条〜259条)・建造物等損壊罪(260条))・器物損壊罪(261条)
(財産犯については、個別財産に対する罪と全体財産に対する罪,領得罪と毀棄罪とに分類するのが通常である。)
社会的法益に対する罪
社会・公共の平穏に対する罪
騒乱罪(106条)・多衆不解散罪(107条)
放火及び失火の罪(108条〜118条)
爆発物取締罰則・火炎びんの使用等の処罰に関する法律
出水・水利妨害罪(119条〜123条)
往来妨害罪(124条〜129条)
取引の平穏に対する罪
通貨偽造罪(148条〜153条)
有価証券偽造罪(162条〜163条)
支払用カード偽造罪(163条の2〜163条の5)
文書偽造罪(154条〜161条の2)
印章偽造罪(164条〜168条)
公衆の健康に対する罪