日本では室町時代末期から安土桃山時代にポルトガルの宣教師たちによって持ち込まれた。煙管(キセル)による喫煙が主であり、江戸時代初期には全国に普及したが、非常に高価な薬品として普及しており、喫煙できるのは裕福な武士か商人のみであった。
江戸幕府は、しばしば煙草禁止令を出しているが、幕府や藩の専売とすることで次第に許可されていく。江戸中期には煙草の値下がりと共に、100人中で煙草を吸わない人がわずかに2、3人と言われるほど、庶民への喫煙習慣も広まって行くことになる。宝暦年間には、庶民用の煙草10匁(約38グラム)が8文ていどであった記録が残されている。煙草は単なる嗜好品としてではなく、煙管、煙草盆、煙草入れなどの道具への装飾や、喫煙のマナーやスタイルなど、江戸文化の重要な要素を占めるようになっている。
明治時代になってから、それまでのキセルによる喫煙に代わり紙巻タバコが庶民の間に普及した。当初日本には2社のタバコ会社が存在していたが、日清戦争開始後に財政難に陥った国により 葉たばこ専売法が1898年に制定され、タバコは専売化された。当時、タバコによる税収は国税において大きな割合を占めており(1945年には、タバコによる税収は国税の20%をも占めていたという)、日清・日露戦争などの戦費調達のための重要な財源であった[要出典]。
第二次大戦後も、1985年まで日本専売公社によるたばこの専売が続いた。1980年時点では、輸入たばこには90%の関税がかけられ、国内市場における輸入たばこのシェアは1.5%未満に過ぎず、海外たばこ企業が日本国内でテレビ・雑誌・看板などの宣伝活動や市場調査を行ったり販売網を築くことはできなかった。しかし、1980年の米国 フィリップ・モリス社の5ヵ年計画において、日本に対し市場を開放するよう圧力をかけることが計画され[6]、1982年、米国通商代表部(USTR)は日本政府に対し、関税の90%から20%への引き下げ、海外企業の宣伝活動や市場調査の許可を求め交渉した(経済制裁の脅しも持ち出されたという[7])。1985年、日本専売公社は日本たばこ産業に民営化され、1987年には米国タバコへの関税は撤廃された。結果として、米国からのたばこ輸入本数は1986年に99億本、2002年には780億本へと増加し、米国のたばこ輸出の61%を占めるまでになった[8]。また、日本たばこ産業は民営化されたとは言え、日本たばこ産業株式会社法により財務省が過半数の株を保有しており、財務省の天下り先の一つになっている。
日本でも、受動喫煙被害防止の流れを受けて、健康増進法第25条が制定され、さらに世界的には公衆衛生分野における初めての多数国間条約として2005年2月27日に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組み条約)」が発効された。[9]それ以前には防災上のものによる以外では余り明確な分煙・禁煙といった動きも少なかった。特にオフィスの禁煙は、健康上の理由というよりもOA化による機材保護の理由付けの方が強く、職場環境での分煙が始められたのは1990年代に入ってからのことで、一般オフィスで明確な分煙化が進められるようになったのは2000年代に入ってからである(嫌煙権、 喫煙規制や禁煙に関する動き参照)。
詳細はタバコを参照。
タバコはナス科 Nicotiana 属の一年草で、亜熱帯性の植物である。強健性、葉の産出力、病気に対する抵抗性、加工した場合の香りなどの違いにより、約100の品種が栽培されている。キューバのハバナタバコや、アメリカのホワイトバーレーといった品種が代表的である。
タバコの種子は25℃の気温、適切な湿度と太陽光によって発芽する。生育条件が適切である場合、種によって異なるが茎の高さ50cmから250cmまで成長する。茎は太く最大5cmに達する。葉は30枚から40枚が着生し、このうち、葉タバコとして採取するのは約6割である。葉の長さは20cmから60cm、幅は30cm程度で、特有の臭気を帯びる。タバコの花は茎の先端部分に群生し、形状は漏斗ににており、色は白や黄色のものが多い。
タバコの生産は、FAOの統計によれば、首位の中国が239万トンで世界の約38%を占める。2位はブラジルで65万トン (10%)、3位はインドで58万トン (9%)、4位にアメリカ、5位にジンバブエと続く。タバコの生産量は世界的に減少しており、2002年の生産量は全世界で635万トンと、10年前に比べて約100万トン減少している。
タバコの煙に含まれる化学物質は4,000種ほどで、そのうち約200種は致死性有害化学物質とされ、動物に癌を作るものはベンゾピレン(ベンツピレン)をはじめとする60種類(数値は2003年現在)。天然のタバコ葉由来の成分の他、紙巻タバコ工場では600種類の有害化学物質を添加しているとされるが、その主目的はニコチンの吸収を高める目的であり、より依存性を高めることである(但しクマリンは甘味づけのため)。また、悪臭の原因ともなっている。
主なタバコ煙の成分:
アンモニア
エンドトキシン
活性酸素
一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物
タール、ニコチン
鉛
砒素(ヒ素)
アセトアルデヒド
フェノール類
主な発癌物質:
アクロレイン
カドミウム化合物
クマリン
シアン化水素
ダイオキシン
ビニールクロライド
ベンゾピレン
ホルムアルデヒド
ジメチルニトロソアミン、メチルエチルニトロソアミン、ジエチルニトロソアミン、N-ニトロソノルニコチン、ニトロソピロリジン