かつては、喫煙の健康への有害性も知られておらず、職場、家庭、航空機や電車・バスなど公共の場などにおける喫煙が許容されていた。当時、非喫煙者は通常の生活を営むだけで受動喫煙を余儀なくされ、喫煙による健康被害を避けられない状況であった。そのような状況を改善するため、禁煙活動や、喫煙者から非喫煙者が健康被害や臭いの付着等の迷惑を被らないようにする嫌煙(分煙とも)活動が行われ、一定の成果をあげた。喫煙は明らかに健康に被害を与える人権侵害行為であり、タバコの煙の臭いなどを好まない人も多い。このため、通常の生活を行うだけで非喫煙者が健康被害を受ける喫煙行為に対し一定の規制を行うのは、当然の権利と言える。
なお一部の人たち、特に喫煙者においては、「嫌」煙という語感と、喫煙行為を制限されることに対する反発からか、「嫌煙運動」という語から、喫煙行為や喫煙者を憎悪したり中傷したりする活動のことを想起するケースも散見されることから、そのような誤解を避けるためか、近年では「嫌煙」という語の代わりに主に「弱煙」ないし「分煙」と言い換えることもある。(→嫌煙・嫌煙権)
喫煙という行為については、煙を発生させるという性質上、周囲の者を否応なく受動喫煙に巻き込むこととなるため、煙や悪臭による不快感や健康への悪影響など様々な問題を抱えている。 また、煙や悪臭による不快感や健康への悪影響などについては、WHOや厚生労働省も認めているところであり、喫煙によって迷惑を強いられる側は大きな苦痛を感じている反面、喫煙を肯定的に捉えて擁護する者は、これらの医学的知見を過小評価する傾向が強く、その認識には大きな隔たりがあることから、当事者間においてしばしば感情的な対立を招くケースが見られる。
このような感情的な対立がエスカレートとした事例としては、1999年に営団地下鉄の車内において喫煙していた者に車内での喫煙をやめるよう注意したところ、アイスピックで左胸を数カ所を刺されるといった事件が発生している[45]
「未成年者喫煙禁止法」第三条(2001年12月改正法施行)では、未成年者に対し、その者が喫煙するとわかっていながら行ったタバコの販売や、親権者などが未成年者の喫煙を知っていながら制止しなかった不作為に対して罰則規定が定められている。ただし日本ではタバコの自動販売機が存在するため実質無効。詳細は同法項目参照。
たばこ産業は数百万ドルを投じ、受動喫煙と肺癌の関係を示唆する世界初の平山論文に対する批判キャンペーンを行った。
詳細は平山論文を参照
タバコ会社が子供が喫煙するよう仕向けていることが、アメリカの複数の訴訟過程で出されたタバコ会社の内部資料によって明らかになった。例えばRJレイノルズ社は、「14 - 18才の市場で成功するためのブランドを確立すべきで、彼らに積極的に売り込むべき。」との方針を持っていた。
たばこ会社が、長年にわたりニコチンには嗜癖性がないと主張していたにもかかわらず、実は内部研究によってニコチンの嗜癖性を把握していたことを証明する内部文書が1995年に曝露された[46]。
米国のたばこ会社B&W社(ブラウン・アンド・ウィリアムソン社、現在のBAT社の前身)の、たばこ成分研究に関する1962年から1984年の22年にわたる内部文書が、カリフォルニア大学医学部の5名の研究チームによって暴露された。それによると、同社は、世界中でこれほどに多くの喫煙者が喫煙し続ける理由を研究する中、ニコチンに注目した。その結果、ニコチンこそが喫煙者に喫煙させ続ける中核因子であると知った。当然、同社の内部文書には、ニコチンに嗜癖性があると明確に述べられている。同社は嗜癖性に力を入れて研究したが、味わいや香りについて研究した形跡は認められなかった。
B&W社はニコチンの嗜癖性を知っていたにもかかわらず、そのはるか後の1994年、同社を含む7大タバコ会社の最高責任者たちは、「ニコチンに嗜癖性はない」と主張した。それらの嘘に対してタバコ会社は1996年、全米各州に約2460億ドルもの巨額の賠償金を支払うことになった。詳細はインサイダー (映画)、 ⇒The Insiderを参照。
英国の哲学者であるロジャー・スクルートンは、過去にたばこを擁護する内容の記事を新聞や雑誌に投稿していたが、日本たばこ産業(JT)から資金援助を受けていたことが2002年に暴露された。スクルートンは他に、「マクドナルドの製品の方が健康に悪いと印象づけるべきだ」「WHOの信頼性を疑わせるような記事をメディアに載せるべきだ」などの助言をJTに対して与えていた。
詳細はロジャー・スクルートンを参照
たばこ産業は、喫煙の健康への影響に関するさまざまな研究に資金を提供している。たとえば、受動喫煙の健康への影響について多くの研究がなされてきたが、その結論が多様であることが不思議に思われてきた。
そのため、カリフォルニア大学のBarnesらは、受動喫煙の健康への影響について1980年から1995年の間に発表された106編の論文を調査したところ、67編(63%)の論文では受動喫煙は有害であるとしていたが、39編(37%)の論文では受動喫煙の有害性が否定されていた。この39編の論文のうち、29編がたばこ産業から資金提供を受けていた。統計的には、ある論文が受動喫煙が健康に害を与えないという結論を出すことと有意に関連した因子は、さまざまな因子のうち"たばこ産業からの資金提供を受けていたこと"のみであった(しかもオッズ比88.4倍と、非常に強く関連していた)[47]。
2003年、エンストロームとカバットが「受動喫煙と虚血性疾患・肺がんとの関連性は、一般に考えられているより小さいかもしれない」と結論する研究を、たばこ産業の資金援助の下で行い、発表した。これは後に、たばこ会社による詐欺事件裁判の判決で、「大衆を欺く目的で科学に操作を加えた詐欺行為の証拠」とされた。
詳細はエンストローム論文を参照
禁煙も参照
世界的にみると、公共の場所・交通機関等では禁煙化が進んでいる。