世界銀行は喫煙の全経済効果を分析している[35]。それによると、タバコを経済活動から締め出せば、喫煙者がタバコに費やす金銭は他の商品・サービスに用いられ、新たに雇用と経済活動が生まれ、たばこ産業で失われた雇用を穴埋めできるという。この場合、米国内なら13万人以上の雇用を生み出すという試算[36]がある。
経営上、企業は従業員に禁煙を勧めるほうがよいという意見がある。というのは、非喫煙者のほうが生産性が高く、ミスが少なく[37]、また禁煙を進めることで企業は健康保険費用を大きく効果的に節減できるからである[38]。
米国では、喫煙は毎年1670億ドル(喫煙者一人当たり約3650ドル)の経済損失を生む[39](米国の喫煙者がたばこ購買に使う810億ドル[40]の倍以上)との試算がある。
厚生労働省は「健康日本21」の中で、喫煙によって国民医療費の5%が超過医療費としてかさむことや、煙草関連疾患による労働力損失を含め、「社会全体では少なくとも4兆円以上の損失がある」としている。通常、喫煙による経済的損失とは以下の事項を含む。
喫煙による過剰医療費
労働者の病欠増加による生産性低下
喫煙で死亡した人の扶養者への年金支給前倒し
吸殻の火の不始末による火事
喫煙許可により余計にかかる設備・維持・清掃費
たばこ税自体は、個人から国庫への金銭の移動なので、国全体で見れば利益でも損失でもない。
喫煙は、世界の貧困問題と不可分である。世界的に、学歴が低く、低所得、失業中などの人において喫煙率が高いことが多数の統計的研究によって裏付けられている[41]。複数の研究では、貧しい国の中には家計の約10%が喫煙のために費やされていることもあると指摘されている。そのため、少ない所得から食費・健康管理費・教育費などがさらに削られ、栄養不良・医療費増大・早死・識字率低下をもたらし、社会階層の固定化に寄与している(WHOによる)。世界銀行の出版物[35]は、2020年までには、喫煙で死亡する10人のうち7人は低 - 中所得諸国が占めるようになる、と予測している。
タバコは、世界で2番目に多い死因であり、10人に1人がタバコが原因で死亡(毎年540万人)している。現在喫煙している者のおよそ半数(約6億5千万人)が最終的にはタバコが原因で死亡するといわれている(以上、WHOによる)。世界銀行からの出版物[35]では、2030年までには、6人に1人(年間約1000万人)が喫煙によって死亡すると予測されている。喫煙は、世界で最大の予防可能な死因であるとされる。 しかし、これには異論もあり、煙草による健康被害は疫学上の推測であり、科学的に証明されたものではないため、死亡に至る他の因子があっても、それが喫煙者である場合、喫煙を原因としてカウントする場合があるなど、必ずしも煙草が死亡原因とは言い切れない。
日本では厚生労働省は、「健康日本21」の中で、「最新の疫学データに基づく推計では、たばこによる超過死亡数は、1995年には日本では9万5000人であり、全死亡数の12%を占めている」としている。
日本政府の喫煙対策予算はゼロである。これを「東洋経済」2007年3/24号は、年間6千人しか死者を出さない交通事故対策に1兆7351億円もの予算が計上され、死者のないBSE対策予算にも132億円が計上されていることと比較している。
日本のたばこ行政の特徴として、タバコ事業を管轄しているのが 厚生労働省 ではなく、財務省であるということが挙げられる。他の先進国においては、タバコは人体に影響を与える「薬品」であるとして衛生や医薬品を管理する厚生労働省にあたる省庁が管理している。また財務省は、日本唯一のタバコ製造メーカーである日本たばこ産業(JT)の筆頭株主たることが義務付けられている。すなわち、筆頭株主が行政も担当しているということになる。また、財務省官僚が退職後に日本たばこ産業に再就職(いわゆる天下り)することが過去にみられている。同様に、酒類関連の製造・販売事業も、日本では財務省(国税庁)の所轄である。これはタバコや酒類が課税物資と捉えられているためである。このようなタバコ産業と行政の密接な係わり合いがあるため、日本では禁煙に関する立法および行政活動が大いに遅れたと指摘されている。
欧米の先進国の多くでは国家政策として禁煙を奨励したため、喫煙関連の疾患がへり国民の健康の向上および医療費の削減に多いに成功した。また喫煙者がタバコを吸い始め、タバコ依存症になるのは未成年の間であるので未成年の喫煙に関しての立法(タバコ購買における身分証明書の要請およびタバコ広告の禁止)が徹底している。
タバコの容器に表示が義務付けられている、健康に関する警告表示(後述各国の警告表示)といった、公衆衛生的な管理にあたっているのも財務省である。諸外国と比べ、日本の警告表示には写真等が含まれず、文面も穏やかであることから、警告表示として不十分との批判がある。また日本の特徴として、自動販売機によるタバコ販売が活発であることが挙げられる。これによって未成年に対するタバコ販売の禁止が日本では無意味なものとなっている。2004年現在、全国に約62万台の自動販売機が設置されており、実質的に未成年でもタバコが購入できる状況である。そのため1996年頃から、タバコ自動販売機を23時?翌朝5時まで停止させる自主規制が行われている。だが、自販機における深夜帯の売り上げは10%程度しかなく、たばこ業界が批判をかわすためのカムフラージュであるという指摘がある。また、たばこ業界は、2008年中に全てのたばこ自動販売機をICカード「タスポ」による年齢認証を行った上で販売する方式に切り替えると発表した。 2008年7月までに、全国でタスポによる年齢認証が導入された。
その他の社会的弊害側溝にポイ捨てされた吸い殻
ごみとしてのタバコ
世界中で海岸ゴミを拾っている国際海岸クリーンアップキャンペーンによれば、海岸ゴミの中では製品タバコ関係が最も多く、約三分の一を占める。
東京都千代田区では2002年11月から生活環境条例が施行され、区内路上禁煙地区での喫煙及びポイ捨てが禁止された。