為替レート
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ユーロは国境を越える最も強力な固定相場制を実現したことになるが、これは単なる通貨ペッグではなく、経済政策の統一による単一通貨の制定という背景を伴っている [2] [3] [4]


為替レートと物価

現在の為替レートで各国の賃金水準などを比較した場合に、大きな差が出る場合がある。例えば日本は一人当たり GDP が 37000ドル程度であるが、ベトナムはおよそ 500ドルである。これを単純比較すると日本の賃金水準が 70倍程度高いことになるが、ベトナムは日本よりも物価が安いため、所得が低いからといって購買できる量に 70倍もの差がつくわけではない。こうした実情を踏まえ、物価を考慮した購買力平価で調整した後の一人当たり GDP は日本が 30000ドル、ベトナムが 3000ドル程度となり、その差は 10倍程度になる。

為替レートがこのような物価差を反映しないのは、経済構造と貿易に関係している。

A国とB国があったとする。A国は工業化が進展しており輸出工業の生産性が高い。仮にA国の輸出工業がB国の輸出工業の10倍の生産性を持っていたとする。どちらも国際市場に製品を輸出している場合、一物一価の法則により両国の輸出品価格は同一となる。これにより、A国の輸出工業労働者はB国の輸出工業労働者の10倍の所得を得ることになる。一方でA国の国内サービス業がB国の国内サービス業の2倍の生産性を持っていたとする。A国で輸出工業労働者と国内サービス業労働者の賃金に一物一価の法則が働いた場合、A国のサービス業はB国のサービス業の5倍の料金を取らなくては経営が成り立たなくなる。このため、両国では輸出工業品の価格が同一である一方、サービス料はA国のほうが高い状態が生まれ、A国の物価はB国よりも高くなる。

以上のように、輸出競争力に差があり、非貿易財が存在する場合に、実際の為替レートと購買力平価には差が生まれる。

サービスの価値が違うとの見方もある。例えば、懐中電灯はどこの国で買っても価値が等しいが、東京で散髪することと、ホーチミン市で散髪することは、投入財の価格が違うため価値が異なるという見方である。このとき、価値差が物価に織り込まれている場合は、購買力平価での比較が無意味となる。

また、国際市場における購買力比較では実際の為替レートが有効になるため、購買力平価は当てはまらない。


実効為替レート

国際市場における為替レートと購買力(通貨の実力)の関係を見る場合に、もうひとつ注意すべき点がある。主要通貨の実質実効為替レートの変遷(1964?2007年、2000年 = 100)

たとえば日本では日本円と米ドルの相場に注目が集まるが(後述)、国際市場への参加者は他にも数多くあり、それぞれが自国通貨を持って変動相場制の下で貿易が行われているため、特定国間の為替レートだけを見ても国際市場における当該通貨の実力を知ることはできない。

外国為替市場における諸通貨の相対的な実力を測るための指標として実効為替レートがあり、これは中央銀行国際決済銀行などが算定し、適宜公表している。

また、為替レートの変動を考えるとき、両国で物価上昇率が異なる場合は、実質的なレートが、数値上のレート(名目為替レート)とずれてくる。このような物価上昇率の効果を考慮した為替レートを実質為替レートという。 実効為替レートにおいても物価上昇率調整前後の値をそれぞれ算出するのが一般的であり、物価調整前を名目実効為替レート、調整後を実質実効為替レートと呼ぶ [5]


日本における外為実務


両替商の為替レート表示

ニュース新聞等で報道される「1ドル = 110円10銭?110円20銭」などというレートは、銀行間での外国為替取引を行うときのレートで、銀行間相場と呼ばれるものである。

各銀行は、小口の顧客取引についてはその日の相場動向を見越して仲値と呼ばれる基準相場を定め、銀行間相場が大きく動くことが無い限り、(銀行間相場が細かく動いたとしても)日中はその相場を基に取引を行うことが多い(東京市場では、以前は大手行の当番制で共同して用いるドル円の仲値を定める慣行があったが、現在は異なる)。なお、銀行間での取引は、どの通貨も対(アメリカ)ドルで取引が圧倒的に多く、例えば円とタイバーツなど各国通貨との直接取引きの金額は少ない。このため各国通貨と円の為替レートは、当該通貨の対ドル相場と、ドル円の相場との合成として計算されることが一般的である。

為替レートの表示の仕方は、1ドルが120円という表示の仕方と、1円が1/120ドル=0.00833ドルという表示の仕方がある。ほとんどの通貨では1ドル=120円、あるいは1ドル=700韓国ウォンというように、米ドル1ドルに相当する各国通貨額を使うことが慣例である。例外は、英国ポンドやユーロなどで、1ポンド=1.9ドル、1ユーロ=1.25ドルなどと表示することが慣例となっている。

日本で円と他国通貨の為替レートを考える場合に、1円=○○ドルと表示するのを外貨(ドル)建て、1ドル=○○円と表示するのを、自国通貨(円)建てと言う。アメリカから見れば、1円=○○ドルが自国通貨(ドル)建てであり、1ドル=○○円が外貨(円)建てである。円の為替レートについて、自国通貨建ては邦貨建てと呼ばれることが多い。


外貨預金・外為取引

一般個人が、銀行に外貨預金を依頼する場合、おおよそ数%?10%程度に相当する手数料分(銀行などで多少異なる;外貨1単位に対して何円という料率が普通)がレートに織り込まれる。そのため、かつて一般的だった「ドル円片道1円」と呼ばれる手数料率(仲値と取引に用いられるレートの差が1ドル当たり1円であることをいう)において、取引相手の銀行の仲値が1ドル=110円だったとすると、外貨預金への預け入れ、払い戻しや、外国送金の取り組み、円貨での受け取りに使われるレートは

円→ドル(TTS)1ドル = 111円

ドル→円(TTB)1ドル = 109円

となる。

また、外貨の現金との両替を依頼する場合には、さらにキャッシュハンドリングチャージ(cash handling charge;現金取り扱い手数料)と言われる手数料分が加味される。(顧客からの買取の場合はその分安く、顧客への売却の場合はその分高くなる。)

これは、外貨預金の場合は帳簿上の付け替えでも済むのに対して、両替となると実際に外貨の現金を当該外貨の本国との間でやり取りする必要があり、運送費・保険料その他がかかってしまうことが理由とされている。


その他

仲値ないし銀行間相場と、対顧客相場の乖離が比較的少ないのは、米ドルやユーロである。取引量の小さな通貨では相場の乖離幅(銀行の利幅)が高くなる傾向がある。

その他、貿易取引に使われるレートや、為替予約と呼ばれる先日付取引に使われるレートは、決済期日までの金利を勘案して定められる。

外貨建てでクレジットカードを使った場合の決済相場は、請求票がカード会社の決済センターに届いた際の相場に、数%程度の手数料を加味した相場であるとされている。従って、国内で両替して海外で現金で支払うよりは、実質の為替レートが有利になる可能性がある。


脚注^ 『欧州の憂鬱?ドキュメント・EC統合』、日本経済新聞社編、日本経済新聞社、1993年、ISBN 4-532-14178-8
^EUにおける通貨統合(外務省)
^ 『欧州中央銀行の金融政策とユーロ』、田中素香・藤田誠一・春井久志 編、有斐閣、2004年、ISBN 4-641-16206-9


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki