為替レートのうち、国際的な金融取引や貿易の決済に利用されることが多いアメリカドル(米ドル)との為替レートは最も重要視されている。2007年には 1米ドルは 100〜125円の比率で交換されている。日本の為替レートの変遷は円を参照のこと。
基準となる通貨とその相手通貨との関係には、変動相場制と固定相場制の 2通りの方式が存在する。先進国の通貨の多くは主に変動相場制を採用しており、需要と供給の関係で日々異なる比率で取引される。
一方、特定の通貨との間で為替レートを一定に保つことを「ペッグ」と呼び、米ドルとの固定相場制を維持することは「ドルペッグ」と呼ばれる。 途上国は米ドルとの間で固定相場制を維持する「ドルペッグ」をする傾向が強かったが、近年、東南アジアなど一部の国においては通貨危機への対応を迫られた結果、相次いで変動相場制へ移行した(アジア通貨危機を参照)。また、貿易による経済規模の拡大や米ドルの下落などを受けて固定相場制の維持が難しくなってきた中国や中東諸国などでは通貨バスケットへのペッグに切り替える、または切り替えようとする動きが見られる。
欧州では、諸通貨間のレート変動を次第に抑制するとともに、中央銀行業務を欧州中央銀行 (ECB) に統合する、各国政府が協調して一定の財政規律を確保するといった施策により、紆余曲折を経て[1]域内での為替政策の統一を実現し、共通通貨ユーロを誕生させた。ユーロは国境を越える最も強力な固定相場制を実現したことになるが、これは単なる通貨ペッグではなく、経済政策の統一による単一通貨の制定という背景を伴っている [2] [3] [4]。
現在の為替レートで各国の賃金水準などを比較した場合に、大きな差が出る場合がある。例えば日本は一人当たり GDP が 37000ドル程度であるが、ベトナムはおよそ 500ドルである。これを単純比較すると日本の賃金水準が 70倍程度高いことになるが、ベトナムは日本よりも物価が安いため、所得が低いからといって購買できる量に 70倍もの差がつくわけではない。こうした実情を踏まえ、物価を考慮した購買力平価で調整した後の一人当たり GDP は日本が 30000ドル、ベトナムが 3000ドル程度となり、その差は 10倍程度になる。
為替レートがこのような物価差を反映しないのは、経済構造と貿易に関係している。
A国とB国があったとする。A国は工業化が進展しており輸出工業の生産性が高い。仮にA国の輸出工業がB国の輸出工業の10倍の生産性を持っていたとする。どちらも国際市場に製品を輸出している場合、一物一価の法則により両国の輸出品価格は同一となる。これにより、A国の輸出工業労働者はB国の輸出工業労働者の10倍の所得を得ることになる。一方でA国の国内サービス業がB国の国内サービス業の2倍の生産性を持っていたとする。A国で輸出工業労働者と国内サービス業労働者の賃金に一物一価の法則が働いた場合、A国のサービス業はB国のサービス業の5倍の料金を取らなくては経営が成り立たなくなる。このため、両国では輸出工業品の価格が同一である一方、サービス料はA国のほうが高い状態が生まれ、A国の物価はB国よりも高くなる。
以上のように、輸出競争力に差があり、非貿易財が存在する場合に、実際の為替レートと購買力平価には差が生まれる。
サービスの価値が違うとの見方もある。例えば、懐中電灯はどこの国で買っても価値が等しいが、東京で散髪することと、ホーチミン市で散髪することは、投入財の価格が違うため価値が異なるという見方である。このとき、価値差が物価に織り込まれている場合は、購買力平価での比較が無意味となる。
また、国際市場における購買力比較では実際の為替レートが有効になるため、購買力平価は当てはまらない。
国際市場における為替レートと購買力(通貨の実力)の関係を見る場合に、もうひとつ注意すべき点がある。主要通貨の実質実効為替レートの変遷(1964〜2007年、2000年 = 100)
たとえば日本では日本円と米ドルの相場に注目が集まるが(後述)、国際市場への参加者は他にも数多くあり、それぞれが自国通貨を持って変動相場制の下で貿易が行われているため、特定国間の為替レートだけを見ても国際市場における当該通貨の実力を知ることはできない。
外国為替市場における諸通貨の相対的な実力を測るための指標として実効為替レートがあり、これは中央銀行や国際決済銀行などが算定し、適宜公表している。
また、為替レートの変動を考えるとき、両国で物価上昇率が異なる場合は、実質的なレートが、数値上のレート(名目為替レート)とずれてくる。このような物価上昇率の効果を考慮した為替レートを実質為替レートという。 実効為替レートにおいても物価上昇率調整前後の値をそれぞれ算出するのが一般的であり、物価調整前を名目実効為替レート、調整後を実質実効為替レートと呼ぶ [5]。
ニュースや新聞等で報道される「1ドル = 110円10銭〜110円20銭」などというレートは、銀行間での外国為替取引を行うときのレートで、銀行間相場と呼ばれるものである。
各銀行は、小口の顧客取引についてはその日の相場動向を見越して仲値と呼ばれる基準相場を定め、銀行間相場が大きく動くことが無い限り、(銀行間相場が細かく動いたとしても)日中はその相場を基に取引を行うことが多い(東京市場では、以前は大手行の当番制で共同して用いるドル円の仲値を定める慣行があったが、現在は異なる)。なお、銀行間での取引は、どの通貨も対(アメリカ)ドルで取引が圧倒的に多く、例えば円とタイバーツなど各国通貨との直接取引きの金額は少ない。このため各国通貨と円の為替レートは、当該通貨の対ドル相場と、ドル円の相場との合成として計算されることが一般的である。
為替レートの表示の仕方は、1ドルが120円という表示の仕方と、1円が1/120ドル=0.00833ドルという表示の仕方がある。ほとんどの通貨では1ドル=120円、あるいは1ドル=700韓国ウォンというように、米ドル1ドルに相当する各国通貨額を使うことが慣例である。例外は、英国ポンドやユーロなどで、1ポンド=1.9ドル、1ユーロ=1.25ドルなどと表示することが慣例となっている。
日本で円と他国通貨の為替レートを考える場合に、1円=○○ドルと表示するのを外貨(ドル)建て、1ドル=○○円と表示するのを、自国通貨(円)建てと言う。アメリカから見れば、1円=○○ドルが自国通貨(ドル)建てであり、1ドル=○○円が外貨(円)建てである。円の為替レートについて、自国通貨建ては邦貨建てと呼ばれることが多い。
一般個人が、銀行に外貨預金を依頼する場合、おおよそ数%〜10%程度に相当する手数料分(銀行などで多少異なる;外貨1単位に対して何円という料率が普通)がレートに織り込まれる。