火山の地下にはマグマ溜まり (Magma chamber) があり、そこからマグマが上昇して地表に出る現象が噴火である。
地下数十kmの深部で生成されたマグマは高温の液体であるため、周囲の固体岩石より比重が軽く、浮力によって徐々に上昇する。地下5kmから10km程度の場所まで来ると、周囲の固体岩石も深部ほど高圧を受けていないためマグマと同程度の比重となり、マグマは浮力を失って滞留すると考えられている。これがマグマ溜まりである。マグマ溜まりが大きな穴なのか、それとも細かい割れ目にマグマが入り込んだようなものなのか、という点はまだわかっていない。マグマ溜まりの大きさは数km程度と考えられている。
マグマ溜まりからマグマが上昇して噴火を起こす引き金には何種類かあると考えられており、主なものは以下のようなメカニズムである。
深部からマグマが供給され溢れ出る
プレートの押し合う力などにより押し出される
マグマが少し冷えて一部が結晶化し体積が減ることによりマグマ溜まり全体が減圧し、マグマに溶け込んでいたガス成分が急激に発泡(気化)して爆発的に上昇する
マグマ溜まりの中のマグマは、周辺の岩石に熱を奪われて徐々に冷えてゆくが、その過程で揮発成分の分離や、結晶しやすい成分の結晶化・沈積などが起こっている。その結果、マグマ溜まりの上部と下部では成分がかなり違っている場合がある。1回の噴火の中で、最初に噴出した物質(マグマ溜まりの上部にあった)と最後に出てきた物質(下部にあった)では成分が大きく異なる場合があるのはそのことを示していると考えられている。たとえば、1707年の富士山宝永大噴火では激しい噴火が4日間続き、大量の火山灰が江戸にも降り積もったが、その火山灰の成分が途中で大きく変化した。最初はシリカを多く含んだ白っぽいデイサイト質の火山灰が降ったが、数時間後には黒っぽい玄武岩質の火山灰に変わった。噴火前の富士山マグマ溜まりの上部は、比重の重い成分が結晶化・沈積した残りの液体であったため、デイサイト質になっていたと推定される。
火山の噴火の形は、噴出するマグマの流動性や揮発物成分の量によって大きく変わる。揮発成分の量はマグマの噴出力を左右し、揮発分が多いほど火山灰や溶岩を高く吹き上げる大きな爆発となる。
流動性が高く揮発物成分が少ない場合:ハワイ火山の噴火のように静かに溶岩流が流れつづける。
流動性が高く揮発物成分が多い場合:1986年の三原山(伊豆大島)噴火の初期のように、溶岩がカーテンのように高く幅広く噴出する。
流動性が低く揮発物成分が少ない場合:昭和新山の噴火のように、大きな爆発や溶岩流出はなく溶岩円頂丘が形成される。
流動性が低く揮発物成分が多い場合:浅間山や桜島のような爆発的な噴火になる。
なお1回の噴火は、短時間で終わる場合もあれば数ヶ月以上続く場合もある。長期間の噴火では、時間の経過と共に噴火の様式が変わることがある。始めのうちは揮発成分が多く溶岩や火山灰を高く吹き上げていても、途中から揮発成分が減り火山灰を吹き上げることができなくなり、ガスと溶岩の破片の混合物が火口から斜面を流れ下る(火砕流)。噴火の後半には揮発成分が抜けてしまい溶岩を流出させて終わる。浅間山の天明の大噴火の例を示す。
大量の火山灰を空高く噴出
揮発成分が減り地上を火砕流が襲う(鎌原火砕流)
溶岩を流出(鬼押し出し)
成分の影響以外に噴出物の量や噴出速度によって、噴火の形体や被害の大きさが激しく異なる。極端な例を2例挙げる。
ラカギガル割れ目噴火
2の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、噴出されたガスが地球を覆い、異常気象による不作などを引き起こす。1783年アイスランドのラキ火山の噴火(ラカギガル割れ目噴火)の場合、噴火した火口列は25kmの長さに及び大量の溶岩を噴出したが、人里から離れていたので溶岩による被害は軽微。しかし、おびただしい量の有毒な火山ガスが放出され、アイスランドの家畜の50%、人口の20%が失われた。また成層圏まで上昇した霧は地球の北半分を覆い、地上に達する日射量を減少させ低温化を生起した。日本では東北地方で膨大な数の餓死者を出した天明の大飢饉を引き起こした。
阿蘇カルデラや姶良カルデラの噴火
4の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、巨大カルデラ噴火となる。9万年前の阿蘇カルデラの噴火では、火砕流が熊本県と大分県の大半と宮崎県北部を覆った。姶良カルデラ(桜島北側の錦江湾全体)の噴火では火砕流はシラス台地を形成した。これらの噴火で噴出した火山灰は日本全土に降り積もり、大量のマグマが抜けた跡には巨大なカルデラが形成された。
火山噴火のタイプ火山噴火ストロンボリ火山 (イタリア)2000年の噴火活動でできた有珠山寄生火口(2001年8月撮影)
上記のように噴火は様々な条件下で種々の形をとる。火山学者はこれを代表的なタイプに分類し、命名している(詳細は噴火の項を参照)。
洪水玄武岩
ハワイ式噴火
ストロンボリ式噴火
ブルカノ式噴火
プリニー式噴火
ウルトラブルカノ式噴火
火山は噴出する場所、特に水の存在によって噴火の形が大きく変わる。
海底深くで火山が噴火した場合 - 高い水圧で爆発は起こらず、水で急冷された溶岩は特徴的な枕状溶岩となる。
水面近くの噴火や、マグマが地下の浅い所で地下水と出あった場合 - 水が瞬時に沸騰し爆発的なマグマ水蒸気爆発を起こす。
巨大な氷河の下で火山が噴火した場合 - 海底深くで火山が噴火した場合と同様な形態となるが、噴火の規模が大きく氷床を解かしてしまった場合、氷河の下に巨大な湖ができ、氷河の壁は大量の水の重さを支えきれずに決壊し、家や橋まで流してしまう大規模な洪水が発生する。この大洪水をアイスランド語でJoekulhlaups(ヨークルハウプス)と呼ぶ(アイスランドの火山)。
1911年、ドイツのカール・シュナイダーは火山地形を次のように分類した。
トロイデ - 鐘状火山(しょうじょうかざん)
コニーデ - 成層火山(せいそうかざん)
アスピーテ - 楯状火山(たてじょうかざん)
ホマーテ - 臼状火山(きゅうじょうかざん)
ベロニーテ - 火山岩尖(かざんがんせん)
マール
カルデラ
ペジオニーテ - 溶岩台地(ようがんだいち)
ラピリ台地 - 火砕岩台地(かさいがんだいち)
この分類は成因をまったく考慮せずに現在の地形だけで定義したものであった。火山の研究が進むにつれて、形成過程がまったく違うのに侵食などによって同じような地形になってしまう例(たとえば成層火山であるのに侵食で平坦になった偽アスピーテ)が次々発見され、シュナイダーの分類では不都合であることが明らかとなったため、現在ではシュナイダーの分類は破棄され世界的には死語となっている。日本では観光地の看板などにこれらの名称が残っている場合があるが、修正が望まれる。
現在では、火山地形は形成過程や内部構造も考慮して分類されている。