熱傷の重症度は、その深さと面積で決定される。
皮膚は表皮と真皮からなる。熱傷の深さは皮膚のどの層まで損傷が及んでいるかで表される。
深度傷害組織外見症状治癒期間瘢痕
I度
(epidermal burn)表皮・角質層まで発赤、充血痛み、熱感数日残らない
浅達性II度(SDB)
(superficial dermal burn)表皮・有棘層、基底層まで水疱、発赤、腫れ、湿潤強い痛み、灼熱感、知覚鈍麻約10日間ほぼ残らない
深達性II度(DDB)
(deep dermal burn)真皮・乳頭層、乳頭下層まで浅達性II度とほぼ同じだが、やや白くなる。浅達性II度とほぼ同じだが、知覚鈍麻が著しい約3週間残りやすい
III度
(deep burn)真皮全層、皮下組織壊死、炭化、乾燥、白い無痛、知覚なし自然治癒なし残る
足のII度の熱傷。緊満性水疱がみられる。III度の熱傷。黒い部分は壊死した皮膚である。
浅II、深IIの見極めが治療を進める上で大きな分岐点となる。見極めには迅速性が求められるが受傷後数日の経過で初めて判別するケースもある。通常、ピンセットなどで患部を圧迫し、ピンセットを離した時白くなった部位が元に戻ったら浅いII度、そのまま血流が滞り白かったら深いII度である。また一般論として深II度から植皮が検討されるが決断は難しく、医師の間で意見の対立もある。
深II度との見極めは受傷後数日、数週間を置いて判別するケースもある。これはすべての深度判定にも言えることで、判定は大変難しく専門家でも迷うケースもある。
またIII度以上の深達性熱傷をIV度、V度と別に呼称する場合もある。それらの表面は炭化している。
日本での呼称は日本熱傷学会の定めるところに拠った。
熱傷面積を大まかに計測する方法として以下の法則がよく知られている。
9の法則:成人に適用頭部・左上肢・右上肢をそれぞれ9%、体幹前面・後面・左下肢・右下肢をそれぞれ18%、陰部を1%で計算する。
5の法則:乳幼児に適用乳児の場合、頭部・体幹前面・後面をそれぞれ20%、四肢をそれぞれ10%で計算する。幼児の場合、頭部を15%、左上肢・右上肢をそれぞれ10%、体幹前面を20%、体幹後面・左下肢・右下肢をそれぞれ15%で計算する。
II度以上の熱傷面積が成人の場合20%、小児の場合10%を超えると重症化するため、速やかに医師の処置を受けねばならない。
細かな面積を計算するには手掌法(熱傷者の手掌の面積を全身の1%として計算する)が適用される。
火災などで高温の気体やススを吸い込んだ場合、上気道や気管に熱傷を負うことがある。熱傷を負った気道は徐々に浮腫を起こして狭窄し、呼吸ができなくなるため非常に危険である。気道の熱傷は外見からはわかりにくいので特に注意が必要である。気道熱傷のおそれがある場合は一見全身状態が良くてもあとから気道狭窄を起こす場合があるため挿管の必要がある。狭窄を起こしてからでは挿管は困難もしくは不可能となるためである。
気道熱傷の可能性を示す徴候として、口腔・鼻腔のススの付着が挙げられる。
患部を1秒でも早く、水で、冷やすことが推奨される。 手近にあるコップの水でもお茶でもまずかけること。その後も流水(水道水)で冷やし続けることが望まれるが、それができないときは濡れタオルで冷やしても良い。15分ほど冷やしたら速やかに医師の診察を受けること。自己判断の治療(ジャガイモやアロエなど)は以後の治療の妨げになるので避ける。
服は脱がせず、そのまま水をかけること。無理に脱がそうとすると皮膚が剥がれ、損傷が酷くなる。
水疱(水ぶくれ)は破らないこと。破ると感染を起こしやすくなる。
乳幼児や老人は低体温を起こしやすいため、冷やしすぎに注意。ひととおり冷やしたらすぐに病院へ搬送する。
気道熱傷のおそれがある場合は、息ができなくなってからでは手遅れになってしまうので、直ちに救急搬送を依頼する。
電撃傷などで心肺停止状態にある場合は心肺蘇生が最優先される。冷却は二の次。
消毒を施しながら、経過を診るのが一般的であるが、湿潤療法の有効性も主張されている。
原則的に治療の必要なし。数日で赤みがとれて治癒する。痛みが強い場合は軟膏を塗ることもある。
患部を湿潤環境で保護し、上皮化(皮膚の再生)を待つ。具体的にはハイドロコロイドなどの被覆材を貼る。ただし汚染創(感染創)はそのまま密封せず、デブリードマンとドレナージを確実に行う。
基本的にSDBと同じであるが、広範囲にわたる場合は植皮を考慮する。
まず十分にデブリードマンを行う(壊死組織を除去する)。広範囲であれば植皮の適応となるが、小範囲であれば湿潤環境で保護し周囲からの上皮化を待つ。なお、全身状態が不安定な場合は広範囲の創処置は行わないが、その場合も焼痂(焼けて固形化した皮膚組織)で締め付けられないよう減圧切開だけは加えておく。
また、III度以上の真っ黒に炭化した熱傷をIV度、V度と呼ぶ医師もいる。広範囲重症熱傷における植皮については、自分の別の部位の皮膚を使う自家皮膚移植が最も勧められるが、それでも熱傷部分をカバーしきれない部分はスキンバンクから取り寄せた凍結同種皮膚移植により創部の保護・感染予防を行なうこともある。
II度以上の熱傷面積が成人の場合20%、小児の場合10%を超えると全身状態が悪化するため、入院治療が必要である。
広範囲熱傷では体液が急速に喪失し、脱水による低容量性ショックが起こる。これに対し乳酸リンゲル液の大量輸液が行われる。輸液量はBaxterの公式で決定される。
Baxter法輸液量(ml/day)=熱傷面積(%)×体重(kg)×4
また、広範囲熱傷では全身性炎症反応症候群(SIRS)や創感染が起きやすく、遷延すると多臓器不全を引き起こすため、これらの制御を目標とした集中治療が行われる。
II度熱傷面積が小児で15%以上、成人で30%以上のことを言う.一般に輸液療法の絶対的適応である.
急性期(acute stage)もしくはショック期:受傷より48時間以内(72時間以内とする場合もある)。
血管透過性の亢進により血漿が血管外に大量に漏出し、循環血漿量の減少が生じる.
大量の体液の喪失。
皮膚表面の細菌感染(infection)防御力喪失。
ショック(受傷後48時間はショック期とされている)。
汗腺、皮膚腺の破壊。