強酸、強アルカリなどの化学薬品による損傷。数時間にわたって徐々に組織が壊疽(gangrene)するのが特徴。
電流による損傷。電流への抵抗によって生じる5000℃ほどの熱で組織が破壊される。電撃傷ともいう。
重症度は電圧、電流、伝導体への接触時間に左右される。交流電源は直流電源より危険度が高い。筋損傷、血管損傷、心停止(心室細動)のおそれがあり、また絶縁後も進行性壊死が見られる。主に深部組織が損傷するため、体表からの観察で重症度を判定するのは困難である。 神経障害が見られた場合は減張切開の適応あり。
放射線による損傷。高線量の放射線により皮膚を構成する細胞や血管が傷害され、熱傷に類似した症状を呈する。
日焼けも厳密に言えば熱傷である。太陽光線に含まれる紫外線(UVA、UVB)に被曝すると、皮膚組織の破壊が起こる。日焼けといえども、照射時間・範囲のいかんによっては重態になりかねない。
低温熱源による熱傷。長時間の低温熱源の直接接触により受傷する。
接触部の温度が44℃だと約6〜10時間で受傷する。
また44〜51℃までのあいだは接触する温度が高くなるにつれて受傷する時間が短縮される場合もある。低温熱源とは湯たんぽ、カイロ、ストーブ、ホットカーペットなどおもに暖房器具。受傷者側の要因としては、熟睡していたり体が不自由であったり、知覚麻痺、泥酔、一酸化炭素中毒、糖尿病による循環不良、などの状態にあると受傷しやすい。
また、ホットカーペットに幼児を寝かせ毛布をかぶせると熱中症にかかりやすいなど、暖房器具によるけがは多い。
(近年ではノートパソコンの使用に伴い、ひざに乗せることで本体底面部からの放熱でひざが、またキーボードやパームレスト部からの放熱で手のひらが、低温熱傷にかかる報告がある[要出典])。
低温熱傷は極端に熱源の接触時間が長いため、発赤や水疱形成だけに見えても深部に深い損傷を負っていることが多い。睡眠時は痛みに気づかないため深達性II度(DDB)まで傷を負い、さらに進行性に深くなりIII度(DB)まで達することもまれにはある。深くなる理由としては、皮膚の血流量より脂肪層の血流量が少なく、皮膚の血流で受傷した創が冷やされて軽症に見えても脂肪層では血流により冷却されないため傷は実際より深い。
低温熱傷の予防
就寝時低温熱傷では湯たんぽによるものが圧倒的に多い。電子サーモスタットを有しない構造が致命的欠陥である。近年の湯たんぽブームにより状況は最悪である。
体の同一箇所を暖房器具に長時間触れさせないようにする。
暖房器具を使用する人の状態によっては周囲の人が配慮する。
熱傷の重症度は、その深さと面積で決定される。
皮膚は表皮と真皮からなる。熱傷の深さは皮膚のどの層まで損傷が及んでいるかで表される。
深度傷害組織外見症状治癒期間瘢痕
I度
(epidermal burn)表皮・角質層まで発赤、充血痛み、熱感数日残らない
浅達性II度(SDB)
(superficial dermal burn)表皮・有棘層、基底層まで水疱、発赤、腫れ、湿潤強い痛み、灼熱感、知覚鈍麻約10日間ほぼ残らない
深達性II度(DDB)
(deep dermal burn)真皮・乳頭層、乳頭下層まで浅達性II度とほぼ同じだが、やや白くなる。浅達性II度とほぼ同じだが、知覚鈍麻が著しい約3週間残りやすい
III度
(deep burn)真皮全層、皮下組織壊死、炭化、乾燥、白い無痛、知覚なし自然治癒なし残る
足のII度の熱傷。緊満性水疱がみられる。III度の熱傷。黒い部分は壊死した皮膚である。
浅II、深IIの見極めが治療を進める上で大きな分岐点となる。見極めには迅速性が求められるが受傷後数日の経過で初めて判別するケースもある。通常、ピンセットなどで患部を圧迫し、ピンセットを離した時白くなった部位が元に戻ったら浅いII度、そのまま血流が滞り白かったら深いII度である。また一般論として深II度から植皮が検討されるが決断は難しく、医師の間で意見の対立もある。
深II度との見極めは受傷後数日、数週間を置いて判別するケースもある。これはすべての深度判定にも言えることで、判定は大変難しく専門家でも迷うケースもある。
またIII度以上の深達性熱傷をIV度、V度と別に呼称する場合もある。それらの表面は炭化している。
日本での呼称は日本熱傷学会の定めるところに拠った。
熱傷面積を大まかに計測する方法として以下の法則がよく知られている。
9の法則:成人に適用頭部・左上肢・右上肢をそれぞれ9%、体幹前面・後面・左下肢・右下肢をそれぞれ18%、陰部を1%で計算する。
5の法則:乳幼児に適用乳児の場合、頭部・体幹前面・後面をそれぞれ20%、四肢をそれぞれ10%で計算する。幼児の場合、頭部を15%、左上肢・右上肢をそれぞれ10%、体幹前面を20%、体幹後面・左下肢・右下肢をそれぞれ15%で計算する。
II度以上の熱傷面積が成人の場合20%、小児の場合10%を超えると重症化するため、速やかに医師の処置を受けねばならない。
細かな面積を計算するには手掌法(熱傷者の手掌の面積を全身の1%として計算する)が適用される。
火災などで高温の気体やススを吸い込んだ場合、上気道や気管に熱傷を負うことがある。熱傷を負った気道は徐々に浮腫を起こして狭窄し、呼吸ができなくなるため非常に危険である。気道の熱傷は外見からはわかりにくいので特に注意が必要である。気道熱傷のおそれがある場合は一見全身状態が良くてもあとから気道狭窄を起こす場合があるため挿管の必要がある。狭窄を起こしてからでは挿管は困難もしくは不可能となるためである。
気道熱傷の可能性を示す徴候として、口腔・鼻腔のススの付着が挙げられる。
患部を1秒でも早く、水で、冷やすことが推奨される。 手近にあるコップの水でもお茶でもまずかけること。その後も流水(水道水)で冷やし続けることが望まれるが、それができないときは濡れタオルで冷やしても良い。15分ほど冷やしたら速やかに医師の診察を受けること。自己判断の治療(ジャガイモやアロエなど)は以後の治療の妨げになるので避ける。
服は脱がせず、そのまま水をかけること。無理に脱がそうとすると皮膚が剥がれ、損傷が酷くなる。
水疱(水ぶくれ)は破らないこと。