「千」は「一」と「人」を合わせた字である。「人」は単に音を示すとも[10]、人数の多さを表すとも言われる。甲骨文字では、二千を「二」と「人」、三千を「三」と「人」というように組み合わせる。
「万」は元々「萬」と書いた。「萬」はサソリを表す象形字であり、仮借で 10000 の意味に使うようになった。元の意味は、意符の「虫」を加えて「?」と書く。ただし「萬」と「?」は音が全く異なる。
一方、仏教の吉祥の印である卍は、当初は徳と訳されたが、北魏の菩提流支は十地経論の中で、卍を萬と訳した。萬徳の意味である。693年、武則天は卍を萬と読むことを定め、以降、卍は萬と通用するようになった。この卍あるいは?が変化した字が「万」である。
戦後、日本の新字体および中国の簡体字で正式に「万」に改められた。
漢数字は主に数詞を表すために使われる。漢数字による数詞を漢数詞と呼ぶ。この場合、漢数字の通りに発音するので、数字より文字と見なすべきである。漢字文化圏の言語の数詞は基本的に古代の中国語に基づくが、多少の違いがあるため、表記にも当然違いがある。
上位から読むこと、大数は 4 桁ごとに区切ることは、共通である。
日本語では、まず数を下位または小数点から 4 桁ごとに区切り、各 4 桁の組に「万」、「億」などの単位を付けて、上位から読む。4 桁の組の中では、「千」、「百」、「十」を単位として区切り、上位から読む。百位または十位が 1 のとき、「一」を言わず単に「百」、「十」と読む。千位は「一」を読んでも読まなくても良い。また、桁の数と単位が結びついて連濁や音便を起こす。
例:
数漢数字読み
59五十九ごじゅうきゅう
370三百七十さんびゃくななじゅう
1234(一)千二百三十四(いっ)せんにひゃくさんじゅうよん
読みは主に呉音だが、〇、四、七、九は異なる読み方をする。〇は元々漢音しか使わないが、残りは比較的最近の変化である。大槻文彦の『口語法別記』(1917年)には、以下の記述がある[11]。
數を呼ぶに、次のように云ふことがある、聞きちがわせぬ爲である。二百四十番(ふたひゃくよんじうばん)四百七十九圓(よんひゃくなゝじうきうえん)
当時はまだ「よん」、「なな」、「きゅう」は一般的ではなく、呉音の「し」、「しち」、「く」が使われていたことが分かる。ただしこれは東京の場合で、大阪では江戸時代にすでに「よん」、「なな」、「きゅう」になっていたという[12]。「ふた」は定着せず、株式市況や競馬などで使われるだけである。 ただし、四の後に助数詞が付くときに「よ」と読むのは古くから行われた。これは「死」との同音を避けたためである。ジョアン・ロドリゲスの『日本大文典』(1604年)第三巻、「数名詞に就いて」の「構成」には、以下の記述がある[13]。
四つを意味する Xi (四)は或語とは一緒に使はれない。それは死とか死ぬるとかを意味する Xi (死)の語と同音異義であって,異教徒は甚だしく嫌ひ,かかる語に接続した四つの意の Xi (四)はひびきがよくないからである。従って,その代りに‘よみ’の yo (よ)を使ふ。
詳しくは四の字を参照すること。
小数や住所、電話番号などで数字を粒読みする時、二と五は「にー」、「ごー」と 2 拍で読む[1]。また住所や電話番号などを粒読みする時は、〇を「まる」と読むことが多い。これは英語の oh と同じである。
中国語では百位、千位の 1 を読む。また、503 は「五百三」ではなく「五百〇三」と読む。この「〇」の挿入は南宋以来の習慣である。「五百三」と言うと、「五百三十」の省略すなわち 530 の意味になる。「〇」は「とんで」の意味なので、0 が続いても一回だけ読む。例えば 5003 は「五千〇三」であり、「五千〇〇三」ではない。
「二」の代わりに「?」(兩、両、普通話:li?ng, 上海語:lian, 広東語:leung5)を用いるのも中国語の特徴である。「十」および「?」の前では「二」を使うが、それ以外では一般に「?」を用いる。「百」の前ではどちらでも良い。従って 2000 は「二千」ではなく「?千」である。
なお、春秋戦国時代までの中国語では、各桁の間に「と」を意味する「又」や「有」を挿入した。論語では 15 は「十有五」と書かれている[14]。
数字を粒読みする時は、通常は一を言い替える。軍隊や航空、鉄道では、さらに特殊な音がある。以下に通常と軍隊の粒読み音を示す。
数通常軍隊
0〇 (ling)洞 (dong)
1一 (y?)幺 (y?o)
2二 (er)? (li?ng)
3三 (s?n)三 (s?n)
4四 (si)刀 (d?o)
5五 (w?)五 (w?)
6六 (liu)六 (liu)
7七 (q?)拐 (gu?i)
8八 (b?)八 (b?)
9九 (ji?)勾 (g?u)
朝鮮語では千位の 1 を読まない。また「万」の前の 4 桁の組が 1 である時も読まない。従って、10000 は単に「万」であるが、110000 は「十一万」と読む。
詳細は命数法#漢数字を参照
現在は万万を億、万億を兆と呼ぶ。古くは万までしか位が無かったので、十万、百万、千万までだった[15]。後に億、兆などが作られたが、その意味する位は一定しなかった。
漢数字は小数の位があり、先進的であった。十進小数は算木で容易に表せる。しかし大数の位と比べると、成立したのは遅かった。
秦は中国統一後、度量衡の単位も以下のように統一した[16]。