字義は本義・引申義・仮借義などに分けられて分析されてきた。字義を研究する中国伝統の学問は訓詁学である。
本義とはその字がもつ基本的な意味である。歴史的に考察すれば語源ということになる。本格的な本義研究は後漢の許慎『説文解字』に始まる。その方法は字形から本義を探るというものである。これを形訓とも呼ぶ。六書という造字法が本義分析に大きな役割をはたした。それは20世紀甲骨文字の研究に際しても大きな役割を果たしている。また後漢末、劉煕の『釈名』は、本義を音声に求めた。これを声訓という。たとえば「日(ジツ)は実(ジツ)である。光輝いて充実しているからである」「月(ゲツ)は欠(ケツ)である。満ちて欠けるからである」といったものである。声訓の方法論は宋代以降の「右文説」や20世紀カールグレンや藤堂明保の音声による語源分析に発展していった。
引申義とは、本義から引き伸ばされて、つまり派生してできた意味である。たとえば「長」の本義は長短の意味で距離的に「ながい」ことを表すが、引申されて長久の意味、時間的にながいことも意味するようになる。さらにそれは植物の生長の意味に引申され、さらに人間の成長を意味するようになり、長幼の区別を生じ、長老、首長へと引申されていったと考えられる。引申義の研究は、現代の語彙研究に相当する。それは古典の注釈で使われて訓詁学から発展し、前漢には同義語を分類した『爾雅』という書物にまとめられ、これにより古語や俗語などが系統的に整理された。また前漢の揚雄は『方言』を著し、同時代の地域言語を列挙して共通語でまとめている。
仮借義(かしゃぎ)とは、ある語を表すのに同音または音が近い字を借用することを仮借(かしゃ)というが、字義のなかで仮借によってできたものをいう。たとえば「求」の本義は「かわごろも」であるが、「もとめる」の意味をもつ同音語に仮借された。やがて「もとめる」の方が基本義となってくると本義は「裘」という別に漢字を作られるようになった。仮借は『説文解字』の六書で用字法の一つにあげられたものである。これにより字義に本義と全く関係のないものがあることを説明できる。
漢字
類型:表語文字
言語:中国語、日本語(仮名との併用)、朝鮮語(ハングルとの併用)、ベトナム語(近代以前)
時期:紀元前15世紀以前-現在
親の文字体系:不明
漢字
子の文字体系:平仮名
片仮名
チュノム
西夏文字
契丹文字
女真文字
古壮字
注音符号
Unicode範囲: ⇒U+2E80-U+2EFF(CJK部首補助)
⇒U+2F00-U+2FDF(康熙部首)
⇒U+3400-U+4DBF(CJK統合漢字拡張A)
⇒U+4E00-U+9FBf(CJK統合漢字)
⇒U+F900-U+FAFF(CJK互換漢字)
⇒U+20000-U+2A6DF(CJK統合漢字拡張B)
⇒U+2F800-U+2FA1F(CJK互換漢字追加)
ISO 15924 コード:Hani
漢字とは由来を異にする、漢字に似せた文字を「擬似漢字」(契丹文字、女真文字、西夏文字など)、漢字に由来する文字を「派生漢字」(仮名など)と呼ぶことがある。
国製漢字・派生文字
国字(日本生まれの漢字)、当用漢字、常用漢字
韓国国字(韓国生まれの漢字)
ベトナムのチュノム(字喃)(現在は使われていないベトナム国字)
チワン族の古壮字(方塊壮字)(現在は使われていない)
水族の水字(現在は使われていない)
ペー族の方塊ペー字(現在は使われていない)
プイ族の方塊プイ字
ヤオ族の女性の女書
契丹文字(漢字とウイグル文字より)
女真文字(漢字と契丹文字より)
西夏文字(日本人研究家により解読された)
日本の仮名(ひらがな、カタカナ)
注音符号(注音字母)(中国語の音標文字)
蘇州号碼(中国の算用数字)
直接的に漢字に由来しない周辺地域の文字
朝鮮のハングル
クオック・グー(ベトナムのアルファベット)
イ族のロロ文字
ナシ族のトンパ文字
漢字文化圏も参照のこと。
音読み、訓読みと日本にだけ二種類の読み方があるのが、大きな特徴である。日本における漢字を参照。
中国文化の影響をうけたベトナムにも漢字が伝わって、用いられるようになったが、近代に入りフランスの植民地になって以後、中国文化圏から切り離されて漢字ではなく「クオック・グー(国語)」と呼ばれるローマ字が使用されるようになった。