温度
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温度の下限の存在はトムソン以前にシャルルの法則から、あらゆる気体の体積が0となる温度として考えられていた。

原子、分子レベルにおける温度の意味については、ジェームズ・クラーク・マクスウェルの気体分子運動論によって初めて明らかとなった。 気体分子の速度の分布はマクスウェル分布に従い、この分布関数の形状は温度に依存している。 特に気体分子の平均運動エネルギーは3/2 kT(k:ボルツマン定数、T:熱力学温度)となり、温度に比例する。 すなわち温度は分子運動の激しさを表す数値でもある。 このためプラズマ中のイオンや電子の持つ平均運動エネルギーを温度で表現することがある。 この時は通常平均運動エネルギー = kTとなる温度Tによって表現する。

ルートヴィッヒ・ボルツマンはこのマクスウェルの考え方を発展させ統計熱力学を構築した。 統計熱力学では、あらゆる形態のエネルギーにこの考え方が拡張されている。 温度が高いほど高いエネルギーを持つ原子や分子の割合が大きくなり、原子や分子の持つ平均エネルギーの大きさも増加する。 このように統計熱力学において温度は分子のエネルギー分布の仕方を表す指標である。

量子論が確立してくると、古典的な統計熱力学は量子統計の近似であることが明らかとなった。 古典論においては0 Kにおいてあらゆる粒子は運動を停止した最低エネルギー状態をとることになるが、量子論においては粒子は0 Kにおいても零点エネルギーを持ち静止状態とはならない。 また、ボース粒子のエネルギー分布はボース・アインシュタイン分布フェルミ粒子のエネルギー分布はフェルミ・ディラック分布となる。 フェルミ粒子においてはパウリの排他原理により、絶対零度においても古典論では数万 Kにも相当するような大きなエネルギーを持つ粒子が存在し、温度を古典論のように単純に粒子のエネルギーの大きさの目安とすることはできない。 しかし、温度が分子のエネルギー分布の仕方を表す指標であることは古典統計と変わっていない。


温度の単位と種類

温度単位

熱力学温度(絶対温度、開氏) - ケルビン

セルシウス度(摂氏)

ファーレンハイト度(華氏)

レオミュール度(列氏)

ランキン度(蘭氏)


乾球温度

湿球温度

放射温度

グローブ温度

露点温度


国際温度目盛

国際単位系においては温度には熱力学温度を使用し、単位としてケルビンを使用することになっている。しかし熱力学温度は理想化された系の性質から定義される温度であるから、実際に計測することは容易ではない。そこで熱力学温度と実用上一致し、測定しやすい温度として国際温度目盛(こくさいおんどめもり、ITS、International Temperature Scale)が定められている。現在使用されている温度目盛は1990年に定められたものでITS-90と呼ばれている。国際温度目盛はある領域の温度を測定する計測方法とそれを校正するための定義定点からなる。


計測方法

0.65 K - 5.0 K : ヘリウムの蒸気圧と温度の関係式によって定義される。

3.0 K - 24.5561 K : ヘリウム3またはヘリウム4の定積気体温度計によって計測される。

13.8033 K - 1234.93 K : 白金抵抗体の273.16 Kでの抵抗値との抵抗比によって計測される。

1234.93 K : 放射温度計のある波長での放射密度によって計測される。


定義定点

ヘリウムの蒸気圧点:3 K - 5 Kでの値を校正に使用

平衡水素の三重点:13.8033 K

平衡水素の蒸気圧点:17.035 Kと20.27 K付近の値が定義されている

ヘリウム気体温度計の示度:17.0 Kと20.3 K付近の値を校正に使用

ネオンの三重点:24.5561 K

酸素の三重点:54.3584 K

アルゴンの三重点:83.8058 K

水銀の三重点:234.3156 K

水の三重点:273.16 K (熱力学温度目盛のもう一つの定義定点)

ガリウムの標準気圧下(101325 Pa)の融解点:302.9146 K

インジウムの標準気圧下の凝固点:429.7485 K

スズの標準気圧下の凝固点:505.078 K

亜鉛の標準気圧下の凝固点:692.677 K

アルミニウムの標準気圧下の凝固点:933.473 K

銀の標準気圧下の凝固点:1234.93 K

金の標準気圧下の凝固点:1337.33 K

銅の標準気圧下の凝固点:1357.77 K


温度測定法

測定方法には物体に直接触れて測る接触式と、触らずに測る非接触式がある。

接触式は、膨張式と電気式、計数式等があり、膨張式は、気圧温度計や蒸気圧温度計など温度変化による気体の圧力変化を測るものや、水銀温度計のような液体の長さを測るもの、固体の変形を測るバイメタル式がある。 電気式は、温度によって抵抗率が変わる原理を利用した白金抵抗温度計や熱電対など金属線を用いるもの、サーミスタダイオードなど半導体を用いるものがある。 温度変化を共振周波数変化として計測できる水晶温度計は計数式に分類され、この他にもサーモペイントや液晶も接触して温度変化を測定できる。

非接触式は、検出波長によって2種類に分かれる。ひとつは、約2μm?5μmの短波長の赤外線を検出波長帯とする量子型。もうひとつは、約8?14μmの長波長の赤外線を検出波長帯とする熱型。それぞれの検出波長帯は、大気による赤外線の減衰が小さい波長帯にあたり、量子型は検出素子にInSb(インジウムアンチモン)、InAs(インジウムヒ素)などを使い、熱型はマイクロボロメータを使っている。 非接触式の温度計としては代表的なものとして、赤外線サーモグラフィがある。

熱電対

測温抵抗体

サーミスタ

放射温度計

液柱温度計

バイメタル式温度計

赤外線サーモグラフィ



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki