津波の物理的性質は風浪や、天文潮すなわち干潮・満潮等の規則的な潮汐とは異なっている。以下に、津波の諸特性について言及する。
津波の発生原因として最も一般的なものは海底で起こる地震で、記録に残る津波の大部分はこれによるものである。地震によって海底に断層が生じて海底の地表面が上下に変化すると、その地形変化がそのまま海面に現われ、水位の変動がうねりとなって周囲に拡大していき、津波となる。正断層による海底の沈降によっても、逆断層による隆起によっても津波は起こる。マグニチュード 8 級の地震では断層の長さが 100 キロメートル以上になる事もあり、それに伴う地形変化も広い面積になるので、広範囲の海水が動いて大規模な津波を起こす。もともと津波の発生には海底の地形が大きく変わる事が重要で、大地震による海底の断層とそれによる隆起や沈降は最も津波を起こしやすい現象といえる。
地震津波は大規模で、遠方まで伝わるため、地震を感じなかった地域でも津波に襲われる場合がある。これを遠隔地津波と言う。津波の到達まで時間があるので避難しやすく、人的被害防止は容易であるが、情報の伝達体制が整っていないと不意討ちを受ける形になり、被害が大きくなる。1960年のチリ地震津波の際のハワイや日本、2004年のスマトラ沖地震の時のインド洋沿岸諸国などの例がある。また、「ゆっくり地震」或いは「津波地震」と呼ばれる、海底の変動の速さが遅い地震がある。小規模な地震しか起こらないため一見マグニチュードは小さいが、総エネルギーは大きく地表面の変動も大規模で範囲が広いので、予期せぬ大津波が発生し、大きな被害をもたらす事がある。1896年の明治三陸沖地震津波がその例で、原因となった地震については長らくマグニチュード 7.6 とされてきたが、その後津波の大きさを考慮してマグニチュード 8.25 に改められた(2006年版理科年表)。
海岸線に近い場所で起きた山体崩壊などで、大量の土砂や岩石が海になだれ込んだ際にも津波が発生する。大部分は地震津波に比べてはるかに規模は小さいが、状況によっては地震が原因の津波と遜色がないほどの大津波が発生することもあると言われ[2]、また発生地点に接して人口密集地帯があると大被害を引き起こす。「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる、15,000 人が犠牲になった 1792年の有明海の津波や、1979年にインドネシアで 700 - 1,000 人の犠牲者を出した津波などがその例である。1883年のインドネシアのクラカタウ火山の爆発では、大量の火砕流が海に流れ込んで津波が起こり、36,000 人が死亡したとされる。
海底火山に起因する津波もあるが、海底の地形に大きな変動がなければ、爆発活動だけでは大きな津波にはならない。1952年の明神礁の活動に際しても、八丈島で小規模な津波が観測された程度である。海底に生じた地滑りが津波を起こすかどうかについては、専門家の中に否定する意見もあり、また実際に海底地すべりで起こったことが確実視される津波の例もほとんどない。
巨大隕石が海に落下すれば津波が起こると考えられる(衝突津波)。歴史時代には明確に証明された衝突津波はないが、メキシコ湾・カリブ海沿岸各地にはチクシュルーブ・クレーターを作った天体衝突が起こした衝突津波による津波堆積物が残っている。
伝播アラスカにある津波警戒標識。4 度目の波が一番高く描かれている
津波は、水深の変化の無い大洋で発生した場合には発生源を中心に同心円状に広がって行くはずであるが、地震津波の場合、地震は多くが陸地近くの海域で起こり、その場合は波のおよそ 4 分の 3 は海岸に向かい 4 分の 1 が外洋に向かう。すなわち、1960年のチリ地震津波においては、チリ沖で生じた津波は最初は同心円を描いて広がったが、大陸棚斜面を進む波は水深の大きい沖合いで速度が速く、沿岸寄りでは遅くなるため、チリの海岸線に対し垂直方向に進む波以外は次第に進路がチリの海岸向きに屈折し、結局 4 分の 3 がチリ海岸に戻り、4 分の 1 は太平洋を直進してハワイや日本に達したと考えられる。そのため、同じ環太平洋地域でありながら北アメリカ西岸やオセアニアなどでは目立った津波被害は起こっていない。物理的にはいわゆる孤立波であり、津波は海のソリトンと呼ばれる。
一般に水面に見られる波は、風によりできた風浪で、大きなものでも周期は 10 秒程度、波長は 150 メートルくらいである。これに対し津波の間隔は、短いもので 2 分程度、長いものでは 1 時間以上にもなり、100 キロメートルを越す長波長の例もある。津波の波源域は広く、それによって波長が決まるためである。このため、津波が内陸に押し寄せる際には、その水位の高まりはあたかも海面自体が上昇するような状態になって、大きな水圧による破壊力が加わる。また津波が引く際にも、高くなった海面がそのまま引いていく形になり、やはり大きな破壊力を発揮する。チリ津波では、函館の例では押し波の水位差が 2 メートル、引き波が 3 メートルで、引きが強く、このような場合は押し波で破壊された物やもともと陸にあった物などが海に持ち去られる被害が大きくなる。
通常、津波は複数回押し寄せる。10 回以上に及ぶ事もある。2 番目又は 3 番目の波が最も大きくなる傾向があり、その後次第に小さくなってゆく。また、過去の津波における体験者の証言や昔話等の伝承に、津波の来襲前にまず引き潮が起こった、というものがあり、津波の前にはまず海水が引いていくと一般にも広く信じられているきらいがある。スマトラ沖地震では津波前に引き潮があり、魚を獲りに行った人々が犠牲になった事実があるが、日本海中部地震では引き潮が無く最初から津波が押し寄せた。津波が引き波から始まるか押し波からかは、諸条件によって決まり、予測は難しい。地震により海底の沈降が起これば引き波が先に来て、隆起があれば初めから押し波が来るが、震央をはさんで沈降と隆起が同時に発生する事も考えられる。
津波の伝播する速度は水深と波高により決まる。大陸棚斜面から外洋に出ると水深は 4,000 メートル前後でほとんど一定になり、また水深に比べて波高は問題にならないくらい小さいので、外洋での津波の速度は、重力加速度(9.8 m / sec2。便宜的に 10 m / sec2 として差し支えない)に水深を乗じた値の平方根にほぼ等しい。式で表わすと次のようになる。d は水深(単位は m)、速度は秒速 (m / sec) で示される。
時速に直すには 3.6 倍すればよい。これにより、水深 1,000 メートルで時速 360 キロメートル、水深 4,000 メートルで時速 720 キロメートルとなる。沿岸では水深が浅くなり、そのため津波の波高が増すので、上の式をそのまま適用すると不正確な値となるため、次の式を用いるのがよい。H は水面上の波高である(単位は m)。
ここから、水深 10 メートル、波高 6 メートルの場合の津波の速さはおよそ時速 46 キロメートルとなる。
外洋では津波の波高は数十センチメートルから 2 - 3 メートル程度であり、波長は 100 キロメートルを越えるので、海面の変化はきわめて小さく、沖合いにいる船などは津波に気付かず、沿岸や港に来て初めて被害の大きいのを知る場合が昔はよくあった。「津波」の名もここに由来するものである。津波が陸地に接近して水深が浅くなると速度が落ちて波長が短くなるため、波高は大きくなるが、通常は、単に水深が小さくなっただけでは極端に大きな波にはならない。リアス式海岸のような複雑に入り組んだ地形の所では、局地的に非常に高い波が起きる事がある。津波の波高は水深の 4 乗根と水路幅の 2 乗根に反比例するので、仮に水深 160 メートル、幅 900 メートルの湾口に高さ 1 メートルの津波が押し寄せ、湾内の水深 10 メートル、幅 100 メートルの所に達した場合、波高は水深の減少で 2 倍、水路幅の減少で 3 倍になるため、総合すると波高は 6 メートルになる。それで、V 字型に開いた湾の奥では大きな波高になりやすい。
しかし、一般には検潮儀で津波を記録するようになっているものの、巨大津波そのものの波高を正確に測定する事は困難であり、これまでの大津波の波高とされる記録は、実際には波の到達高度で示されている。これは、陸に押し寄せた津波が海抜高度何メートルの高さまで達したかという数字で、現場の調査によって正確に決定できる利点がある。V 字型の湾など、地形によっては波自体が高くなると共に非常に高い所に駆け上がる事がしばしばあり、到達高度は波の実高度より高くなる場合が多い。