韓国では海洋水産部(省)の下に海洋警察庁(KCG = Korea Coast Guard)が設置され沿岸警備に当っている。本庁は仁川広域市に置かれ、釜山、仁川、束草、東海、泰安、群山、木浦、莞島、麗水、統営、浦項、蔚山、済州の13ヶ所に海洋警察署が設置されている。
韓国と日本は竹島(独島)領有問題をかかえており、時折日本漁船を拿捕することもある。ただ韓国の沿岸警備は北朝鮮ゲリラの浸透にも備えている。また韓国海洋警察は通常の沿岸警備以外に海洋環境保全のための海洋汚染監視も行っている。歴代庁長は警察庁出身者が任用され、人事的には陸の警察と交流が深い。
中華民国(台湾)では、2000年1月に行政院海岸巡防署(Coast Guard Administration, Executive Yuan)が組織された。この組織は2004年には19,680名を擁する、省に相当する国家機関であり、責任者の署長は大臣である。国防部海岸巡防司令部、内政部警政署水上警察局を統合し、さらに財政部関税総局の密輸取締船舶(一部)や農業委員会の漁船保護船舶(一部)も統合した組織である。主な内局として、海岸巡防総局(国防部から移行)と海洋巡防総局(水上警察から移行)がある。
海岸巡防総局の下に、4つの地区巡防局が設けられている。北部地区巡防局は、日本と係争している尖閣諸島も形式上管轄する。南部地区巡防局は中国や東南アジア諸国との係争地であるスプラトリー諸島(南沙諸島)および中国との係争地である東沙諸島を管轄に含む。このほか、中部、東部地区巡防局が設置されている。いずれも島嶼や海岸を陸上から防衛するため、陸軍出身者によって構成されている。
中華人民共和国には、公安部辺防管理局(Border Control Department of Ministry of Public Safety)が管轄する中国公安辺防海警部隊(CHINA COAST GUARD、略称「中国海警」)がある。中国国内の分類では武装警察の一つとされ、国際的にも準軍隊と言える。
ただし、同部隊は海上警備のみを担当し、捜索救助、海洋汚染への対応、水路業務などは交通部海事局が担当している。また、隊員の制服も迷彩色である。こうした点から見て、日本の海上保安庁よりもアメリカ沿岸警備隊に近く軍事色が強い組織だと思われる。
トルコ共和国においては、内務省の所属機関であるトルコ沿岸警備隊が、海上警察・遭難救助・海路保全などの任務にあたっている。これらの任務のため、本部のほか、地中海方面司令部・エーゲ海方面司令部・マルマラ海方面司令部・黒海方面司令部・教育センター司令部・航空司令部がおかれている。
準軍事組織ではあるが、陸海空の3軍およびジャンダルマと比較して、国家安全保障評議会に司令官が参加しないなど格下の扱いを受ける。有事には海軍の指揮下に入るものとされている。ただし、もっとも重武装の艦艇ですら機関砲程度の武装であり、大半は小型で非武装の艦艇である。また、哨戒・救難任務のために固定翼機・ヘリコプターを保有しているがこれらも非武装である。
その他の国
カナダにおける一般的な沿岸警備隊の任務は海軍の役割であり、沿岸警備隊は主にブイ設置や測量、砕氷船による冬季の航路啓開等に任務は限定されている。
ドイツの沿岸警備隊は国境警備隊の他に、税関など各々の官庁に分割されており、統一された組織は存在しない。
フランスにおいては海上憲兵隊が国家憲兵隊の中に組織され沿岸警備隊と同様の任務を行っている。海軍も沿岸警備隊の任務を行う事がある。
イタリアにも海事組織としてイタリア海軍傘下にイタリア沿岸警備隊は存在するが、その規模は歴史的経緯から小さく、代わりに財務警察が巡視船等を運用し、密輸犯、マフィア及び不法移民対策に従事している。
ロシアにおいては国境警備隊が沿岸警備隊の役割を担っている。
イスラエルの沿岸警備隊は海軍の一部であるが、その活動地域は死海などの国境線を有する内水である。死海を超えてイスラエル領に進入してくるパレスチナゲリラの密入国阻止を狙ったものである。所有するボートはアメリカ製のPBR(河川哨戒艇)などの小型ボートだが重武装を施している。
インドネシア・タイ・フィリピンなど東南アジア各国では、日本の海上保安庁をモデルとした沿岸警備組織の設立に力を入れている。これは重要な通商航路があることから海賊行為が多発しており、また海軍の整備では日本からのODAを受けられないという事情もあり、軍から独立した組織として整備される予定である。
マレーシア 海上法執行庁(Malaysian Maritime Enforcement Agency)それまで多くの国内関連機関が沿岸警備任務を分担していたが非効率化が目立ったため、全く新たな組織としてマレーシア行政府(Malaysian Civil Service)の下に領海内と公海上での国内法・国際法の執行と捜索救助その他の任務を遂行するため、2005年2月15日設立・同年11月30日に活動を開始した。国内6つの本支部を持つ。有事には大臣の命令で国軍の指揮下に入る。[ ⇒[1]]
シンガポール (Police Coast Guard, PCG)はシンガポール警察軍の一部署である。1993年にシンガポール共和国海軍から沿岸警備部門が移管された時点では、海兵警察(Marine Police)と呼ばれていたが、やがて組織再編のとともに沿岸警察(Police Coast Guard)と改名され、警察部隊として、水上警察活動と沿岸警備任務を併せもつ、世界的にも特殊な形態の法執行機関の一つとなった。46t級のボート12艇が最大で他94艇の比較的小さな(艇長20-11m)警備艇を有する。[ ⇒[2]]
沿岸警備隊と同種組織の一覧
日本 - 海上保安庁(Japan Coast Guard)
アメリカ - 沿岸警備隊(USCG : United States Coast Guard)
カナダ - 沿岸警備隊(CCG : Canadian Coast Guard)
ロシア - 連邦保安庁国境警備局(旧:連邦国境警備庁)