現在は、上記の不審船問題などから高速で重装備の巡視船の配備、海上自衛隊との様々な面での連携強化が課題となっているが、海上保安庁法で軍隊でないことを明記しているため実質との乖離がある。(海上保安庁法 第二十五条 この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。)
アメリカ沿岸警備隊 (USCG = United States Coast Guard) は国土安全保障省に属する準軍事機関であり有事には海軍の指揮下に入る。このため隊員は軍人資格であり、軍隊型の階級呼称を使用している。第二次世界大戦やベトナム戦争などにおいて臨検活動を中心に軍事任務を遂行した。このためハミルトン級カッター(巡視船)には76mm砲や機関銃など、軍艦としての機能も持つ装備を保有し、有事には対艦ミサイルランチャーも装備も可能である。他のカッターやボート(巡視艇)もこれに倣っている。
海外で行なわれる合同軍事演習では米海軍の参加艦艇としてハミルトン級カッターの姿を目にする事がある。船舶数こそ日本の海上保安庁に劣るものの、長距離の海岸線を保有する事から航空機の整備に力を注いでおり、早期警戒機の能力を有するC-130やP-3を装備して麻薬密輸に対する警戒に充てている。
このほか、運河や航行可能な河川・湖沼が多いため、こうした内水における救難ボートや測量ボート、ブイ設置船を数多く保有する。海岸・河川・湖水の護岸や港湾の整備に関しても沿岸警備隊が責任を持っており、専門の工事・管理部門を保有する。
詳細はイギリス沿岸警備隊を参照
イギリスにおいて沿岸警備隊はやや特殊な存在となっている。特に沿岸での海難事故における捜索救難活動に任務は限定されており、これらに使用する小型船舶と救難ヘリコプター等を装備するのみである。一般的な沿岸警備隊の任務は海軍の任務となっており、海軍において大型哨戒艦(OPV)を用いて遂行している。
韓国では海洋水産部(省)の下に海洋警察庁(KCG = Korea Coast Guard)が設置され沿岸警備に当っている。本庁は仁川広域市に置かれ、釜山、仁川、束草、東海、泰安、群山、木浦、莞島、麗水、統営、浦項、蔚山、済州の13ヶ所に海洋警察署が設置されている。
韓国と日本は竹島(独島)領有問題をかかえており、時折日本漁船を拿捕することもある。ただ韓国の沿岸警備は北朝鮮ゲリラの浸透にも備えている。また韓国海洋警察は通常の沿岸警備以外に海洋環境保全のための海洋汚染監視も行っている。歴代庁長は警察庁出身者が任用され、人事的には陸の警察と交流が深い。
中華民国(台湾)では、2000年1月に行政院海岸巡防署(Coast Guard Administration, Executive Yuan)が組織された。この組織は2004年には19,680名を擁する、省に相当する国家機関であり、責任者の署長は大臣である。国防部海岸巡防司令部、内政部警政署水上警察局を統合し、さらに財政部関税総局の密輸取締船舶(一部)や農業委員会の漁船保護船舶(一部)も統合した組織である。主な内局として、海岸巡防総局(国防部から移行)と海洋巡防総局(水上警察から移行)がある。
海岸巡防総局の下に、4つの地区巡防局が設けられている。北部地区巡防局は、日本と係争している尖閣諸島も形式上管轄する。南部地区巡防局は中国や東南アジア諸国との係争地であるスプラトリー諸島(南沙諸島)および中国との係争地である東沙諸島を管轄に含む。このほか、中部、東部地区巡防局が設置されている。いずれも島嶼や海岸を陸上から防衛するため、陸軍出身者によって構成されている。
中華人民共和国には、公安部辺防管理局(Border Control Department of Ministry of Public Safety)が管轄する中国公安辺防海警部隊(CHINA COAST GUARD、略称「中国海警」)がある。中国国内の分類では武装警察の一つとされ、国際的にも準軍隊と言える。
ただし、同部隊は海上警備のみを担当し、捜索救助、海洋汚染への対応、水路業務などは交通部海事局が担当している。また、隊員の制服も迷彩色である。こうした点から見て、日本の海上保安庁よりもアメリカ沿岸警備隊に近く軍事色が強い組織だと思われる。
トルコ共和国においては、内務省の所属機関であるトルコ沿岸警備隊が、海上警察・遭難救助・海路保全などの任務にあたっている。これらの任務のため、本部のほか、地中海方面司令部・エーゲ海方面司令部・マルマラ海方面司令部・黒海方面司令部・教育センター司令部・航空司令部がおかれている。
準軍事組織ではあるが、陸海空の3軍およびジャンダルマと比較して、国家安全保障評議会に司令官が参加しないなど格下の扱いを受ける。有事には海軍の指揮下に入るものとされている。ただし、もっとも重武装の艦艇ですら機関砲程度の武装であり、大半は小型で非武装の艦艇である。また、哨戒・救難任務のために固定翼機・ヘリコプターを保有しているがこれらも非武装である。
その他の国
カナダにおける一般的な沿岸警備隊の任務は海軍の役割であり、沿岸警備隊は主にブイ設置や測量、砕氷船による冬季の航路啓開等に任務は限定されている。
ドイツの沿岸警備隊は国境警備隊の他に、税関など各々の官庁に分割されており、統一された組織は存在しない。