発生場所としては、海が一番多く、501名の死亡者が出ている。これは水死者全体の50%近くを占める。以下、河川282名(28.9%)、用水路106名(10.8%)、湖沼池67名(6.9%)、プール7名(0.7%)と続く。用水路という聞きなれない場所が見られるが、これは泥酔した人が歩行中に誤って、側溝などの用水路に転落し水死したケースである。これは釣りや水泳中に死亡したケースと匹敵するぐらい多い行為であり、決して笑い事では済まされない。
また、0歳児と1歳児の水死の数それ自体は多くはないが、その約80%が浴槽であり、風呂場での水死が多い事が特徴としてあげられる。乳児の死亡率の低さは日本は世界でも指折りだが、0歳児の死亡率は先進国では2番目に高い数字である。1998年(平成10年)、厚生省(現厚生労働省)の「乳幼児死亡の防止に関する研究班」の調査で発表されている。これは日本の家庭で残り湯を残すという習慣があるからである。残り湯程度の水があれば簡単に幼児は水死してしまう。
水死にいたる以前行為として、魚釣り・魚とりが一番で292名の犠牲者が出ている。これは魚が釣れるのを何時間も待っているという緩慢な行為を続けているため、極度に集中力が低下しているからであり、また眠気も伴い、咄嗟の状況の対処が難しいからである。ウォータークーラーを浮き具の代用にして助かったケースも存在するが、防止策としてはできるだけ一人では行かない、ライフジャケットを着用するなどがある。なお、台風が接近している時に釣りをしていて高波・濁流に流され水死するという事故も毎年発生している。
水死事故の大半は着衣を着ている状態であり、これは普段とは違い不慣れな泳ぎを強制されるからである。なおかつ、裸体時と比べ、体力の消耗は激しい。もし、着衣を着たまま溺れた場合、無闇に泳いで体力を消耗するのではなく、近くにある浮き木などを見つけ、捕まり助けを待つのが賢明である。小学生ならばランドセルの中身を捨て、ランドセルを逆にし、浮き具のようにするといい。着衣時水場に近づくことは危険であるという危機意識を持っていれば、有る程度防ぐことはできる。
心臓の弱い人が海水浴に行ったとき、急な心臓発作が起こって溺れたり、心臓の強い水泳の選手であっても、急激に水温が下がるなど、何十キロと泳ぎ体力を消耗して溺れたり、湖の水面が凍ってると思って遊んでいたら、氷が破れて落ちて溺れたりなど、様々である。天気や水温やその他の諸状況によっても、人を溺れやすくする状態にさせるため、一概にどうであるかとはいえないが、泳ぎに自信がない人間や心臓が弱い人間などは特に注意しなければならない。また、クラゲなどの毒を持つ動物は、その毒そのものよりも、急な痛みなどからパニックを引き起こすことが危険だとも言われる。
また、自分で湖や川に身を投げ水死するものや、殺人者などによる強制的に人を溺れさせる水死などもある。
人間がはじめ溺れ始めると、息を無意識に吸おうとする。それが結果としてパニックを招く。何とか空気を吸おうと必死にもがくため、動悸を早めてしまい、もっと空気を必要とさせる。動くために必要な酸素がどんどん消費されるため、頭に回る酸素を少なくさせてしまい、さらに正常な判断ができなくなってしまう。そして、徐々に無意識に近い状態になっていく。
人間がもし水を飲んでしまったり、飲みそうになった場合は、さらにちゃんと飲み込もうとするだろう。それゆえ、もし無意識な状態の人間であれば、従順なまでに水をどんどん飲み込んでしまうのだ。もし水が喉の中の喉頭あるいは声帯に入れば、気管が凝縮して、侵入を拒む。肺には普段、この水の侵入を防ぐ機能が働いているが、一度水が肺の中に入ってしまえば、この機能は途端に無意味になる。
しかし、肺に水が入る前に死んでしまうと、肺には空気が入っているし、飲み込むという運動がないので肺には水が入らない。このことを「乾燥した水死」と呼ぶ。しかし、この水死は前述のと比べると圧倒的に少ない。また前述の水死を「濡れた水死」と呼ぶ。
酸素欠乏のため、徐々に無意識の状態に陥り、肺の中では化学変化がおきる。つまり、心臓の働きを止めてしまうのである。この心停止で、血液の循環もとまり、酸素も全身に循環されなくなる。心停止は臨床による死としても知られる。まだ、この状態になっても助かる可能性はあるが、脳は酸素を必要とするので、脳に重大な障害を残し、いずれは脳死と呼ばれる状態になる。生き残ったとしても遷延性意識障害になる可能性が高い。
体が成長過程にある子供の場合、鼻と耳とをつなぐ耳管が大人より太く短い。その為、息継ぎに失敗すると耳管の奥まで水が入り、耳管の奥にある中耳内の圧力が高まり中耳の内出血を起こす。更に、症状が進むと三半規管の麻痺を起こしてめまいを発症(大人でいうとひどく泥酔した状態)し、症状がひどくなると意識を失って、呼吸出来ずに溺死に至る。この要因は、泳ぎが上手な子供に多い。
溺れた人を水死させないためには、早期の発見、意識確認と早期の通報と早期の応急救護が必要である。一般的に、心臓停止では3分たてば死亡率が50%、10分たてばほとんど生存が見込めなくなる。他には呼吸停止の場合、10分で死亡率が50%、30分たてば殆ど生存は見込めない。しかも、救急車に通報をして1分以内に救助にくる可能性は皆無に等しい。
応急救護措置の簡単な流れ(ずっと、意識がない場合)
負傷者に意識があるか、ないか確認する。
助けを求め、気道を確保する。
十分な呼吸をしているか、負傷者の口に自分の耳を持っていき確認する。
呼吸がない場合、2回人工呼吸をする。
また、反応があるか、ないか確認する。呼吸、咳、動き。
反応がない場合、心臓マッサージと人工呼吸を30:2の割合で行う。
それを4回続けた後、循環のサインがあるか確認する。
それでも反応がない場合、救急車が来るまで、続ける。
ただし、第三者が不慣れな応急救護のためかえって、事故者の症状を悪化、死亡させてしまうこともあるので、まずその場に医者や看護師がいないかを確かめ、その人の指示に従うことが必要である。なお海外においては、善意による応急手当てで容態を悪化させてしまっても、法的な責任を負うことはない(善きサマリア人の法)が、日本においてはそのような法律は存在しない。そのため、善意による応急手当であっても、傷害罪として警察によって逮捕、起訴されるリスクを負う可能性がある。
ただし、善意の応急処置によって事故者の容態を悪化させたとしても、重大な過失がなければ民法698条の規定により、事故者やその家族からの損害賠償請求が認められることはない(緊急事務管理)。しかし応急処置において重大な過失があり、事故者の容態を悪化させた場合は、損害賠償請求を受けて法廷で争う可能性がある。
事件性のある水死体は色々調べられる。例えば、2004年(平成16年)11月奈良で起きた小学一年生殺害事件がそうである。被害女児の死因は溺死であった。そのときの彼女の気道や胃や肺などにたまった液体や付着物が調べられた。その液体が風呂の水なのか、どこどこの湖の水であるとかが調べれば分かる。動物性プランクトン(アメーバ、ミジンコetc)や植物性プランクトン(珪藻類など)や藻などである。