検事
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検察官の官名
検事総長
検察官の職階の最高位にして最高検察庁の長であり、全ての検察庁の職員を指揮監督する(7条1項)。認証官である。詳細は検事総長の記事を参照。
次長検事
検察官の職階の一つ。認証官である。最高検察庁に属し、検事総長を補佐する。また、検事総長に事故のあるとき、又は欠けたときは、その職務を行う(7条2項)。次長検事の職は一般的に検事長より上位の職であるものの、検察官俸給法における報酬額については検事総長、東京高等検察庁検事長についで3番目であり、東京高等検察庁の検事長以外の検事長と同額である。ただし、給与体系=指揮命令系統上の階級ではないことに留意する必要がある。
検事長
検察官の職階の一つ。高等検察庁の長。認証官である。所属の高等検察庁、並びにその管轄区域内の地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督する(8条)。なお、検察官俸給法における報酬額については、東京高等検察庁検事長は他の検事長とは区別されており、その俸給の額は検事総長についで2番目とされ、次長検事及び東京高等検察庁の検事長以外の検事長を上回る。
検事
検察官の職階の一つであり、検事一級と検事二級とに分かれる。
副検事
検察官の職階の一つ。詳細は副検事の記事を参照。


検察官の職名
検事正
検察官の職名の一つで、地方検察庁の長。一級の検事をもって充てられる。所属の地方検察庁、並びにその管轄区域内の区検察庁の職員を指揮監督する(9条)。
次席検事
検察庁法ではなく、検察庁事務章程に定められている職。高等検察庁及び地方検察庁にそれぞれ1名が置かれ、その庁に所属する検察官の中から法務大臣が任命する。所属する庁の検事長又は検事正の職務を助け、また、検事長又は検事正に事故のあるとき、又は欠けたときは、その職務を臨時に行う。また、記者会見に出席し、発表を行う。
上席検察官
検察官の職名の一つ。2人以上の検事又は検事及び副検事の所属する区検察庁にそれぞれ1名置かれ、検事をもって充てられる。区検察庁の長として、職員を指揮監督する。上席検察官の置かれない区検察庁においては、所属の検事又は副検事(副検事が2人以上属する場合は検事正の指定する副検事)が区検察庁の長として、職員を指揮監督する。
その他、総務部長、刑事部長、特別捜査部長、交通部長、公判部長など


採用の仕組み

検察官は裁判官弁護士と同様、原則として、法科大学院課程を修了し新司法試験に合格した者、もしくは旧司法試験に合格した者で、最高裁判所司法研修所における修習(司法修習)を終えた者が検事として採用され、この者が検察官となる。

この他に検察事務官や、警察官皇宮護衛官海上保安官自衛隊警務官等を一定年数経験した者が、考試を経て採用される副検事等から、更に考試を経て検事となり検察官となる者(特任)や、3年以上法律学を研究する大学院が設置されている大学における法律学の教授准教授であった者などから採用されることもある。

副検事が考試を経て検事になった後、弁護士となるには、考試を経た後に検察官(副検事を除く)の職にあった期間が、通算して5年以上になることが必要である(弁護士法5条3項)。

なお、法曹一元制をとっているアメリカでは、検察官は国や州に雇用された弁護士(lawyer)の一種という位置づけである。


法務大臣の指揮権

検察官はそれぞれが検察権を行使する独任官庁であるが、検察官は刑事裁判における原告官として審級を通じた意思統一が必要であることから、検察官は検事総長を頂点とした指揮命令系統に服する(検察官同一体の原則)。

検察官は、例外を除き起訴権限を独占する(国家訴追主義)という極めて強大な権限を有し、刑事司法に大きな影響を及ぼしているため、政治的な圧力を不当に受けないように、ある程度の独立性が認められている。端的なものが法務大臣による指揮権の制限である。

検察庁は行政機関であり、その最高の長は法務大臣であるため、当然に法務大臣が各検察官に対して指揮命令ができるのであるが、この指揮権については検察庁法により「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」として、具体的事案については検事総長を通じてのみ指揮ができるとした(つまり、法相といえども、事件についてやたらに検事に指図・命令したり圧力をかけたりはできない)。法務大臣と検事総長の意見が対立した場合に問題となり、かつては法務大臣の指揮に従わないこともあり得る旨を述べた検事総長もいて国会で問題とされたものの、法的には「法務大臣の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り違法なものでも服従する義務がある」とされ、個々の事件についても検事総長を通じて各検察官に対して間接的に法務大臣の指揮命令が及ぶことになる。その結果是非については、指揮権を発動した際の国民世論が決定することとなり、政治責任の問題である。

法務大臣の指揮権は、民主主義的な支持基盤を持たない行政機関である検察が、独善的な行動をとらないよう掣肘する目的も有しており、法務大臣の人事権と併せて、民主主義的な行政機関のコントロールを意味している。

この指揮権は、1954年4月21日、吉田内閣で犬養健法務大臣が造船疑獄に際して当時の自由党幹事長・佐藤栄作逮捕をしないよう指揮した例が存在し、それ以後発動されたことはない。


公訴権濫用論

原則として公訴権を検察官のみに付与し、広い裁量を認めていることから、権限濫用の危険性がある。そこで検察自体をチェックする機能が必要となる。不当な起訴が行われる可能性があることから、これら不当な起訴を行った場合には「公訴権の濫用」として公訴は棄却されるべきであるとする説が有力に唱えられた。最高裁は検察官の裁量権の逸脱が公訴の提起を無効とすることはありえるが、それは公訴提起自体が犯罪行為を構成するなどの限定的な場合に限られるとして、極めて限定的に解している。


他の捜査機関との関係

検察官は訴追機関であると同時に、あらゆる犯罪を捜査する権限も有する(実際には補充的な捜査にとどまることが多い)ことから、他の捜査機関(一般司法警察職員特別司法警察職員)との関係が問題となる。

戦前、検察官は捜査を主宰するとされ、強力な指揮権限が認められていた。もっとも、指揮に反した場合でも、警察は内務省管轄であったため、内務省警保局の管理権と検事の指揮が反した場合は、その指揮を貫くのは難しかったとされる。戦後は原則としていずれも対等・独立の協力関係であるとしつつ、公訴提起・公判維持の観点から検察官に一定の指揮権限を与えている。

具体的には、検察官は警察官等に対して、一般的指示権、一般的指揮権、具体的指揮権を有するほか、正当な理由がなくこれらの検察官の指揮に従わない場合、検事総長、検事長、検事正は従わない司法警察職員の懲戒の請求を公安委員会に対してすることができる。検察官自身には懲戒権限はない。検事総長、検事長又は検事正自身には懲戒権限はないため、この正当性の判断や必要性等は国家公安委員会が独自に判断する事となっている。公安委員会の管理権と検察官の指揮権が相反する場合にどちらが優先されるかが問題となるが、あくまでも正当性の判断主体は公安委員会であるため、公安委員会の管理権が優先されると解されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki