検事正
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検察官と検事

検察庁法に基づく職階制上の官名としては検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事が、職名としては検事正、上席検察官があるが、単独の「検察官」という表記はこれらの総称であり、あるいは訴訟法上の地位であって官名・職名ではないため、辞令等での表記に「検察官」は用いられない。ただし、検察官も「(旧)刑訴規則五六条二項にいわゆる官名と解することができる」とした判例がある[1]。これに対し「検事」は身分を指す。

旧憲法下の官吏区分呼称であった勅任官奏任官判任官の名残で、検察庁の官吏には一級・二級・三級(算用数字でなく漢数字で表記)の別があり、検事長以上は一級、検事は一級又は二級、副検事は二級となっている。各自に発せられる辞令に「検事一級」、「副検事二級」のように記載される。また、検察官以外の検察庁の官僚にも同様の区別があり、検事総長秘書官は二級、検察事務官は二級又は三級、検察技官は二級又は三級とすることとなっている。これらの級の区分はいずれも検察庁法に定められている。

最高検察庁の検事総長(国務大臣級待遇)・次長検事(大臣政務官級待遇)、各高等検察庁の検事長(準副大臣・大臣政務官級待遇[2])は認証官とされ、その内閣による任免は天皇から認証される。[3]

事件処理に必要な検察官が足りないとの理由から、法務大臣は区検察庁の検察事務官のうち一定の者にその庁の検察官の事務を取り扱わせており(検察庁法附則36条)、このような検察事務官を検察官事務取扱検察事務官という。

法務省設置法附則4項は、「当分の間、特に必要があるときは、法務省の職員(検察庁の職員を除く。)のうち、百三十三人は、検事をもってこれに充てることができる。」と定めている。この規定に基づき、法務省の要職(官房長・局長レベルを含む。)は検事が、検事としての官職を保持したまま兼任、併任(ともに法務事務官の官職に兼ねて任命される)又は充て職(法務事務官の官職を兼ねず、検事の官職のみを有したまま法務省の職に就く)の形で占める例が多い(「局付け検事」と呼ばれる)。ただし、法務事務次官については、検事出身者が、一時的に検事の官職を解かれて就任するのが慣例である。


検察官の官名・職名

検察官は、上述のように、以下の官名・職名にある者全てを指す言葉であり、あるいはその訴訟法上の地位(この意味においては、検察官事務取扱検察事務官も含まれる。)を表す言葉であり、「検事」は、正式には検察官の職階の一にすぎない(ただし、旧法下における「検事」は現在の「検察官」に相当する意味である。)。

以下、特記のない限り検察庁法に基づいて記述する。


検察官の官名
検事総長
検察官の職階の最高位にして最高検察庁の長であり、全ての検察庁の職員を指揮監督する(7条1項)。認証官である。詳細は検事総長の記事を参照。
次長検事
検察官の職階の一つ。認証官である。最高検察庁に属し、検事総長を補佐する。また、検事総長に事故のあるとき、又は欠けたときは、その職務を行う(7条2項)。次長検事の職は一般的に検事長より上位の職であるものの、検察官俸給法における報酬額については検事総長、東京高等検察庁検事長についで3番目であり、東京高等検察庁の検事長以外の検事長と同額である。ただし、給与体系=指揮命令系統上の階級ではないことに留意する必要がある。
検事長
検察官の職階の一つ。高等検察庁の長。認証官である。所属の高等検察庁、並びにその管轄区域内の地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督する(8条)。なお、検察官俸給法における報酬額については、東京高等検察庁検事長は他の検事長とは区別されており、その俸給の額は検事総長についで2番目とされ、次長検事及び東京高等検察庁の検事長以外の検事長を上回る。
検事
検察官の職階の一つであり、検事一級と検事二級とに分かれる。
副検事
検察官の職階の一つ。詳細は副検事の記事を参照。


検察官の職名
検事正
検察官の職名の一つで、地方検察庁の長。一級の検事をもって充てられる。所属の地方検察庁、並びにその管轄区域内の区検察庁の職員を指揮監督する(9条)。
次席検事
検察庁法ではなく、検察庁事務章程に定められている職。高等検察庁及び地方検察庁にそれぞれ1名が置かれ、その庁に所属する検察官の中から法務大臣が任命する。所属する庁の検事長又は検事正の職務を助け、また、検事長又は検事正に事故のあるとき、又は欠けたときは、その職務を臨時に行う。また、記者会見に出席し、発表を行う。
上席検察官
検察官の職名の一つ。2人以上の検事又は検事及び副検事の所属する区検察庁にそれぞれ1名置かれ、検事をもって充てられる。区検察庁の長として、職員を指揮監督する。上席検察官の置かれない区検察庁においては、所属の検事又は副検事(副検事が2人以上属する場合は検事正の指定する副検事)が区検察庁の長として、職員を指揮監督する。


採用の仕組み

検察官は裁判官弁護士と同様、原則として、法科大学院課程を修了し新司法試験に合格した者、もしくは旧司法試験に合格した者で、最高裁判所司法研修所における修習(司法修習)を終えた者が検事として採用され、この者が検察官となる。

この他に検察事務官や、警察官皇宮護衛官海上保安官自衛隊警務官等を一定年数経験した者が、考試を経て採用される副検事等から、更に考試を経て検事となり検察官となる者(特任)や、3年以上法律学を研究する大学院が設置されている大学における法律学の教授准教授であった者などから採用されることもある。

副検事が考試を経て検事になった後、弁護士となるには、考試を経た後に検察官(副検事を除く)の職にあった期間が、通算して5年以上になることが必要である(弁護士法5条3項)。

なお、法曹一元制をとっているアメリカでは、検察官は国や州に雇用された弁護士(lawyer)の一種という位置づけである。


法務大臣の指揮権

検察官はそれぞれが検察権を行使する独任官庁であるが、結局のところ検察権は行政権に属し、全体として統一されたものでなければならないことから、検察官は検事総長を頂点とした指揮命令系統となっている(検察官同一体の原則)。

検察官は、例外を除き起訴権限を独占する(国家訴追主義)という極めて強大な権限を有し、刑事司法に大きな影響を及ぼしているため、政治的な圧力を不当に受けないように、ある程度の独立性が認められている。端的なものが法務大臣による指揮権の制限である。

検察庁は行政機関であり、その最高の長は法務大臣であるため、当然に法務大臣が各検察官に対して指揮命令ができるのであるが、この指揮権については検察庁法により「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen