核融合炉
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欠点

超高温で超真空という物理的な条件により、実験段階から実用段階に至るすべてが巨大施設を必要とするため、莫大な予算が掛かること

技術的困難による実現可能性への疑問 つまり1億度程度の高温でなければ十分な反応が起こらず、そのような高温状態では物質はプラズマ状態となり通常の容器に安定して収納することができず、そもそもこのような高温に耐えられる融合炉の材料が無い点等にある そのため磁力線を利用してプラズマを保持する磁気閉じ込め方式などが開発された

炉壁などの放射化への問題解決が求められること(後述)

放射能の危険性は炉心と燃料の三重水素(トリチウム)において依然として無視できないこと


安全性・危険性
反応の停止
核融合反応は核分裂反応と違って反応を維持するのが技術的に大変困難であり、あらゆる装置の不具合や少しの調整ミスが自動的に核融合反応の停止に結びつき、簡単には反応を再開出来ない。これは安全にとっては良い特性であり、現在の核分裂を使った商業用原子炉の根本的な危険性とは無縁である。
放射性廃棄物
核融合反応で発生する中性子は、核融合炉壁及び建造物を放射化する。放射化された核融合炉周辺の機械装置や建物が安全に本来の機能を発揮出来るような設計が求められる。たとえばITERにおいては2万トンの低レベル放射性廃棄物を発生させると推測されている(東海発電所の廃止措置に伴う物と同程度の量)。今後建設されるそれらの建物はすぐに廃棄できず既存の原子炉と同様30年程度の冷却期間が必要だと予想される。地層処分などの問題は現在の原子炉と同じ様に、費用の問題や環境汚染対策が必要である。古くなったダイバータやブランケット、灰は定期的に放射性廃棄物として発生するのでこれらの処理も必要となる。これらの発生頻度を最小化する部材技術の開発が求められる。また、三重水素の燃料化プロセスでも放射性廃棄物への配慮が必要となる。
三重水素の放射性
三重水素は放射性物質であり正しく管理される必要がある。特に環境への漏洩阻止は重要である。三重水素は容易に通常の水素と置き換わるので、漏洩した場合には三重水素を含む水や有機物が自然界で生じ、これらは生物の体内に容易に取り込まれる。三重水素水が生物に取り込まれた場合、通常の水と化学的な相違点は僅かであるため特定の臓器などに蓄積されたり体内で濃縮されたりする事はほとんどなく、通常の水と同じように排出される。生物が三重水素水を取り込んだ場合に半分が排出されるまでの時間(生物学的半減期)は、人の場合10日から14日程度とされる。また、三重水素を含む有機物を取り込んだ場合には、その有機物に見合った蓄積性と濃縮性を示す。ただし、三重水素は拡散しやすいため一点に留まらず、また水素が地球上に遍在するために三重水素が環境に放出されても希釈が早く生物濃縮なども受けにくい。このため、特定の食品などに濃縮されることなどは考えにくい。
三重水素の核兵器への転用
三重水素は初期の核融合爆弾にも用いられたが、後に、入手性/取り扱いともにより容易な重水素化リチウムが利用されるようになったため、わざわざ三重水素が水爆に利用されることは考えにくい。また、現在の技術では核融合爆弾の起爆には原子爆弾を用いる外に手段が無いため、既存の核保有国以外が製造することは容易ではない。ただし、通常の放射性物質同様、三重水素を原料にした汚い爆弾は容易に作ることができる。
運転中の放射線
核融合炉の運転中はプラズマから強烈な中性子線が放射されるため、さまざまな防護措置をとってもある程度漏れることが予想されている。現状、ITERで予定される運転中の放射線は、敷地境界で1年間に約0.1ミリシーベルト以下と自然放射線の10分の1に当たる量である。
超伝導電磁石
超伝導電磁石とそれを支える構造支持体は運転中に連続して大きな力を受け続け、起動や停止時にはその変化に応じた力学的ストレスを受ける。また異常に応じて磁力を突然切る場合は、瞬間的に大きな変化に耐えねばならず、中性子を浴び続ける構造支持体が脆化しても支えきれるだけの安全度を確保することが求められる。


核反応

核融合炉において,使用が検討されている反応は主に以下の3つである。なお、以下 Dは重水素、Tは三重水素(トリチウム)、pは水素原子核、nは中性子、Heはヘリウムである。


D-D反応

D + D T + p

D + D 3He + n

自然界でも原始星で起きている反応の一つである。核融合炉として使用する場合資源の入手性が非常に良いが、反応条件が厳しく、D-T反応の10倍厳しい反応条件を達成する必要がある。なお、JT-60を含む多くの核融合開発を目的とした実験装置において、重水素を使う実験が行われている結果、この反応が起きている。もちろん、投入エネルギーを回収出来る程ではない。


D-T反応D-T反応

D + T 4He + n (14MeV)

反応条件が緩やかで、最も早く実用化が見込まれている反応である。核融合炉として使用する場合トリチウムの入手性に課題がある。トリチウムは、自然界においては、大気の上層でわずかに生成されるのみであり、半減期の短い放射性物質であるため事実上採取は不可能である。また、高速中性子が生成するため、炉の材質も検討が必要となる。現在検討されているトリチウム入手法は、核融合炉の周囲をリチウムブランケットで囲み炉から放出される高速中性子を減速させつつ核反応を起こし、

6Li + n T + 4He + 4.8MeV

7Li + n T + 4He + n - 2.5MeV

トリチウムを得ることである。このときブランケットは高速中性子を減速して遮蔽し、燃料を生産し、反応熱を取り出すと言う3つの役割をすることになる。JETおよびTFTRにおいてはこの反応を主反応とするような実験が行われた。


D-3He反応

D + 3He 4He + p

反応がD-T反応の5〜6倍程度の条件とD-D反応程ではないが比較的起こりやすく、発生するエネルギーも荷電粒子である陽子が担い放射性物質も出ないので炉が扱いやすいこと(但し副反応のD-D反応で中性子が発生する)と、直接電力にエネルギーを変換することが可能なことで注目されている反応である。しかしながら、地球上にはヘリウム3がほとんど存在しないことが大きな問題である。アポロ計画の探査の結果太陽風によりには大量のヘリウム3が存在することが明らかになったが、実用化は非常に遠いと見られる。中華人民共和国の月探査計画はヘリウム3採取を最終目的にしている。また、太陽系内宇宙を舞台とした近未来サイエンス・フィクションにおいて木星や、月表面から採取したヘリウム3を燃料とした核融合がエネルギー源という設定になっていることがある(ガンダムシリーズプラネテスMOONLIGHT MILE等)。


核融合反応の候補

下記の核融合反応が核融合炉で利用可能と考えられている。

D + T 4He (3.52) + n (14.06)

D + 3He 4He (3.67) + n (14.67)

D + D 3He (0.82) + n (2.45)

D + D T (1.01) + p (3.03)

p + 6Li 4He (1.7) + 3He (2.3)

p + 6Li 4He + D + p - 1.5MeV

n + 6Li 4He + D + n - 1.5MeV

D + 6Li 7li (0.6) + D + p (4.4)

D + 6Li 4He + T + p + 2.3MeV

D + 6Li 22He (1.12)

D + 6Li 7Be (0.43) + n (2.97)

D + 6Li 4He + 3He + n + 1.8MeV

D + 6Li 4He + 2D + n - 1.5MeV

3He + 6Li 24He + p + 16.9MeV

p + T 3He + n - 0.8MeV

p + 11B 34He + 8.68MeV

(カッコ内は反応生成物のエネルギー MeV) [1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen