栄養学
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栄養学の創設

佐伯矩は、栄養学を学問として独立させたため栄養学の創始者といわれる。矩は、京都帝国大学医化学を学んでいたころ、すでに「米と塩を以って生活できるか否かについての研究」と栄養に目が向いていた[3]内務省伝染病研究所に入り北里柴三郎の門下として細菌学を研究した。ここでの研究によって1904年(明治37年)には、大根に含まれる消化酵素を発見したことも成果の一つとなっている[4]1905年(明治38年)には、北里柴三郎らの推薦で特別研究員としてアメリカイェール大学に招聘される[5]1911年(明治44年)ごろ、またヨーロッパを遊学した[6]

栄養学が芽生えたのは、1914年(大正3年)。佐伯によって営養(栄養)研究所が創設され、医師10名、高等師範1名に栄養に関する講義が行われた。1918年(大正7年)当時、教科書や政府の刊行物では営養と表記していたものを栄養に統一するように文部省に建言した[7]。栄えるという字には健康を増進する意味があるからである[8]。また完全食偏食といった言葉も作り出している。1920年(大正9年)には、内務省の栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)が設立され、佐伯は初代所長となる。1924年(大正13年)、佐伯は私費を投じて栄養学校を設立。翌年入学した第一期生は、1年間の学業を修め、佐伯によってつけられた「栄養士」と呼称で世に出た。

1934年(昭和9年)日本医学会の分科会として、栄養学会が正式に独立を認められた。

佐伯矩は海外でも精力的に講義を行い、その業績によって1937年(昭和12年)には、国際連盟主催の国際衛生会議において、参加各国が国家事業として栄養研究所を設立し、栄養士の育成を行い、分搗きの米を用いることの決議がなされた[9]。ビタミンの国際単位も国連への矩の提案である[8]


栄養士と養成施設

1924年(大正13年)、矩の栄養学校ができる。

1933年(昭和8年)、香川綾の家庭食養研究会ができ、1939年(昭和14年)に女子栄養学園となる。

1939年(昭和14年)、陸軍の糧友会が食糧学校を設立した[10]

1947年(昭和22年)に栄養士法ができ、上記の栄養学校、食糧学校、女子栄養学園で栄養学を学んだものに与えられていた栄養士という称号が公的なものとなった[10]

1962年、管理栄養士が制度となる。


主食論争

明治時代から食養会の関係者は玄米をすすめていた。当時の栄養学は、玄米に多い食物繊維は未消化で排泄されるので栄養吸収の効率が悪いと考えたが、真っ白に精白した米は栄養素が少なすぎるという低栄養が問題であり、当時多発したビタミンB1不足による脚気の予防のためにもその中間を提唱していた。

1918年(大正7年)、矩は新聞社を16社呼び、胚芽米をすすめ米のとぎ洗いも問題だと伝えた[11]。しかし、精米技術が追いつかず、胚芽米の推奨はやめてどちらかというと胚芽米を嫌っているようでもあった[12]

1921年(大正10年)、玄米をすすめてきた医師の二木謙三が玄米をすすめる内容の著書を発行している[13]

1922年(大正11年)、矩は七分搗き米をすすめる[14]

1927年から陸軍の糧友会は胚芽米を普及させようとしていった[15]。理由は、白米はビタミンBが少ないという栄養上の問題があり体力を奪い大和民族の発展を阻止するが、胚芽米は栄養があり味もよく消化がいいということである[15]

1928年、香川綾も胚芽米をすすめた[16]。同1928年(昭和3年)ごろ、陸軍は脚気予防のために胚芽米に精米できる精米機が登場したため、胚芽米を採用した[17]。正確に七分搗き米に精米できる精米機はまだなかった[17]

矩は、七分搗き米を普及するべく「標準米」として提唱している[18]。東京市は胚芽米の普及をすすめ、栄養研究所や栄養士と対立する[12]

1938年(昭和13年)、農相によって胚芽米でなく七分搗き米を奨励すべきだという発言が報道されたのに対し、糧友会は『胚芽米普及の真意義に就て』を書き、栄養がある七分搗き米を食べている人にまですすめるわけではないと弁明している[15]

1939年、農務省から米穀搗精等制限令[19]が出て、胚芽を含んだ七分搗き米が奨励された。

1941年(昭和16年)、玄米の普及の請願も出ていたが、厚生省、文部省、農林省の大臣が答弁し米は七分搗きが適当であり玄米は最適ではないとした[20]

1942年(昭和17年)以降、大政翼賛会では国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった東條英機が玄米を常食していることも伝わり世論は玄米に傾いた[20]伝染病研究所の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、玄米食によって小食になったうえ下痢も減り仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったが炊飯に要する燃料は増加したと伝えたので、栄養学者も認めざるをえなくなった[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki