未遂についての規定本体は以下の通りである。第八章 未遂罪第43条(未遂減免)犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。第44条(未遂罪)未遂を罰する場合は、各本条で定める。
犯罪の実行に着手したが目的が実現されなかった場合について、未遂罪とし、その刑を減軽することができる(障害未遂)。未遂の法上の一般的取り扱いは「軽減することができる」ということであり(裁量的減軽規定)、実際は原則として既遂罪と同じ法定刑の枠内で処罰され、仮に軽減されるとしても、それは情状によるもの(刑法第66条、第72条)でしかなく、情状以外の面で軽減されることなどは、ほとんどないとされる。
ただし「自己の意思により犯罪を中止したとき(中止未遂)」については、「軽減し、又は免除する」と定められており、自分で中止した場合には法文上は必ず減免しなければならない(必要的減免規定)、と規定されている。しかし、中止未遂が認めれるのは実際には稀である。
刑法第44条を受けて、未遂を処罰する場合には各章ごとに別個に規定が置かれている。重大な犯罪については未遂罪規定が置かれている場合が多い。
以下、未遂を罰する場合の法文の例である(カッコ内の条文解説は原文にはない)。第203条第百九十九条(殺人)及び前条(自殺関与及び同意殺人)の罪の未遂は、罰する。第228条第二百二十四条(未成年者略取及び誘拐)、第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)、第二百二十五条の二第一項(身の代金目的略取等)、第二百二十六条(国外移送目的略取等)並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段(被略取者収受等)の罪の未遂は、罰する。
未遂犯をどう理解するかについては(違法論の対立と絡んで)学説上さまざまな争いがある。
日本においては未遂犯の処罰根拠は、行為者の危険性にある(主観説)のではなく、客観的な法益侵害の危険にある点においては、現在ではほぼ一致している(客観説)ものの、要件論においては、形式的に判断する見解(形式的客観説)と実質的に判断する見解(実質的客観説)に分かれている(通説は後者)。 また、未遂犯はかつて行為犯と捉えられていた(行為犯説)が、近年は結果犯として理解する見解(結果犯説)も有力である。未遂犯の処罰根拠たる危険を行為の危険と捉える見解からは、行為犯説に至るし、逆に、結果としての危険と捉える見解からは、結果犯説に至る。
刑法43条は、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と規定している。講学上、未遂のうち、自己の意思によって中止したもの(刑法43条後段)を中止未遂、これ以外の未遂を障害未遂と呼ぶ。最も一般的な未遂罪は、この障害未遂を指すことが多い。
なお、障害未遂ではなく中止未遂を認めるための条件についてはかなりの議論がある。単に中止しただけでは足らず、結果を引き起こさないための真摯な努力が必要とされる(判例)。中止犯を参照。
障害未遂と中止未遂の例
傷害
相手を殴るために胸ぐらを掴もうとしたが相手に逃げられて殴打できなかった場合は障害未遂、相手を殴るために胸ぐらを掴んだが殴打する前に、翻意してやめた場合は中止未遂。
殺人
相手に向けてピストルを発射したが弾が急所にあたらず大怪我をさせるにとどまった場合は障害未遂、相手に向けてピストルを構えたが、翻意して発射をとりやめた場合は中止未遂。
一般の未遂規定が刑の必要的減軽(必ず刑を減免するころ)を定めていないのに対して、中止未遂規定が刑の必要的減免(必ず刑を減軽又は免除すること)を定めていることの理由については、2つの説がある。
ひとつは、犯罪の行為者に対して結果を引き起こす最終局面で思いとどまることを促すための規定であるというもので、「政策説」と呼ばれる。もうひとつは犯罪を思いとどまったことによって違法性ないし有責性(責任の重さ)が減少したと考えるもので、「法律説」と呼ばれる(更にこれは細分化され、違法性の減少を重視する法律説を「違法減少説」、有責性の減少を重視する法律説を「責任減少説」と呼ぶ)。通説は、その両方の要素があるとする折衷説である。
不能犯を参照。
関連項目
中止犯
不能犯
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カテゴリ: 法関連のスタブ項目 | 刑法 | 中止
更新日時:2008年7月21日(月)16:38
取得日時:2008/08/18 02:32