英語など、漢字圏以外の多くの言語では、中世の高麗王朝に由来するKorean、Coreen、Koreaner などの言葉で呼んでおり、朝鮮と韓の区別はない。
日本語では、古くは朝鮮半島の人々を指す言葉として韓人(からひと)、高麗人(こまびと)などがあり、李氏朝鮮時代には李朝の国号である朝鮮を取って朝鮮人という呼称が生まれる。従来の朝鮮人に加えて韓国人(かんこくじん、または韓人)が混在して使われるようになったのは、李氏朝鮮が国号を大韓帝国と変えた頃からである。
韓国併合によって大韓帝国が消滅すると、日本は韓国の地名を朝鮮に戻し、朝鮮に本籍地を有する日本国民となった者が法律上、朝鮮人と称されることになった。本国(内地)と植民地という日本内地と朝鮮の力関係を反映し、朝鮮人やこれを略した鮮人という呼び方には見下すようなニュアンスがこめられがちであった。
このため特に配慮する場合は朝鮮(半島)の方であるとか朝鮮(半島)出身者とかいった遠まわしな言い方が好まれてきた。朝鮮総督府は内地人に鮮人と呼ばないようしばしば呼びかけ、多くの文書で朝鮮(半島)同胞との呼称を用いた。旧陸軍においても朝鮮人兵士に対して朝鮮人や鮮人の語を使用しないよう指導がなされていた。[1][2][3]今日では「鮮人」は明確に蔑称と認識されるにいたっている。
日本の朝鮮に対する支配が終わった後もこのような傾向は続き、現在に至るまでも朝鮮民族に属する人に対して面と向かって「朝鮮人」と言うのを憚る風潮が存在する。 しかし「朝鮮人」という呼称については、「朝鮮」を統一名称とみなしている、または大韓民国を支持しない等々さまざまな理由から在日コリアンが好んで朝鮮人を自称するケースもあり(朝鮮籍参照)、明確に蔑称と認識されているわけではない。 韓国・北朝鮮の成立後は、民族全体を漠然と指すときは従来通りの朝鮮人が多く用いられ、特に韓国の国籍を保持するものを韓国人と呼んで区別している。韓国人の対立概念として朝鮮人を使用する場合には、北朝鮮を正統国家として支持する者や、または朝鮮籍の在日朝鮮人を限定して指すこともある。現在では、「韓」と「朝鮮」の区別が問題になることを避けるために漠然と「朝鮮民族」と称することが多いが、最近では英語をそのままカタカナ語としたコリアンという呼称も、より中性的・中立的であるとして使用されることが多くなっている。
なお、日本語では朝鮮族という言い方も存在するが、これは中華人民共和国の吉林省延辺朝鮮族自治州を中心に、中国東北地区(満州)などの中国領内に住む中国国民の朝鮮民族を特に指す語として使われるので、使い分けに注意する必要がある。
詳細は朝鮮族、高麗人、在日コリアン、コリアンアメリカンをそれぞれ参照
朝鮮民族の居住が最も多く集中する地域は朝鮮半島、すなわち韓国および北朝鮮である。一つの民族が二つ以上の国家に跨って分布することは、世界的にはありふれた事例であるが、両国の国民はともに朝鮮民族・韓民族による単一民族の国民国家という自意識を共有しており、並立する二国家の国民がお互いを別民族と認識することはほとんどない。しかし日本と同様に朝鮮、特に韓国にも少数民族は住んでおり単一民族国家ではない。
また、血液研究の観点からは、日本民族と比較すると遺伝的な同質性が低いという結果が出ている ⇒[2]。大阪医科大学名誉教授、松本秀雄氏も著書の「日本人は何処から来たか―血液型遺伝子から解く」において、朝鮮民族は強く漢民族などの影響(混血)を受けており、これは中国と朝鮮との間の、相互移民や侵入などによって、海で隔てられた日本に比べ、北方少数民族や漢民族との混血の機会がはるかに多く、これが民族の形成に影響したと研究結果を述べている。
両国における朝鮮民族の人口は、韓国・北朝鮮は国内に少数民族をほとんど抱えていないためにそれぞれの総人口にほぼ一致し、韓国に4,900万人、北朝鮮に2,300万人ほどである。
韓国・北朝鮮の国外では、中国・北朝鮮国境に近い中国東北地区の吉林省周辺に既述の朝鮮族がおよそ200万人ほどが居住し、中国55少数民族のひとつと見なされている。
かつては北朝鮮・中国吉林省と境を接するロシアの沿海州にも居住していたが、第二次世界大戦中に対日協力の疑いで中央アジアに集団追放され、多くの朝鮮系の人々がそのまま中央アジアに住みつづけている。うちウズベキスタンに住む朝鮮系の人口は110万人ほどで、同国の人口の5%近くを占める。ロシア語では朝鮮民族のことを英語のコリアンと同じように、「高麗」に由来する「コレーチ」という呼称を用いることから、中央アジアの朝鮮民族は「高麗人」と自称する。
また、日本には在日コリアン、アメリカ合衆国にはコリアンアメリカンと呼ばれるそれぞれ数十万から百数十万の朝鮮系の人々が居住しており、一定の民族意識を保って暮らしている。こうした在外の朝鮮系の人々が集住して暮らす町は「コリア・タウン」と呼ばれ、世界各地に点在する。韓国国籍を保持する在外の人たちの中には、華僑になぞらえて「韓僑」と自称する者もいる。
朝鮮民族は人種的にはモンゴロイドで、在外者の大多数を除いて多くの者が朝鮮語を母語とする。
文化的には中国からの影響を強く受けつつも、チマチョゴリなどの服飾文化、キムチなどの食文化(朝鮮料理)やパンソリ、タルチュムなどに独特の特徴が見られる 習俗・習慣の面では、朝鮮王朝時代に民衆に浸透した儒教の影響が、しばしば指摘されるところである。
宗教は、アニミズムを背景としたシャーマニズム的な信仰と儒教との混合形態による先祖崇拝が根付いている。なお、先祖崇拝は東アジア地域共通の特徴であるため、その起源がどこにあるのかを求めるのは難しい。
これに加えて、仏教信仰がある。