日蓮正宗
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出家制度

日蓮正宗寺院の住職・主管、副住職・副主管は明治維新以降の伝統仏教でよく見られるような世襲制、家族経営ではなく、管長の辞令により総本山から派遣される極めて中央集権的なシステムとなっている。そのため、短期間で住職が交代したり、2つの寺院の間で住職が入れ替わるということもある。副住職・副主管に関しては、宗規で、住職・主管が教師の中から選び、法主の承認を得て着任する決まりとなっている。したがって、住職は寺院の財産を私的に用いる(相続など)ことは出来ない。

僧侶となる場合、かつては宗内の僧侶が弟子をとることもあったが、現在は得度審査に合格して法主上人の弟子となる。大半の僧侶は少年得度で12歳、小学校卒業と同時に出家する。それ以外の一般得度者も随時募集される。出家得度し高校3年生まで総本山大石寺で修業した後、地方寺院(主に本山格寺院や大都市周辺の寺院)で4年程度在勤し、最後に総本山で1年在勤したのち教師に補任され(説法を許される)、管長の辞令があれば地方寺院の住職(副住職の場合もあり)として派遣される。一部の僧侶は得度以来総本山で一生を過ごす者もいる。法衣は全階級とも白五条袈裟に薄墨色の衣(僧階が上がると模様が入るなどの違いはある)であるが、袈裟・衣は管長の免許がなければ着用することはできないことになっている。

概ね創宗蜜月時代といわれていた昭和40年代辺りの得度の世代だと、創価学会からの多大な寄進で新寺院が急増し僧侶の「粗製濫造」が進んだことが一部で指摘されているが、他の伝統仏教に比べ在家出身の修行僧が多いため、現在では僧侶としての厳格な素養教育には定評がある。


僧侶の階級

日蓮正宗では僧侶の階級(僧階)は次のようになっている。教師

大僧正(法主及び法主経験者)

権大僧正(学頭)

僧正

権僧正
(これより上が能化となる)

大僧都

権大僧都

僧都

権僧都

大講師

講師

少講師

訓導

権訓導
非教師

一等学衆

二等学衆

三等学衆

沙弥

それぞれの階位の授与等は内部規定による。


宗門役僧

管長 早瀬日如(総本山大石寺住職)大僧正

前管長 阿部日顕(前・総本山大石寺住職)大僧正

総監 八木日照(東京・法道院主管、法華講本部指導教師、前・大石寺主任理事)権僧正

重役 藤本日潤(東京・常泉寺住職、元・総監)僧正

宗会議長 細井珪道(東京・常在寺住職)

教学部長 水島公正(所沢・能安寺住職、法華講本部指導教師)

庶務部長 阿部信彰(東京・妙国寺住職、法華講本部指導教師)

海外部長 漆畑行雄(富士宮・本山妙蓮寺住職)

財務部長 長倉教明(札幌・日正寺住職)

渉外部長 秋元広学(東京・宣徳寺住職)

副教学部長 宮野審道(埼玉・啓信寺住職、(株)大日蓮出版代表者)

副庶務部長 斎藤栄順

副渉外部長 梅屋誠岳


日蓮正宗の信徒団体
法華講
法華講は日蓮正宗唯一の信徒団体である。各末寺に檀家グループの○○講(講中)が存在し、この○○講の総称を法華講という。法華講は日常の唱題行や総本山への団参登山を行うものとして、宗史上古来より存在していたが、1962年にこれらの○○講の連合体として日蓮正宗法華講全国連合会(略称全連)が結成されて加盟するようになった。この全連は1967年に日蓮正宗法華講連合会(略称連合会)に改称され、現在に至っている。日蓮正宗の信徒団体を作るには、末寺の住職が信徒団体の指導教師となって信徒団体を作ろうとする代表者と連名で「組織結成許可願」を宗務院に提出し、宗務院での審議を得て日蓮正宗の管長である法主が「組織結成許可書」に署名押印して「組織結成許可書」が交付されて指導教師から○○講に手渡される。これは明治時代からのシステムであるが、第2祖日興の「この法門は師弟子をたゞして仏になる法門にて候なり」(佐渡国法華講衆御返事)の伝統と慣習を踏襲したものであり、「組織結成許可書」に類する江戸期の古文書も残っている。こうして結成された○○講は、日蓮正宗法華講全国連合会に加盟申請書を提出し、総本山内の日蓮正宗法華講全国連合会事務所(通称法華講事務所)で加盟手続きが行われる。よって「組織結成許可願」と指導教師のない団体は日蓮正宗の正規の信徒団体とはいえないことになっている。なお法華講では、日蓮正宗法華講連合会発行の大白法(だいびゃくほう)が唯一の機関紙となっている。毎月1日と16日に発行され、定価は100円である。

法華講の役員各末寺の法華講の役員には講中の代表者の講頭、副講頭、幹事、会計がいるが、法華講の役員はすべて「組世話役」と定義され、他の寺院に所属する講員に対して指導することは指導教師(住職・主管)に対する越権行為に当たるのでしないことになっている。日蓮正宗法華講連合会には事務機構上、委員長、副委員長、理事、地方部長などの役職があるが、これも「組世話役」と定義され、「連合会」に加盟する各法華講を指導・監督することはない。また名誉職として総講頭、大講頭の称号があるが、信徒を指導することはない。大勢の信徒の前でスピーチをする場合には「挨拶」や「激励」の名目で行う。

海外の法華講海外では50か国弱で法華講が存在し、寺院や布教所などが建立されている。特にインドネシアでは60万人(インドネシア政府による公称)の信徒がいるとされ、また台湾では5か寺が建立され信徒は増加傾向にある。


日蓮正宗の機関誌(教誌)
大日蓮
日蓮正宗唯一の機関紙誌(教誌)は大日蓮(だいにちれん)である。時局に応じて号外も発行されている。宗務院録事、総本山録事、宗務広報、法主の説法、布教講演及び論文、総本山の動き、末寺の動き、海外の動き、住職普山の挨拶などが載せられていて、定価は300円である。宗務院録事には、総本山での法要などの達示、住職などの辞令、講中組織結成許可、檀徒団体の法華講の役員の承認、末寺の檀家総代の承認などが掲載されている。総本山録事には、総本山における人事が載せられている。総本山の動きには総本山で奉修された法要など、末寺の動きには末寺で奉修された法要などが掲載されている。1916年創刊。この他、各末寺で寺報が発行されており、大日蓮と末寺の寺報のみが機関誌紙とされている。


日蓮正宗信徒の活動

信徒の修行としては、本尊に向かって「南無妙法蓮華経」の題目を唱え、法華経読誦すること(自行の題目)と並び、それを他の人に伝える折伏の修行(化他の題目)が基本となる。自行としての日常の勤行は、妙法蓮華経方便品・如来寿量品(長行、自我偈)の読誦、唱題(「南無妙法蓮華経」の題目を唱えること)を基本構成とし、古来からの朝五座・夕三座の格式を守って行われている。末寺や総本山への「登山参詣」(総本山大石寺に参詣すること)なども修行の一環として、成仏への功徳を積むことができる行為と考えられている。

日蓮正宗の檀信徒名簿へ登録を受けるためには、末寺において授戒を受け、さらに大曼荼羅本尊を下付されなければならない。授戒のみ受けて本尊未下付の者は内得信仰と呼ばれ公式の信徒数には数えない。いずれにせよ、日蓮正宗の信仰をする者は必ず存命中に授戒を受けていることとなる。ただし、妙観講では「授戒のみでも世帯数に数える」ことになっている。


日蓮正宗に対する教学上の批判

日蓮宗の諸派は伝統的に、「本門戒壇の大御本尊=偽作」説と「二箇相承=偽書」説、さらに「三大秘法抄=偽書説」等でこの宗派を批判してきた。しかし、本門戒壇の大御本尊は日蓮大聖人の魂魄が宿るとされているため、放射線による科学的な鑑別などは一度行われたことはあるが、二箇相承および三大秘法抄の原本も現在存在しないため、700年にわたる論争に未だ決着はついていないとされる。

本門戒壇の大御本尊については鎌倉時代の工具の痕跡があるが、日蓮が生きていた時代の日蓮宗の財力では製作不能といった状況証拠や花押が日蓮の物と違う、禅師授与漫荼羅との酷似等の理由で、後世の偽作ではないかといわれている。三大秘法抄については日蓮宗僧侶の伊藤瑞叡らの研究グループによってコンピュータ解析がなされて、真跡だと確定しつつある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki