憲法上は国会を「国権の最高機関」と定め、「国の唯一の立法機関」とすることから、付与される政治上の権力は国会が最も大きい。しかし、憲法は内閣にも法案提出権を付与し、国会で成立する法案の大半は内閣提出法案であることから、実質的には内閣の権限が最大となっており、いわゆる行政国家現象が顕著である。さらに、内閣提出の法案は、内閣の下にある行政組織が作るため、行政組織の幹部職員、いわゆる官僚(キャリア公務員)が実権を握る官僚国家であるとも言われる。
また、裁判所には違憲立法審査権が付与される。裁判所は、法律をはじめとする国の法令や行政行為について、それが憲法に反していることを宣言することができる。この権限は、国家の行為の適否について、終局的に判断する権限であることから、最も強い権限のはずである。このような体制を指して、司法国家と言われる。しかし、裁判所はいわゆる司法消極主義に立つとされ、国会や内閣(いわゆる政治部門)の判断に対し、異議を差し挟むことには謙抑的である。
政治制度(国)日本の統治機構:<注>日本国憲法では、「第1章天皇、第1条(天皇の地位・国民主権)天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と制定されている。
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日本国憲法は、国会を「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」と定める。国会は、衆議院と参議院からなる(二院制)。いずれも国民から直接選挙され、全国民を代表する国会議員で構成される。衆議院議員と参議院議員を兼ねることはできない。
衆議院議員の任期は4年だが、衆議院が解散された場合には任期前に資格を失う。衆議院解散は内閣が決定し、天皇が行う。内閣は、衆議院で内閣不信任の決議案が可決され、または信任の決議案が否決された場合(69条解散)、または憲法7条に基づいて(7条解散)、衆議院の解散を決定する。衆議院議員の選挙を総選挙という。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選される。参議院議員の選挙を通常選挙という。
衆議院の総選挙は小選挙区制と比例代表制(拘束名簿式)が併用される小選挙区比例代表並立制が採用され、参議院の通常選挙は選挙区制(大選挙区制、中選挙区制)と比例代表制(非拘束名簿式)が併用される。定数は、衆議院が480(小選挙区選出議員300、比例代表選出議員180)、参議院が242(選挙区選出議員146、比例代表選出議員96)。
国会は毎年1回の召集が義務づけられており、これを常会(通常国会)という。また、内閣が自ら、あるいは一定数の国会議員の要求により、内閣が臨時に国会の召集を決定することもでき、これを臨時会(臨時国会)という。1992年以降は例年1月に常会が召集され、9月頃に臨時会が召集される。衆議院議員総選挙後には特別会(特別国会)が召集され、内閣総理大臣を指名する。
国会は会期制が採られており、会期不継続の原則と一事不再議の原則が定められている。会期不継続の原則とは、会期独立の原則ともいわれ、継続審議の議決がなされない限り、会期中に議決に至らなかった議案は廃案(消滅)となる原則である。一事不再議の原則とは、一度議決された議案は、同一会期中に再度提出できないという原則である。
常会の会期は150日間で、延長は1回のみ可能。臨時会と特別会の会期はその都度両院一致の議決で定め、延長は2回まで可能。会期の決定及び延長については衆議院の優越が認められ、衆参の議決が不一致の場合及び参議院が議決をしない場合は衆議院の議決による。
法律案(法案)は、各々の国会議員、および内閣により提出される。国会議員から提出された法案を議員立法あるいは衆法(衆議院議員が提出した法案)・参法(参議院議員が提出した法案)といい、内閣から提出された法案を内閣提出法案(政府提出法案)あるいは閣法という。現在、1会期における提出法案のうち、おおむね30%が議員立法で、70%が内閣提出法案となっている。成立率(提出された法案のうち成立したものの割合)は、議員立法が20%程度で、内閣提出法案は80%以上。したがって、成立する法律のほとんどは内閣が提出したものである。これは、国会から内閣総理大臣を選出し、その内閣総理大臣が内閣を組む議院内閣制を採っていることの帰結である。内閣総理大臣を輩出する与党と内閣は、協働して内閣提出法案の成立に努める。
内閣提出法案の成立過程
内閣提出法案の原案は、それを所管する各省庁が第一次案を作成し、関係省庁や与党との意見調整、審議会への諮問、公聴会での意見聴取などが行われる。
法律案提出の見通しがつくと、主管官庁は法文化作業を行い、法律案の原案を作成する。
主管官庁で法律案の原案ができると、原案は内閣法制局の予備審査を受ける。内閣法制局では、憲法や他の法令との整合性、法文の配列や用語などについて審査する。
予備審査が終わると、主任の国務大臣から内閣総理大臣に対し、国会提出について閣議請議の手続を行う。閣議請議の窓口である内閣官房は、受け付けた請議案を内閣法制局に送付する。内閣法制局は最終的な審査を行い、必要に応じて修正し、内閣官房に回付する。
閣議請議された請議案は、閣議において、内閣法制局長官からその概要の説明が行われる。異議なく閣議決定されると、正式な法律案となる。この法律案は、内閣総理大臣から国会(衆議院または参議院)に提出される。
議員立法の成立過程
議員は、法律案の策定にあたって、公設秘書・私設秘書、政策担当秘書、議院法制局や国立国会図書館の職員、関係省庁や地方公共団体の公務員、その他のブレーン、民間企業や団体、一般国民など、多くのスタッフと協議する。