現在、中国語(普通話)の発音表記法として世界的に最も広く通用しており、国際標準化機構もこれを標準規格として採用している。これは、国際連合をはじめとして、多くの国が中華人民共和国政府と公式な関係を持っていることによる。
一方、政治体制が異なる台湾(中華民国)では、中国語(国語)の発音表記体系として、漢語?音ではなく注音符号(注音字母)が使用されている。また固有名詞を中心としたローマ字表記としては長くウェード式を用いてきているほか、さらに国語ローマ字( ⇒國語羅馬字、1928年公布)、 ⇒國語注音符號第二式(1984年公布)、通用?音(「国語」のほか?南語、客家語や先住民言語への対応を謳う)が並立しており、一般の使用においては表記が統一されていない。近年は漢語?音と通用?音のどちらを採用するかをめぐって論争が続き、関連当局間でもコンセンサスは得られていない。行政院は、2000年に漢語?音を採用するとしたが、2002年には通用?音を推奨する『中文譯音使用原則』を打ち出している。
?音には v を除く25のラテン文字(ローマ字)が使われるが、x, q にあまり見られない音が当てられている。また d, b, g, j, z は有声音ではなく、無気音(ただし有声の場合が多い)を表記するのに使われている。
中国語の音節は声母(頭子音)と韻母と声調の組み合わせによって表される。
声母は語頭の子音である。現代の中国語では、一つの音で構成され、多重子音は存在しない。セル内の上側に国際音声字母を、下側に?音を示した。また無気音と有気音の対立があるものはセルを左右に分けて示した。ただし、"sh"と"r"で表記される子音は無声音と有声音の対立である。なお"y", "w"で表記される接近音[j][w]は声母ではなく、韻母の介音なので、下表には載せていない。
両唇唇歯歯茎反り舌歯茎硬口蓋軟口蓋
破裂音[p]
b[p?]
p [t]
d[t?]
t [k]
g[k?]
k
鼻音[m]
m [n]
n
摩擦音 [f]
f[s]
s[?]
sh[?]
r[?]
x[x]
h
破擦音 [ts]
z[ts?]
c[??]
zh[???]
ch[t?]
j[t??]
q
側面接近音 [l]
l
声母の順序は、 b p m f d t n l g k h j q x zh ch sh r z c s である。
韻母は、介音+主母音+尾音で構成される。部分名としてはそれぞれ韻頭・韻腹・韻尾と呼ばれる。韻腹の主母音は音節の中心となる母音であり、韻尾の尾音は主母音に後続する鼻音や母音(二重母音を構成する)である。韻頭の介音は声母と主母音の間にはいる半母音で中国語には /i/, /u/, /y/ の3種がある。介音で表される半母音が子音として語頭に立つ場合、?音では y, w と表記するが、分類上、声母とはせず、声母ゼロの韻母とされている。語頭に介音がきて後に主母音が来る場合、発音上は y は /j/, w は /w/ という完全な半母音音素になる。
セル内の 1 段目には国際音声字母を、2段目には声母がなく韻母だけで構成される形の?音を、3段目には声母と組み合わされる形の?音を示した。また尾音に反り舌音 [?] をとるものがあるが、それについては次項で説明する 。
主母音尾音介音
O/i//u//y/
/a/O[?]
a
-a[i?]
ya
-ia[u?]
wa
-ua
/i/[a?]
ai
-ai [ua?]
wai
-uai
/u/[a?]
ao
-ao[ia?]
yao
-iao
/n/[an]
an
-an[i?n]
yan
-ian[uan]
wan
-uan[y?n]
yuan
-uan 1
/?/[??]
ang
-ang[i??]
yang
-iang[u??]
wang
-uang
/?/O[?]
e
-e[i?]
ye
-ie[u?]
wo
-uo/-o 2[y?]
yue
-ue 1
/i/[e?]
ei
-ei [ue?]
wei
-ui
/u/[??]
ou
-ou[i??]
you
-iu
/n/[?n]
en
-en[in]
yin
-in[u?n]
wen
-un[yn]
yun
-un 1
/?/[??]
eng
-eng[i??]
ying
-ing[u??]/[??]
weng 3
-ong[y??]
yong
-iong
O[z?]
-i 4[i]
yi
-i[u]
wu
-u[y]
yu
-u 1
"u" は、"j", "q", "x" の後では "u" と表記する。
"uo" は、"b", "p", "m", "f" の後では "o" と表記する。現在は表記どおり "bo", "po", "mo", "fo" は [-o] と発音することが多い。