自動式拳銃とは、射撃時の反動や、火薬が燃焼する際に生じるガスの圧力を利用して、排莢や次弾装填を自動化した拳銃である。英語ではオートマチックピストル(automatic pistol)、またはオート(auto)と呼ぶ。英語で単に「ピストル」(pistol)というと、自動式拳銃か単発拳銃を示すことが多い。リボルバー、オート、その他の拳銃をまとめて「ハンドガン」(handgun)と称する。
自動式拳銃には、引き金を引くと、一発ずつ弾丸が発射される半自動拳銃(セミ・オートマチック)と、引き金を引いている間は連射される全自動拳銃(フル・オートマチック)があり、操作法には後述のシングル・アクションとダブル・アクションがある。
自動式拳銃は大部分の回転式拳銃に比べて装弾数が多く、連射に向いているのが特徴である。口径にもよるが、7発前後から、多いものでは30発以上(全自動拳銃=マシン・ピストルであるグロック18では最大33発)の弾丸を扱える。自動式拳銃の大半は銃把(グリップ)の中に弾倉を挿入する型式なので、弾倉を銃把の長さを越えてグリップ・アダプターを装着し延長することで、ホールド感を安定させつつ、装弾数を増やすことができる。
自動式拳銃の弾倉には、一列に弾丸が収められているもの(シングルカラム)と、弾倉の幅を広げて弾丸ジグザグに収めるようにしたものがあり(ダブルカラム)、後者は銃の大きさをほとんど変えずに装弾数を大幅に増やせることから近年広く採用されている。しかし、重量が増す上、銃把が太くなるため、体格によっては扱いづらくなることがある(装弾数が増えるメリットを考えれば言うほど悪くはないという意見もある)このため、陸上自衛隊ではシングルカラムの拳銃(SIG P220のライセンス生産型の〔ミネベア 9mm自動拳銃・装弾数:9発〕)を採用している。
自動式拳銃の欠点として、部品が多く、複雑な動作をするために、回転式拳銃に比べて動作不良や部品の破損を起こしやすい点などがある(もっとも、それは自動式拳銃が登場した頃の話であり、現在では世界の主な国の軍隊では自動式拳銃を採用していて、例としては先述の自衛隊の〔9ミリ拳銃〕、アメリカ軍の〔ベレッタM92FS〕がある)弾倉を銃把に挿入しただけでは発射ができないのも自動式拳銃の特徴である(シングル・アクションでは発砲する前にスライド〔遊底〕を引く、又はハンマー〔撃鉄〕を起こす必要があり、ダブル・アクションでは事前にスライド又はハンマーを起こして、デコッキングレバー(起きたハンマーを安全に倒すレバー)を操作する必要がある。前者で有名なのがコルト M1911A1であり、後者で有名なのがベレッタM92FSやSIG P220から始まるシリーズである)
以下に、一般的な自動式拳銃の操作と挙動を示す。回転式拳銃同様、シングルアクション、ダブルアクションなどの方式が存在する。
弾薬が装填された弾倉を銃に取り付ける。弾倉はバネの力で弾丸を銃の内部に押し上げている。
遊底(スライド)をいっぱいに引いて、引く手をはなす。バネにより遊底は戻り最初の弾薬を薬室(チェンバー)に送り込む。
前項のスライドの動作によって撃鉄が起こされ、射撃の準備が完了する。(コッキング状態)
引き金を引くと、撃鉄、撃針が作動して弾丸が発射される。
遊底が反動(リコイル)で後退し、自動的に空薬莢を排出(排莢)して、撃鉄が起きる。
後退しきった遊底がバネの力で戻る。その際、弾倉からせり上がってきた次弾が薬室に送り込まれる。(上記「3.」の手動操作が自動で行われることになる)
半自動(セミオート)拳銃の場合は発射後、撃鉄が起きた状態で動作が止まる。引き金を引いていた指を放すと上記「3.」が終わった状態に戻って一発ずつの発射が可能。全自動(フルオート)拳銃の場合は、引き金が引かれている間は自動的に撃鉄が落ち、「5.」?「7.」が繰り返されて連続して発射される。
弾倉内の弾丸がすべて発射されると、遊底は後端で停止して、機関部が露出した状態になる。これをホールドオープンと呼ぶ。ホールドオープンは射手に弾丸が尽きたことを知らせる。また、弾倉の交換による再装填を高速化する意味もある。ここで射撃を終了する場合は、空弾倉を抜き取り、安全のため薬室内に弾丸が残ってないかを確認する。続けて射撃を行う場合は次項へ。
ホールドオープンの状態で空弾倉を外し、弾丸が装填された弾倉を取り付ける。
遊底を固定しているレバー(スライドストップ)を解除するか、遊底を軽く引いてはなすことで遊底が前進し、弾倉最上部にある弾丸を薬室に送り込む。
上記の例は、あくまで一般的な自動拳銃の挙動である。 この段階ではシングルアクションとダブルアクションの違いはない。 デコッキング操作をした等で撃鉄が倒れた状態から射撃を再開する場合、シングルアクションの場合は撃鉄を引き起こす必要があるが、ダブルアクションの場合は引き金を引くだけでよいという違いがある。
大抵の自動拳銃は暴発を防ぐ手動の安全装置を各種備えているが、1970年代以降に設計されたものは安全装置の動作が自動化されており、手動の安全装置を持たない銃も登場している。安全にデコッキングを行うためのレバーも装備している銃が多い(遊戯銃ではデコッキングレバーを安全装置とするよう改変されている場合が多い)。発射の意志を持って引き金を引かない限り、落下等の衝撃が銃に加わっても容易には暴発(不時発射)しない銃が一般化している。
機関拳銃 マシンピストル、機関拳銃、機関短銃はこの項目へ転送されています。広義での用例については短機関銃をご覧ください。
マシンピストル(機関拳銃、機関短銃)は、フルオート射撃可能の拳銃をさすことが多く、一種の短機関銃といえる。装弾数が多く、引き金を引いている間は連射できる拳銃をさす(自動火器)。点射による短時間の連射によって銃をコントロールする。基本的に、設計思想が異なることなどから機関銃のような高速連射はできない。具体的にはモーゼルM712、スチェッキン・マシンピストル、ベレッタM93R、グロック18、MICRO UZI、IRA改造フルオートガバメントなどがある。陸上自衛隊においては9ミリ機関拳銃が用いられる。
これは銃器としての位置づけの違いであり、小型軽量な拳銃での高速連射は反動の制御が難しく、装弾数の制限が厳しいことから考えると連射速度はむやみに速くない方が適切と言える。しかし、3点バースト(引き金を一度引くと撃ち出される弾は3発)メカニズム搭載機種ではより高回転のほうが着弾位置の誤差が少ないとも考えられている。
銃規制に比較的寛容な国でも、この種の銃についてはその殺傷力から制限を加えている場合も多い。そういった国で公的に手に入る機関けん銃は、セミオートでしか動作しないように処置が加えられている。
短機関銃は拳銃弾を使用することから、拳銃に分類されることもある。
単発もしくは複数の銃身を束ねた構造で、薬室後方と機関部の部分から2つに折れる形式の、古式銃または競技用などに使われる拳銃。
デリンジャーは上下二連銃身の小型拳銃で、中折れ式拳銃の代表例であり、手の平や袖の中に収まるコンシールメント(隠し持ち可能な)・ウェポンとしても有名である。.41リムファイヤのレミントン・デリンジャー、.22LR他のハイスタンダード・デリンジャーなどがある。
1865年に第16代アメリカ大統領リンカーンの暗殺に用いられたのは、前装式の単発小型銃フィラデルフィア・デリンジャー。これが有名となったため、小型拳銃の商品名としてデリンジャーという名称が多用されている。
エンフィールドNo.2マーク1リボルバーが、トリガーガード(用心鉄)前の蝶番部を境に、銃身及び弾倉部と機関・グリップ(銃把)で二つ折りにして装填を行う構造であるため、この種類と見なすこともできる。