会計参与は、取締役と共同して、計算書類等を作成する会社の任意的機関である( ⇒374条)。公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければ会計参与にはなれない( ⇒333条1項)。会社法においてはじめて設けられた新しい制度である。
そもそも監査の基本には、書類作成者と監査人を分け、それぞれがその職責を果たすことで、正当な監査を行うことができるという、二重責任の原則がある。二重責任の原則に基づき、会計監査人は経営者に計算書類の作成方針等を指導すること(指導的機能の発揮)ができても、直接的に計算書類の作成にかかわることができなかった。また、会計監査人は職業的専門家である公認会計士や監査法人を規定しているが、計算書類の作成者側である経営者側には職業的専門家を置く規定が無かった。近年は、計算書類の重大な虚偽表示や、税法の適用間違い(消費税法や移転価格税制)を、会計監査人が看過してしまい、市場に大きな影響を与えるケースが目立った。そのため会社法では経営者側に計算書類作成や税法の職業的専門家を置いて、重大な虚偽表示等を生じさせることを無くし、市場の安定をするための趣旨で、この規定を設けたのである。
法律に規定のない名称は会社が自由に付けられるので、必ずしも一義的な定義があるわけではない。会社によって使われ方がまちまちである。以下では、比較的多い使われ方の説明をする。下記の役職のほか、最近は欧米企業で用いられているチーフ・オフィサー(最高責任者)の名称を使用している企業も多く見られる。
取締役会長の略で、取締役会のトップを指す。しかし、従来の日本の会社では、前社長が第一線を退いた後に就く名誉職的な扱われ方がされる事が多いので、取締役会長であるからといって取締役会を仕切るというわけではなく、取締役会長のほかに取締役会議長が存在することもある。
ただし最近では、会長が会社全体の戦略を指揮し、社長が日常の業務執行を指揮するといった分担をすることもあり、その場合は会長が事実上のトップといえる。
文字通り、会社のトップである。銀行では、頭取と呼ぶところが多い。社長は、通常は取締役(代表取締役)であるが、あくまで会社内部の名称であるから、取締役(代表取締役)である必要は法律上はない。かつてのライブドアの平松庚三執行役員社長(2006年6月14日の取締役選任まで。現在は社長を退任)が、取締役でない社長の典型例である。
社長に準じる地位。1人とは限らず、複数いる場合もあるし、存在しない場合もある。なお、アメリカ流のバイス・プレジデントは、直訳すると副社長であるが、日本語の副社長よりも低い地位の場合が多い。
会社の業務全般の管理を担当し、社長を補佐する役員。代表権がある(代表取締役、代表執行役)とは限らない。もっとも、代表権がなくても表見代表取締役( ⇒354条)として、取引相手から会社の責任が問われる場合もある。常務との関係は、本来は担当職務の違いに過ぎないはずであるが、実際は常務よりも上の役職とされることが多い。
会社の日常的業務を担当し、社長を補佐する役員。代表権がある(代表取締役、代表執行役)とは限らない。もっとも、旧商法では代表権がないにもかかわらず常務取締役などの名称を付していた場合、表見代表取締役(旧商法262条)として取引相手から会社の責任が問われる場合もあるとされていたが、会社法では明文から「常務」の文言は外されたため( ⇒354条)、単に常務取締役としたとしても表見責任は問われなくなったといえる。専務との関係は、本来は担当職務の違いに過ぎないはずであるが、実際は専務に次ぐ役職とされることが多い。
会社の業務執行を行う幹部従業員の役職。会社法の執行役とは異なるので注意。取締役である者にも付けること(例・代表取締役兼執行役員社長)もあるが、取締役ではないことの方が多い。近年は、取締役会の意思決定を迅速化するためと取締役の過大な責任を避けるため、取締役の数を絞る傾向がある。そのため、取締役ではない役員待遇の幹部従業員にこのような地位を与える。日本ではソニーが初めて執行役員制度を導入した。
相談役・顧問
会社経営について助言を行う役員。社長や会長の経験者など経営の第一線を退いた者がなる名誉職的な役職であることが多い。顧問については、外部から招へいされて取締役に選任される予定の者が、株主総会までの間、一時的に就任する役職として使用されることもある。創業者や元社長などで会社の発展に影響の大きかった者を、最高顧問という役職にすることもある。最高顧問から相談役になる場合もある。取締役ではない場合が多いが、相談役は取締役の場合もある。
Officerの直訳は役員となる。日本では取締役が役員と認識されるが英語では取締役はDirectorでありOfficerと区別される。日本語においては新しく導入された委員会設置会社に基づきOfficerを業務上の執行役員と訳すると区別しやすい。
英米のアングロサクソン系の企業では、コーポレートガバナンス(企業統治)の観念が普及したことで、日本の会社経営とその運営の内容が異なる。アングロサクソン型の企業統治のもっとも重要な特徴は、株主の利権を代表するべき取締役会と会社の経営陣が、組織機能において明確に分離されていることである。日本のように会社経営のトップが取締役会の会長をかねるということは、オーナー会社でない限り見られない。さらに、上場企業であれば、取締役会のメンバーである取締役の過半数は、会社の部外者(社外取締役)で構成されていることがほとんどで、英国では、これが法律で義務付けられている。これによって、会社を直接運営する経営陣が、株主の利権を代表する取締役会によって監視される構造が出来上がっている。これは、過去に、会社の社長(President)が取締役会の会長(Chairman of the Board of Directorー代表取締役)と同一である場合に、会社の私物化がおこり、会社(株主)の利益に反する経営が行われたことに対する反省からである。
取締役会の最も重要な役割とは、会社の経営方針を決定することにある。理論上は、CEOの役割とは、取締役会で決定された経営方針を遂行することにある。他にも取締役会は、業績を出さないCEOを首(解任)にし、さらに、CEOおよび他の重役(Executive)の報酬を決定する。
重役にあたるChiefが頭に着く役職はそれぞれ、Chief Executive Officerが社長、Chief Operating Officerが営業部長、Chief Financial Officerが財務部長、Chief Administrative Officerが総務部長、Chief Marketing Officerが販売部長、Chief Communication Officerが広報部長、人事部長(Director of Human resource)、Chief Technology Officerが技術部長など、部の分類はあくまで世界共通の営利企業組織の内容に対応しており、日本の企業の内訳とそれほど違いがあるわけではない。しかし、日本のような会長・社長・専務・常務・部長・課長・係長・平社員といった階級制による職制でなく、業務別に責任範囲を明確にした組織運営が強調される。