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弁護士による業務の独占

弁護士法により、弁護士資格を持っていない者が弁護士を名乗ることは禁じられている(名称独占。弁護士法74条)。

また、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で、紛争性のある事案について法律事務を業とすることも、原則として禁止されている(弁護士法72条)。これに違反した行為を「非弁行為」といい、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金の刑事罰が設けられている(同法77条3号)。このように弁護士は業務独占資格の一つである。

なお、近年の司法改革において、いわゆる隣接法律職に対して弁護士業務の一部が規制緩和された。この背景には、隣接法律職による職権拡大運動が存在し、また現在も法曹改革とあわせて法曹三者と隣接法律職との職分の住み分けが議論の対象となっている。


弁護士法72条の解釈と弁護士との職域関係非弁活動を参照。


弁護士の権力からの独立性

地方裁判所管轄区域(=北海道の4ブロックと都府県)ごとに置かれる弁護士会日本弁護士連合会(日弁連)が弁護士の監督を行う(ちなみに戦前は司法省に弁護士・弁護士会を監督する権限が与えられていた)。このため、弁護士会及び日弁連は強制加入団体となっている。弁護士の懲戒については、弁護士会が自治的に行っており、なれ合いではないかという批判や、民主主義的な弁護士監視機関を設けるべきだとする意見もある。これらの弁護士の公権力からの自立性を弁護士自治という。


弁護士の組織活動

日本の弁護士の多くは、法律事務所において自ら経営するか、または勤務して活動している。日本の法律事務所は、アメリカ・イギリスなどの大規模法律事務所と比べ規模が小さいが、近年は日本の法律事務所も合併などにより大型化し、四大法律事務所のように200人以上の弁護士が所属する法律事務所も増えている。法人化を認める弁護士法の改正がなされたことから、一部の法律事務所は法人化しており(その場合の名称が上記「弁護士法人」である。)、法人化した場合には、事務所を複数持つことができるなどのメリットがある。また、最近は企業に直接雇用される弁護士や、行政庁にて勤務する弁護士も増えている(「インハウスローヤー」)。

一般に弁護士が所属するオフィスを指して「弁護士事務所」と表現することがあるが、法律上は「法律事務所」、「弁護士法人」のいずれかを名称に含めることが強制されているため、正式名称ではない。

弁護士の事務所には、経営弁護士が複数の場合、組織法的には、民法上の組合弁護士法人の2種類がある。アメリカなどの法律事務所によく見られる有限責任組合(LLP)の形態は日本法では許されていない。

一方、法的観点を離れた組織のあり方としては、共同事務所(複数の弁護士が経営を共同するもの)と個人事務所といった種類がある。扱う案件の内容によっては、渉外事務所(国際案件をも対象とする事務所、あるいは、かつて国際案件を主に対象としていた大規模な事務所)と国内系事務所、総合事務所(対象範囲が全般的ないしは広い)とブティック(専門分化し特定分野に強みがある)などのような分類がされることがある。

構成人数としては、弁護士が1人のものから300人以上のものに至るまで様々であるが、大人数の事務所は東京大阪(特に東京)に集中している。


他の法律関係資格との兼ね合い

日本の弁護士は、司法書士行政書士社会保険労務士海事代理士の職務を行うことができるが、公認会計士土地家屋調査士の業務については行うことができない。弁理士税理士については、職務に付随しなくても弁護士法上、当然にこれらの職務を行うことができる(弁護士法3条2項)。

また、弁護士となる資格を有する者は、その資格をもって弁理士税理士行政書士社会保険労務士海事補佐人の資格登録をすることができるが、司法書士や海事代理士の資格は、弁護士であることを理由として登録をすることはできない(なお、「弁護士となる資格を有する者」とは、司法試験合格のみでは足らず、司法修習を修了した者を指す。弁護士法4条)。

なお、埼玉司法書士会と弁護士との裁判の判例によると、登記の代理(司法書士の独占業務)は弁護士の職務である一般法律事務に当たるため、そもそも弁護士の本来業務であって、弁護士業務に付随しなければ登記の代理は出来ないとの司法書士会の主張を退けた。


日本の弁護士の現状と問題点


弁護士の専門化

日本において、弁護士は医師、公認会計士とともに三大国家資格と称されることがある。 新司法試験と比較される旧司法試験は合格困難な試験であるとしても、試験において問われる科目は、いわゆる六法(憲法民法刑法商法刑事訴訟法民事訴訟法)のみであり、その試験に合格したから、また司法修習を経たからといっても、すべての法律に関する知識を有するわけではなく、あらゆる事例に精通するものではない。その一方、前述したように、弁護士は、職務に付随しなくても弁理士や税理士の職務を行うことができるとされている。これは、弁護士の職務を規定した弁護士法第3条の第2項に「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定されているためである。何故、弁理士と税理士についてのみこのような規定が存在するかは不明である。ちなみに、米国の弁護士には、特許出願の代理権はない。

近時、規制緩和や行政指導中心の制度からの脱却に伴い、弁護士が担当する分野は拡大し続けている。従来的な弁護士のイメージである法廷活動のみならず、予防法務を含む日常的な企業法務から大規模買収事案、企業金融、倒産処理、国際間取引、知的財産権などのジャンルで、ビジネス分野の弁護士活動の領域が広がっている。

このような職域の拡大とともに、最近の弁護士資格取得者の増加による競争の激化により、弁護士には専門的な知識が要求され、必然的に各弁護士の専門領域は限定されていく傾向にある。


弁護士の偏在

2008年7月1日時点での日本における弁護士数(弁護士会登録数合計、特別会員、準会員を含まない)は、25,026名(うち女性3,603名)であるが、大都市への偏在が指摘されている。東京(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)に登録している弁護士数が約11,000名、大阪弁護士会に登録している弁護士数が約3,000名となっており、両者を併せると全国の弁護士数の60%を超えることになる。


利用しやすさの問題

弁護士という職業の存在自体は広く認識されているにもかかわらず、個人が実際に利用することは稀である。弁護士の関与が望ましいはずの契約交渉、民事紛争処理等においても、可能な限り法的色彩を持たせずに、当事者間の話合い等により解決することが望ましいという風潮が強い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki